番組単体の好き嫌いはともかく、ジャンルとしては嫌いな人は少ないだろう分野に、クイズ番組がある。かつてそれに近い分野に身を置いたことがあるわたしは「日本人は自分の知っている知識を刺激されることに快感を覚える」という説を持っており、多くの人にそれが当てはまると確信している。
かつてクイズ番組といえば視聴者参加型も多く存在していたが、現在は民放では老舗の「パネルクイズ アタック25」があるのみ。多くは芸能人が答えるものとなっている。そうなってしまったのは諸説あるが、まとめれば「回答まで含めてディレクターが演出出来るから」というところが根本になっていると思われる。視聴者参加型の場合、参加メンバーによっては番組がメチャクチャになってしまう可能性があるからだ。特にその傾向が強いのが大学のクイズ研究会出身者と言う話を聞いたことがある。
実際知り合いの、大学クイ研の中でも名門と言われた早稲田大学クイズ研究会の出身者がかつて存在した視聴者参加型クイズ番組に参加したときのビデオを見せてもらったことがある。その中身はやはり、番組になっていなかった。ろくに問題文が読まれないウチにさっさと回答ボタンを押して、さっと答えてしまうためにクイズ番組の見方である「視聴者も答を考える」暇が全く無い。ほとんどの問題を一人で答えるため、点数による順位の抜きつ抜かれつの楽しみも全く無い。難しい答を要求する問題を間違えたときも、「あ、そっちか」などと独り言をいちいちつぶやくのが見ていてウザったい。途中からあきらかに他の回答者はやる気をなくしてボタンを押そうともしなかったため、結果は他の回答者の点数全部を足してもその一人の点数の半分程度、という圧勝であった。わたしがディレクターだったら、出したくないだろうと思う典型的なクイ研回答者だった。
結局クイ研出身者は他の一般視聴者との意識の圧倒的な差によって問題の難易度は高めたが、視聴者の見る気を失ってしまうわけのわからない問題ばかり出題される番組しか残らなくなるようにしてしまった。それらも定期放送から季節ごとのスペシャル放送へと放送回数を減らしていく。それでも、早押しという技術を使わない「クイズ ミリオネラ」のようなゆっくり個別回答型の登場によって延命はされたが、やがて消えていった。
ただし、演出がきく芸能人回答者のクイズ番組ならいいかと言えばさにあらず。一時雑学ブームによってかなりテレビにクイズ番組が戻ってきたことがあったが、その多くがタレントがたくさん映る"ひな壇バラエティ"に過ぎなかった。出演者も「面白く間違えて目立つ」「誤答も演出」とでも思ったのか、わざとらしい出鱈目回答を連発する「おバカキャラ」が大量発生し、クイ研出身者に占領された番組と真逆のようで限りなく近い番組崩壊が起こった。わたしが「史上最低のクイズ番組」と評している「クイズ ヘキサゴンII」では、用意しておいた問題を全部使い切り、一度出題した問題をもう一度出題するという非常事態に陥ったことがある。それでも「おバカキャラ」はわざと間違い続けた。いい加減にしろ、とさすがに怒りを覚えたものだ。
しかし、今「ゆっくり個別型回答」を採用しながらも対戦型でもあるクイズ番組が放送中である。日本放送協会の総合でお昼に放送中の「連続クイズ ホールドオン!」 個人的に今地上波で一番熱い番組である。
なんたって回答者のレベルが全然高くない。以前民放で視聴者参加型クイズ番組が企画されたときに「クイ研出身者は番組に出さない」ため、書類審査に書かれた出身大学で振り分けていた、という噂があった(結局その番組は芸能人回答番組にリニューアルしたが)が、それと同じことを民放以上に徹底しているのではないかと思うくらいギリギリの回答者がほとんど。ゆっくり個別回答のために視聴者も答を考えられる、ちょっと調子が良ければ誰でもチャンピオンに勝てそうな気がする、程度のレベルに押さえられているなど、イライラする要素が無い。多少は"大人の事情"は感じるし日本放送協会の番組ゆえに演出は物足りないが、久々に安心して見られるクイズ番組になっている。
