友人Cは電話&メール用としてPHSを持っているが、それ以外にソフトバンクの携帯電話を契約している、二台持ちをしている。ウィルコムユーザーとしてはPHSとスマホの抱き合わせ商品を連想するが、ソフトバンクの電話は所謂ガラケー・フィーチャーフォンであり、スマホではない。なのに、ソフバン電話はネット接続にしか使ってないという。どうやら仕事先でのなんちゃらがあって契約したらしい。もう2年たっているので解約すればいいと思うのだが、Cは家にネットを引いておらず、テレビもあまり見ない(ブラウン管テレビをアパートで引いてあるケーブルテレビに相乗りしてデジアナ変換で見ているだけだという)し、新聞もとっていないので、コレがないと困るそうな。あとは仕事先のパソコンで暇な時間にネットでニュースを見るくらいしか情報を入手する手段がないとか。
「ネットくらい引け。安いノーパソでも液晶画面が見やすくてキーボードが歪まないヤツを選べば大丈夫、今のなら十分な性能がある。PHSだけ通話とメールのために残して携帯電話を解約すれば、今まで使っていたパケット料金で払えてお釣りが来るくらいの安い回線だってあるし」
と言うと、
「外で使えなくなる。家じゃネットは多分しない。パソコンは持ち歩けないからイヤだ。転勤で引っ越しも多いし」
と言い張る。友人Cは絶対自分の職種を教えてくれない人だが、話の細部から拾う限りどう聞いてもどこかの店舗の販売員。そうそう外出しないようだし、店のパソコンでネットに接続も出来るようだ。おまけにCの使っているPHSはWEBブラウザ機能を持っているためにちょっと見る程度ならそれで十分だと思うので、外でのネット利用にこだわる理由が分からないのだが、そう言って聞かない。まぁ引っ越しが多いのは確かなようなので
「だったら、わたしの使っているWiMAXみたいな無線のデータ通信はどうだ? こういうの(と、Androidのウォークマンを見せる)と組み合わせれば持ち歩きに不便なく外でもネットにつなげるし、携帯電話専用サイトしかみられない今のより情報量も多い。引っ越してもある程度の規模以上の市ならたいてい繋がる。パソコン買ってもそっちとつなげて有線回線の代用も出来るから一回線で全部済ませられるし、ヘタにスマホとか使うより料金も安く済むから」
と勧めたら
「WiMAXだとソフトバンクからの乗り換え優待が出来ないし、イーモバイルは店員がこっちを騙して2年縛りにさせようとするからイヤだ」
ひどい言いがかりと思う。イーモバに限らず電話会社は別に騙そうとなんてしていない。2年縛りなら比較的お得だというプランを用意して勧めているだけだ。ただ、こういう手合いは「自分は騙される」と一度思い込むとこっちが何を言っても受け付けないことが多いので、そこら辺は訂正しないでおこう。
「イーモバは2年縛りかも知れないけど、WiMAXなら一年縛りでルーターをタダでくれるプロバイダもある。そういうところならそもそも乗り換えの優待なんかいらないだろ」
と、いくら言っても「結局騙される・・・」「外で持ち歩きが・・・」「携帯電話だけで・・・」と支離滅裂しどろもどろな発言を繰り返して歩み寄りがない。じゃぁせめてスマホにしたら、と言えば「スマホは使いにくそうだからイヤだ」ときたもんだ。ようするに、Cは解約したり契約したりという自分から問い合わせて環境を新しくするのを面倒くさがってイヤがるタイプなのだ。やってもいいのは2年縛りの契約切れを利用した機種変だけ。なのに、そこになんだかんだと理由を付けようとやっきになるから会話はループするし、理屈がなくなってくる。それならそれで、余計なことに手を出そうとしなければいいと思う。だが、なぜかこういうタイプに限って、自分の中だけでは新しいことや余計なことをやりたがるし、そのための情報を実に中途半端な形で見つけて持ってくる傾向にあるというのは、一体どういうことなのだろう。
「携帯電話でYouTubeの動画の再生がやりたい、出来るらしい、出来るようにしてくれ」
という話をCが持ってきたのは三日前のことだった。Cの古いフィーチャーフォンでは最近のYouTube動画の再生に機能がついていかず、せいせい20秒くらいで止まってしまう。この直前までネット回線や無線データ通信の導入を勧めていたのはYouTube再生問題もあったためなのだが、それを「別の方法で解決出来る、はず!」な情報を得たと自信満々に持ってきた。なんでも、URLを少し書き換えれば動画が軽くなって手持ちの携帯電話で見られる魔法のようなことが起こる、とネットに書いてあったという。ただ、そのやり方をマネしても自分では全く出来ないのでやってくれとのこと。その情報が載っているというサイトを検索してみせてもらうと、何年も前のブログ記事。どうやらYouTubeの黎明期に動画を別フォーマットに変換して送ってくれる、中間サーバーのようなものが存在していた、という内容らしいのだが、少なくともそこに貼られていたURLのサーバーはとっくに閉鎖していた。
