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Channel: 録画人間の末路 -
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蚊対力

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くだらない話。


「絶対ありえない」と思いつつも一度やってみたいと思うことは誰にでもあるだろう。わたしの場合、その一つが、マンガでたまに取り上げられる

「蚊に腕を喰われたときに力を入れると、筋肉が固くなって蚊は刺した口を引き抜くことが出来なくなる。本能に従って際限なく血を吸い続けるので最後には破裂してしまう」

と言うもの。ありえないと思っていた。蚊というのはああ見えて結構丈夫な虫だからだ。飛んでいるところを両手でたたきつぶそうとしても、うまく皺の間に入り込まれると、手を開いて確認しようとした瞬間なにごともなかったかのようにプーンといやな羽音をたてて悠然と飛び去って行かれることしばしば。あんな堅い虫が、自分で血を吸った圧力くらいで破裂するとはとても思えないのだ。
ただし、そこまで丈夫なやつは色が白っぽい蚊に限る。わたしの身の回りにはもう一種類、真っ黒い蚊が存在する。こっちは先の白いヤツと同じ蚊とは思えないほどもろい。両手の平で叩けば確実に潰れるし、たたきどころが良ければ完全に粉々になって原型も残らない。こっちならひょっとしたら破裂することもあり得るかも知れない、と思わなくもない。ただ、人間の家の中に好んで入ってきて部屋に留まり、人の血を狙うのは白い蚊の方。黒い蚊は何かの拍子で紛れたときくらいしかやってこない。黒い方が狙うのはもっぱら犬や猫だ。外で気持ちよさそうに昼寝している猫の周囲に蚊が飛んでいると、まず確実に黒いやつである。白いやつが猫の周りで飛んでいるのは見たことがない。獲物の数は多いけど殺傷能力の高い人間に挑むのは丈夫な方、数は少ないけど叩いてつぶすような危険のない犬猫相手はもろい方と、蚊の世界には仁義による棲み分けがあるような気がしている。

かくしてなかなか挑戦出来なかった伝説。それを試す機会が昨日、ついにやってきた。紛れもない黒い蚊が、わたしの腕に止まったのである。しかも、おあつらえ向きに一番力の入れやすいイメージのある前腕筋の内側。長年の疑問を解決する絶好の機会。ちくりとわずかな痛みが走った瞬間、わたしは自らがマッチョになった姿をイメージし、握りしめた拳を内側に曲げながら蚊近辺に最大限の力を込める。何も知らず、ただ血を吸い続ける黒い蚊。その腹が血で真っ赤にふくれていく。わははははは、今のうちにせいぜい楽しんでいるが良い。この後待っている地獄があるとも知らず・・・。

・・・・・・・・・腕が痛くなってきた。多分始まってから1分もたったかどうか、という時間しか経過していないのだろうが、あまりに渾身の力を込めたため、耐久力が早くも限界に近づいた模様。しかし、ここまできて諦めることは出来ない。疲れて入りづらくなった分は、腕にヒネリを加えることで補い、筋肉の堅さを保ち続けよう。全ては長年の疑問の解決のため、知的好奇心のためですから手を抜くことはなどあり得ない。そして普段の何倍もの長さに感じられる一秒一秒が過ぎていき・・・。


たっぷりと血を吸った蚊は何事もなかったかのごとく飛び去って行った orz


よくよく考えてみたら蚊の目的は血を吸うことであって刺すことではないのだから、やつらから見れば分厚い皮膚を貫通して筋肉まで嘴を突き刺す必要など全くなし。表皮に差し込むことさえ出来れば十分血に届くのだから。どんなに力を込めたってしょせん皮膚はユルユル、筋肉の状態など全く関係なかったのだ。むしろ皮膚をどうにかした方が蚊が破裂する可能性が残る。引っ張って突っ張らせると、逆に傷口が広くなって抜けやすくなるのでダメ。あるとしたら、蚊の周辺の皮膚をつまんで上に引っ張り、刺された嘴を左右から挟み込むやり方のみ。ただ、やった瞬間逃げられそうだし、うまくいっても抜けなくなるより先に嘴が潰れて折れる気がする。

と、言うわけで、「筋肉の力を込めて蚊を破裂させる」は無理、という結論に(笑)。まぁ当たり前か。喰われたら即たたきつぶすのが一番ってことで。

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