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Channel: 録画人間の末路 -
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プラズマテレビの滅びは誰のため

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今日は一本立てで。

人の事をどうこう言う資格はないのですが、フジサンケイビジネスアイがテレビ絡みの記事を書くときはどうも後ろ向き、わるいことメインという内容が多い気がします。今回もそういう記事。

プラズマ、風前の灯 国内メーカー生産大幅縮小、TV「家電の王様」終幕

若干意図的なものを感じるんですよねぇ。そもそも「プラズマテレビが売れない」のが、「プラズマテレビだから売れない」という趣旨で書かれていますが、ご存知のとおり、パネルに関係なくテレビは今売れていないのです。アナログ停波直前の、テレビ爆売れ時も売れていたのは液晶ばかりでプラズマではありませんでしたが、あれも需要が26型以下の小型サイズに集中したため、大型しか存在しないプラズマには来なかっただけの話です。これをプラズマの需要の縮小とはっきり書いてはいないにしろ、そうとしか読めないように記事をまとめているのは、取材対象がそういう希望があるように見えて成りません。

ただ、プラズマテレビの販売台数が落ちているのは確かでしょう。プラズマテレビの欠点は、まず大型モデルしか存在しない点がありますから、本来の一般向け需要である小型モデルが販売中心になっている以上、販売台数が落ちるのは当たり前です。PCの販売がスマートフォンに食われているのと似たようなものです。
それ以上に致命的なのは、多くの人が購入を検討にくるだろう大型量販店で比べた場合、明らかに同クラスの液晶テレビの方が高画質に見える点でしょう。ただ、この現象は量販店特有の、一般家庭をはるかに超える光量の下で視聴するため、液晶の方が鮮やかに見えるからです。プラズマは一般家庭のような少し暗めの明るさで見るように調整されているので、そこが不利なのです。が、自分の家で見れば、少なくとも画質で圧倒的に負けることはありません。わたしは、個人用には相変わらずブラウン管テレビを使っていますが、家では液晶・プラズマテレビともに使っています。液晶テレビは違いがはっきり出るのでもっぱら画質チェック用に使い、くつろいで映画などを見るときはプラズマを使うことが多いです。どちらも少し前のモデルではありますが、やっぱりプラズマテレビの方が画質が自然に見えて好みですね。ただ、かつて出始めの頃の両者の比較では、プラズマの画質は例え量販店の明かりの下でも液晶のそれとは歴然とした差があり、まったくよせつけるものではありませんでした。それが条件付とは言え、その真逆の評価になってしまうのですから、それだけ液晶が進化したのは確かです。

かつてのイメージ、底力、好み。まだまだプラズマ出なければ・・・という根強い愛好家がいるのは確実です。ただ、メーカーにはその余力はありません。世界的な市場では韓国メーカーにシェアを奪われ(これは海外メーカーを追い出した国内でぬるま湯に浸かっていたのが大きな原因ですので自業自得ですが)、より効率の良い生産をしたいという意図は、プラズマテレビの主要メーカーであるパナソニックも持っているでしょう。効率なら小型パネルと工場を共用でき、場合によっては他メーカーのOEMで済ませられる液晶の方が断然上でしょうし、おそらく4K2Kテレビにおいては液晶が作りやすいでしょう。それゆえ遠い将来や効率面を優先してプラズマを切って液晶に切り替える、多分今のパナソニックはそっちに向かいたくて仕方がないはずです。ただ、消費者はメーカーの都合など考えて製品を選んだりはしません。かつてのサンヨーやパイオニアのようにテレビから撤退してしまうのならともかく、国内シェアの十分高いメーカーが、それもプラズマテレビのためにパイオニアの技術者の一部を引き受けるなどしたメーカーが簡単にプラズマを切り捨てるのは、プラズマ好きのヘビーユーザーに対して心象が良くありません。「売れていないためにやむを得ず縮小→いずれ撤退」今回の記事もそのシナリオのための一環のような気がしてなりません。

プラズマの穴埋めはこれからも進化するだろう液晶の技術、4K2Kテレビやプロジェクターが埋めてくれるのでしょうか。そうなれば、チューナーで受信するテレビではなく、映像ソフトを映し出すモニターとしての役割しか与えられていない機器がマニアに重宝されることになるでしょうね。

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