「もうサーバーが閉鎖していて無理」
「そんなことはない。ちゃんと出来ると書いてある」
「情報が古いんだよ。どんどん新しいのに買い換えるのが当たり前のスマホ時代に、わざわざ旧型のフィーチャーフォンのためのサーバーを無料でいつまでも動かしてないよ」
「じゃぁ別の方法を試そう。"携帯動画変換君"とかいう携帯電話でYouTubeを保存した上で見られるようにする方法もあるらしいぞ」
「携帯動画変換君はパソコン用のソフトだよ。パソコンでYouTubeの動画を取り込んで、それを携帯電話で再生出来るように変換して、MicroSDカードを使って移しているだけ。パソコンを使わなきゃ無理」
「この間店のパソコンで調べたんだけど、ちゃんとこの携帯電話だけでYouTubeの再生が出来たという動画がアップされていたはず」
「あれは自作ソフトを使って、YouTube動画の取り込みと配信を出来るようにサーバー化した自分のパソコンに携帯電話で直接アクセスして見られるようにした、というヘビーな例。携帯動画変換君よりもずっと高度なパソコン知識が必要だぞ。もちろんパソコンと太いネット回線は必須だ」
「・・・・・・いや、なんか方法があるだろ。技術は進歩しているんだし、この携帯電話だけでYouTubeを見たり保存したりできるようになる方法がきっとあるはず」
正直この時点で友人Cの頼みを聞く気も、パソコンやスマートフォンを勧める気も全くなくなり、「あきらめなさい」という説得にかなりの時間を費やした。技術は新しいものを創造するために使われるもので、古ぼけた機械を無料でそのまま最新の環境に変える魔法ではないし、そういう風に発展することもない。新しい環境に金を出すこと・変えることを拒否した時点で新しい技術の恩恵が受けられないのは当たり前である。なのに、古くて正確かどうかも判断できない情報やかじっただけの知識を錦の御旗のごとく振りかざし「出来るはずだ、自分は出来ないけど方法はあるはずだからやってくれ、でも自分の手持ちのものは買い換えたくない」と要求してくるケースが一番タチが悪いという例で、友人Cには悪いが採り上げさせてもらった。結局Cは新しい環境への移行を避けようとしたあげく、楽しみも新しいことも出来るようにならない、一番損な道を選択してしまった。今回はわたしは「知っている」側にいたが、そうでない場合は、せめて他人に迷惑がかかるようにはしたくないものである。
ちなみにこの友人C、この後ネット動画愛好家の友人Bのところにも相談に行ったらしいが、わたし以上にパソコンネット環境に依存しているBにとってCの言い分はとんでもないことであったらしく、そうとうキツイ口調で怒鳴られてきたそうな。
「ネットくらい引け。安いノーパソでも液晶画面が見やすくてキーボードが歪まないヤツを選べば大丈夫、今のなら十分な性能がある。PHSだけ通話とメールのために残して携帯電話を解約すれば、今まで使っていたパケット料金で払えてお釣りが来るくらいの安い回線だってあるし」
と言うと、
「外で使えなくなる。家じゃネットは多分しない。パソコンは持ち歩けないからイヤだ。転勤で引っ越しも多いし」
と言い張る。友人Cは絶対自分の職種を教えてくれない人だが、話の細部から拾う限りどう聞いてもどこかの店舗の販売員。そうそう外出しないようだし、店のパソコンでネットに接続も出来るようだ。おまけにCの使っているPHSはWEBブラウザ機能を持っているためにちょっと見る程度ならそれで十分だと思うので、外でのネット利用にこだわる理由が分からないのだが、そう言って聞かない。まぁ引っ越しが多いのは確かなようなので
「だったら、わたしの使っているWiMAXみたいな無線のデータ通信はどうだ? こういうの(と、Androidのウォークマンを見せる)と組み合わせれば持ち歩きに不便なく外でもネットにつなげるし、携帯電話専用サイトしかみられない今のより情報量も多い。引っ越してもある程度の規模以上の市ならたいてい繋がる。パソコン買ってもそっちとつなげて有線回線の代用も出来るから一回線で全部済ませられるし、ヘタにスマホとか使うより料金も安く済むから」
と勧めたら
「WiMAXだとソフトバンクからの乗り換え優待が出来ないし、イーモバイルは店員がこっちを騙して2年縛りにさせようとするからイヤだ」
ひどい言いがかりと思う。イーモバに限らず電話会社は別に騙そうとなんてしていない。2年縛りなら比較的お得だというプランを用意して勧めているだけだ。ただ、こういう手合いは「自分は騙される」と一度思い込むとこっちが何を言っても受け付けないことが多いので、そこら辺は訂正しないでおこう。