ただし、だ。先週から「夏休み親子スペシャル」と称して親子がペアとなって回答者になっているが、初日からチャンピオンが無敗なのだ。正直言って今までのシリーズと違い、このチャンピオンには見ていて勝てる気が全くしない。
チャンピオンと最終週回答者の直接対決は分野をチャンピオンが指定できる。同じ分野ではなく、チャンピオンが回答する分野と挑戦者が回答する分野の両方をチャンピオンが選べるため、親子回答だとチャンピオンが有利なのは分かる(相手が母と娘のペアなら、男の子の得意そうな分野をあてがうなどできるため)。それにもましてチャンピオン側が強いのは、ほとんどの回答を「ストレート」で答えてしまうためである。
この番組、回答方式が3つあって、回答者が任意で選べるようになっている。
・ストレート・・・答を直接答える。正解だと50点。
・スクエア・・・・・四択の中から答える。正解だと30点。多くの回答者はこの方式を選ぶ。
・デュオ・・・・・・・選択肢が二択になる。正解しても10点にしかならないため、滅多に使われない。
問題は全部で5問。最高250点だが、今までなら100点を超えるとたいてい勝てる。が、今のチャンピオンは平気で230点などの点数をたたき出すため、挑戦者は全問題ストレート正解を狙わないと勝ち目がない。ただ挑戦者が先に答えるのでほとんどをスクエアで答えるやり方になってしまう。昨日など少々チャンピオン側の問題を難しくしたのか久々に接戦だったが、それでも150対110でチャンピオンの勝利だった。
よく見ると、親子と言ってもチャンピオンペアはお父さんの方ばかり答えているんだよなぁ。なのであまり親子ペアって感じがしない。なんで普通に子ども大会にしなかったのだろうか。そこが残念。
それでも貴重なクイズ番組である。そう長期化はしないだろうが、民放がもうちょっとマシになるまでは続いて欲しい番組と思っている。
かつてクイズ番組といえば視聴者参加型も多く存在していたが、現在は民放では老舗の「パネルクイズ アタック25」があるのみ。多くは芸能人が答えるものとなっている。そうなってしまったのは諸説あるが、まとめれば「回答まで含めてディレクターが演出出来るから」というところが根本になっていると思われる。視聴者参加型の場合、参加メンバーによっては番組がメチャクチャになってしまう可能性があるからだ。特にその傾向が強いのが大学のクイズ研究会出身者と言う話を聞いたことがある。
実際知り合いの、大学クイ研の中でも名門と言われた早稲田大学クイズ研究会の出身者がかつて存在した視聴者参加型クイズ番組に参加したときのビデオを見せてもらったことがある。その中身はやはり、番組になっていなかった。ろくに問題文が読まれないウチにさっさと回答ボタンを押して、さっと答えてしまうためにクイズ番組の見方である「視聴者も答を考える」暇が全く無い。ほとんどの問題を一人で答えるため、点数による順位の抜きつ抜かれつの楽しみも全く無い。難しい答を要求する問題を間違えたときも、「あ、そっちか」などと独り言をいちいちつぶやくのが見ていてウザったい。途中からあきらかに他の回答者はやる気をなくしてボタンを押そうともしなかったため、結果は他の回答者の点数全部を足してもその一人の点数の半分程度、という圧勝であった。わたしがディレクターだったら、出したくないだろうと思う典型的なクイ研回答者だった。
結局クイ研出身者は他の一般視聴者との意識の圧倒的な差によって問題の難易度は高めたが、視聴者の見る気を失ってしまうわけのわからない問題ばかり出題される番組しか残らなくなるようにしてしまった。それらも定期放送から季節ごとのスペシャル放送へと放送回数を減らしていく。それでも、早押しという技術を使わない「クイズ ミリオネラ」のようなゆっくり個別回答型の登場によって延命はされたが、やがて消えていった。
