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Channel: 録画人間の末路 -
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これが次世代テレビ向け規格! デジタル放送の“リモート視聴“規格

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例のパンクさせられた自動車、やっと戻ってきました。なお、自動車保険に入っているので適応されないか問い合わせたところ、「タイヤのパンクは自然劣化によって起こりうる破損のため保険の適応外」とされました。つまり、4つのタイヤがほぼ同時に、それぞれの側面の一か所ずつだけに空気が全て抜けるほどの亀裂が発生する劣化が起こり、それによるパンクという可能性がゼロではないと判断されたわけです。その可能性って自動車何台に一台くらいの割合で起こるんでしょう。ひょっとしたら地球上に自動車用空気入りタイヤという物体が登場して以来第一号の症例なのかも知れませんね。ちなみに警察は「これは誰がどう考えても人為的な器物破損でしょう」と被害届を受理してくれました。まぁ保険屋ですから単にお金を払いたくなかっただけでしょう。「側面とかにあきらかにひっかき傷とかついていたら保険の適用もあるんですが」と言われましたがそんなのありません。結局全額出すことになりました。


さて、本日の本題。
昨日の記事になりますが、次世代放送推進フォーラムよりテレビの新規格として、スマートテレビなどで受信している映像をインターネットを介してモバイル視聴可能にする「リモート視聴」のための技術要件「デジタル放送受信機におけるリモート視聴要件 Ver1.0」が公開されました。

デジタル放送の“リモート視聴“規格が決定。NexTV-F
家の地デジを外出先で視聴可能に。ペアリング6台まで


・・・・・・・・・次世代放送? スマートテレビ? どこが新規格なのでしょうか。ロケーションフリーにSlingBOX。民間企業の製品レベルでとっくの昔に実現されていたことと似たような、むしろはるかに使い勝手が悪くなっていることを技術要件として言い出しているにすぎません。もう地上デジタル放送がはじまって、丸十年を過ぎてしまっている(あくまで先行した一部地域概算の話ですが)んですよ。むしろ導入前に基本規格として検討されていてしかるべきものです。なんで今頃になって導入しようという気になっているのでしょうか。

これについて考えられるのは、先にあげたロケーションフリーにSlingbox。これらはレコーダーからアナログ出力端子が削除されてしまったことで使えなくなってしまいました。また、主に地方や海外から日本、特に東京圏内で放送されている番組を視聴するためにロクラクやまねきTVと言ったサービスがこじんまりと行われていましたが、これらは放送局が徒党を組み、何度負けても裁判を繰り返すことでとうとう叩き潰すことに成功し、似たようなサービスは二度と日本で登場できなくなってしまいました。これら便利なサービスを選択する機会を消費者から奪うことで権利者に都合のいいように規制でがんじがらめにした不便なサービスしか選ぶことしかできない状況がととのったため、安心して時代遅れのへっぽこ規格を「次世代テレビに搭載する」として発表できるようになったわけです。

このリモート視聴、気になる点はいくつかありますが。
"リモート視聴のため、親機と子機は、あらかじめ宅内でペアリングを行なっておく必要がある(外出先からのペアリングはできない)。ペアリングの有効期間は最長で3カ月。同時にペアリングを有効化できる子機の台数は6台までで、同時にリモート視聴できる子機は1台までとなる。 "
この家庭内でしか行えないベアリングを定期的に行うことを要求することで、先のサービスが担っていた地方や海外で東京や大阪など大都市圏の放送を受信することに著しい制限・・・というよりそういう行為に使えないようになりました。ユーザーの使い勝手を失わせることによって権利者の優越感を満たし強い自己満足を与える、心苦しいばかりの親切心が感じられます。

"「明らかにCMスキップを目的とした機能は設けられないことが望ましい」と規定している"
録画番組を視聴することを外出先で番組の合間合間にくどいほど挿入されるCMを「まぁいいか」で済ませて一緒に見たいと思う人などこの世に一人だっていません。ましてモバイルで視聴する場合、容量オーバーによる帯域制限を避けるために少しでも送信される番組の容量は少なくしたいもの。CMをスキップさせられればありがたい話でしょう。それをあらかじめ実質的に禁止させることを明言化することによって配信機能の優劣を競う競争の発生する可能性をなくし、全メーカー横並びになることを推奨しているわけです。競争意識のないゆとり世代に安心感を与えるための気配りと言えますね。
当然ながら録画不可、キャプチャ不可、その他保存不可は当たり前のようにすみずみまで支持されています。これはいまさら驚くに値しないですね。

某所にも書きましたが、規制だらけだからこんな今更規格が次世代放送規格として出てくるほど、日本の放送技術は身動きが取れないんです。こんなものが「るスマートテレビ促進を狙いとする」技術ですか? スマートテレビって日本発の次世代テレビ規格にするためにオールジャパン体制で臨むものじゃなかったでしたっけ? それがこれじゃぁ他国には全くついていけないですね。こういうのを大山鳴動鼠一匹っていうんでしょうか。もっとも規制が百害あって一利なし、なことを誰の目にも明らかにするいい機会かもしれませんが、それがはっきりするころにはすべてが手遅れでしょうね。もうそれはとっくに始まっているのですが。


これらと関係があるかどうかわかりませんが、総務省で「地上基幹放送事業者の事業再編計画の認定等に係る審査方針案に対する意見募集」というのを行っています。その再編に必要な放送法の改定も行われるようですね。これに関しても意見募集が行われています。事業再編と言う言葉、放送法改定案では総務大臣の認定という言葉が大幅に増やされているところを見ると、大幅な再編をスムーズに行うべく動いた・・・ように見えるのですが、地上デジタル放送導入の動きから判断するとむしろ再編といいながら如何に変えず、地上波テレビの世界を世の中の流れに逆らって維持させる防波堤の役目を総務大臣に担わせるための法律改定や再編という可能性もあります。あまり期待はしないほうがいいでしょうね。


追記:まねきTV裁判の上告が棄却され、まねきTV側全面敗訴が確定し、サービスを完全終了したのは2013年2月14日。まさにこのリモート視聴発表のちょうど一年前でした。NexTV-Fも素晴らしい日を選んで発表したものですね。

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