「イーモバは2年縛りかも知れないけど、WiMAXなら一年縛りでルーターをタダでくれるプロバイダもある。そういうところならそもそも乗り換えの優待なんかいらないだろ」
と、いくら言っても「結局騙される・・・」「外で持ち歩きが・・・」「携帯電話だけで・・・」と支離滅裂しどろもどろな発言を繰り返して歩み寄りがない。じゃぁせめてスマホにしたら、と言えば「スマホは使いにくそうだからイヤだ」ときたもんだ。ようするに、Cは解約したり契約したりという自分から問い合わせて環境を新しくするのを面倒くさがってイヤがるタイプなのだ。やってもいいのは2年縛りの契約切れを利用した機種変だけ。なのに、そこになんだかんだと理由を付けようとやっきになるから会話はループするし、理屈がなくなってくる。それならそれで、余計なことに手を出そうとしなければいいと思う。だが、なぜかこういうタイプに限って、自分の中だけでは新しいことや余計なことをやりたがるし、そのための情報を実に中途半端な形で見つけて持ってくる傾向にあるというのは、一体どういうことなのだろう。
「携帯電話でYouTubeの動画の再生がやりたい、出来るらしい、出来るようにしてくれ」
という話をCが持ってきたのは三日前のことだった。Cの古いフィーチャーフォンでは最近のYouTube動画の再生に機能がついていかず、せいせい20秒くらいで止まってしまう。この直前までネット回線や無線データ通信の導入を勧めていたのはYouTube再生問題もあったためなのだが、それを「別の方法で解決出来る、はず!」な情報を得たと自信満々に持ってきた。なんでも、URLを少し書き換えれば動画が軽くなって手持ちの携帯電話で見られる魔法のようなことが起こる、とネットに書いてあったという。ただ、そのやり方をマネしても自分では全く出来ないのでやってくれとのこと。その情報が載っているというサイトを検索してみせてもらうと、何年も前のブログ記事。どうやらYouTubeの黎明期に動画を別フォーマットに変換して送ってくれる、中間サーバーのようなものが存在していた、という内容らしいのだが、少なくともそこに貼られていたURLのサーバーはとっくに閉鎖していた。
「もうサーバーが閉鎖していて無理」
「そんなことはない。ちゃんと出来ると書いてある」
「情報が古いんだよ。どんどん新しいのに買い換えるのが当たり前のスマホ時代に、わざわざ旧型のフィーチャーフォンのためのサーバーを無料でいつまでも動かしてないよ」
「じゃぁ別の方法を試そう。"携帯動画変換君"とかいう携帯電話でYouTubeを保存した上で見られるようにする方法もあるらしいぞ」
「携帯動画変換君はパソコン用のソフトだよ。パソコンでYouTubeの動画を取り込んで、それを携帯電話で再生出来るように変換して、MicroSDカードを使って移しているだけ。パソコンを使わなきゃ無理」
「この間店のパソコンで調べたんだけど、ちゃんとこの携帯電話だけでYouTubeの再生が出来たという動画がアップされていたはず」
「あれは自作ソフトを使って、YouTube動画の取り込みと配信を出来るようにサーバー化した自分のパソコンに携帯電話で直接アクセスして見られるようにした、というヘビーな例。携帯動画変換君よりもずっと高度なパソコン知識が必要だぞ。もちろんパソコンと太いネット回線は必須だ」
「・・・・・・いや、なんか方法があるだろ。技術は進歩しているんだし、この携帯電話だけでYouTubeを見たり保存したりできるようになる方法がきっとあるはず」
正直この時点で友人Cの頼みを聞く気も、パソコンやスマートフォンを勧める気も全くなくなり、「あきらめなさい」という説得にかなりの時間を費やした。技術は新しいものを創造するために使われるもので、古ぼけた機械を無料でそのまま最新の環境に変える魔法ではないし、そういう風に発展することもない。新しい環境に金を出すこと・変えることを拒否した時点で新しい技術の恩恵が受けられないのは当たり前である。なのに、古くて正確かどうかも判断できない情報やかじっただけの知識を錦の御旗のごとく振りかざし「出来るはずだ、自分は出来ないけど方法はあるはずだからやってくれ、でも自分の手持ちのものは買い換えたくない」と要求してくるケースが一番タチが悪いという例で、友人Cには悪いが採り上げさせてもらった。結局Cは新しい環境への移行を避けようとしたあげく、楽しみも新しいことも出来るようにならない、一番損な道を選択してしまった。今回はわたしは「知っている」側にいたが、そうでない場合は、せめて他人に迷惑がかかるようにはしたくないものである。
ちなみにこの友人C、この後ネット動画愛好家の友人Bのところにも相談に行ったらしいが、わたし以上にパソコンネット環境に依存しているBにとってCの言い分はとんでもないことであったらしく、そうとうキツイ口調で怒鳴られてきたそうな。