ただし、演出がきく芸能人回答者のクイズ番組ならいいかと言えばさにあらず。一時雑学ブームによってかなりテレビにクイズ番組が戻ってきたことがあったが、その多くがタレントがたくさん映る"ひな壇バラエティ"に過ぎなかった。出演者も「面白く間違えて目立つ」「誤答も演出」とでも思ったのか、わざとらしい出鱈目回答を連発する「おバカキャラ」が大量発生し、クイ研出身者に占領された番組と真逆のようで限りなく近い番組崩壊が起こった。わたしが「史上最低のクイズ番組」と評している「クイズ ヘキサゴンII」では、用意しておいた問題を全部使い切り、一度出題した問題をもう一度出題するという非常事態に陥ったことがある。それでも「おバカキャラ」はわざと間違い続けた。いい加減にしろ、とさすがに怒りを覚えたものだ。
しかし、今「ゆっくり個別型回答」を採用しながらも対戦型でもあるクイズ番組が放送中である。日本放送協会の総合でお昼に放送中の「連続クイズ ホールドオン!」 個人的に今地上波で一番熱い番組である。
なんたって回答者のレベルが全然高くない。以前民放で視聴者参加型クイズ番組が企画されたときに「クイ研出身者は番組に出さない」ため、書類審査に書かれた出身大学で振り分けていた、という噂があった(結局その番組は芸能人回答番組にリニューアルしたが)が、それと同じことを民放以上に徹底しているのではないかと思うくらいギリギリの回答者がほとんど。ゆっくり個別回答のために視聴者も答を考えられる、ちょっと調子が良ければ誰でもチャンピオンに勝てそうな気がする、程度のレベルに押さえられているなど、イライラする要素が無い。多少は"大人の事情"は感じるし日本放送協会の番組ゆえに演出は物足りないが、久々に安心して見られるクイズ番組になっている。
ただし、だ。先週から「夏休み親子スペシャル」と称して親子がペアとなって回答者になっているが、初日からチャンピオンが無敗なのだ。正直言って今までのシリーズと違い、このチャンピオンには見ていて勝てる気が全くしない。
チャンピオンと最終週回答者の直接対決は分野をチャンピオンが指定できる。同じ分野ではなく、チャンピオンが回答する分野と挑戦者が回答する分野の両方をチャンピオンが選べるため、親子回答だとチャンピオンが有利なのは分かる(相手が母と娘のペアなら、男の子の得意そうな分野をあてがうなどできるため)。それにもましてチャンピオン側が強いのは、ほとんどの回答を「ストレート」で答えてしまうためである。
この番組、回答方式が3つあって、回答者が任意で選べるようになっている。
・ストレート・・・答を直接答える。正解だと50点。
・スクエア・・・・・四択の中から答える。正解だと30点。多くの回答者はこの方式を選ぶ。
・デュオ・・・・・・・選択肢が二択になる。正解しても10点にしかならないため、滅多に使われない。
問題は全部で5問。最高250点だが、今までなら100点を超えるとたいてい勝てる。が、今のチャンピオンは平気で230点などの点数をたたき出すため、挑戦者は全問題ストレート正解を狙わないと勝ち目がない。ただ挑戦者が先に答えるのでほとんどをスクエアで答えるやり方になってしまう。昨日など少々チャンピオン側の問題を難しくしたのか久々に接戦だったが、それでも150対110でチャンピオンの勝利だった。
よく見ると、親子と言ってもチャンピオンペアはお父さんの方ばかり答えているんだよなぁ。なのであまり親子ペアって感じがしない。なんで普通に子ども大会にしなかったのだろうか。そこが残念。
それでも貴重なクイズ番組である。そう長期化はしないだろうが、民放がもうちょっとマシになるまでは続いて欲しい番組と思っている。