Quantcast
Channel: 録画人間の末路 -
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1579

特撮怪獣ファン垂涎!!「アトランティス7つの海底都市」

$
0
0
最近購入したDVDの消化が追い付いていません。この間買ったRyzenPCが快適で録画もののエンコードがシャキシャキ進むのでそっち中心の視聴になってしまい(もちろんそれで良いんですが)、購入ものまで手が回らなくなってます。積読ならぬ積視・・・これはいかん。せめてわが趣味ど真ん中のやつからだけでも消化していきましょう。と、いうわけで手を使えたのが「アトランティス7つの海底都市」です。なにせこの映画、特撮怪獣ファン垂涎!!の作品なんですよ。だってパッケージにそう書いてあるんだもん。そうとなったら地区屈指の特撮怪獣ファンを自称するわたしが見ておかないわけにはいかないでしょう。

アトランティス 7つの海底都市 [DVD]ブライアン・ヘイルズ,ジョン・ダーク,アラン・ヒューム,マイク・ヴィッカーズ映像文化社

なお、残念ながら昔別のメーカーから発売された時には収録されていた日本語吹き替え音声は未収録となっています。そこそこの値段するんだからそこらへんの権利金ケチすることないのに。
本作の監督は一度聴いたらなかなか忘れらないケヴィン・コナー。1970年台には恐竜や怪獣が登場する映画を手掛けた監督さんです。残念ながら80年台以降は怪獣の出ない冒険ものが主体になってしまうのですが、それはさておき。わたしは今まで同監督の同種の作品はこれ以前は「恐竜の島」をレンタルビデオで見た経験しかなく(「地底王国」持ってはいるのですが積視・・・)その時の恐竜表現が遊園地のアトラクションのようなパペット式操演を多用していたのでさすがに物足りず、ちょっとガッカリした覚えがあります。それに同作は怪獣ものというよりはあくまで恐竜ものでした。一方、「アトランティス 7つの海底都市」は恐竜ではなく怪獣が登場する作品です。なお、「7つの海底都市」をうたっていながら本作のアトランティス水下にある泡の世界にある都市ですでに2つは滅んでおり、5つしか残っていないというタイトルに偽りあり、の作品になってます。原題はパッケージには「WARLORD OF ATLANTIS」となっていますが、裏面に小さく「原題:7 CITIES OF ATLANTIS / WARLORD OF ATLANTIS」とあるので、邦題はその前者を使ったものでしょう。 
本作最大の見どころが登場する怪獣たちであるのは言うまでもありません。アトランティスの支配者(自称火星人)のうさん臭さだの現代への警鐘だのと言った要素はそれを見せ場にするための前座にすぎないのです。「恐竜の島」ではパペット操演でしかなかった巨大生物が本作では日本の特撮のようなピアノ線を用いた操演やぬいぐるみ方式による怪獣表現になっており、迫力は段違いです。特にすばらしいのがそのぬいぐるみ表現を使った怪獣「モグダン」と「ザルグ」の二種類。そう、これも日本のように怪獣らしい名前がついていて、劇中でそう呼ばれているのです!! 日本以外の国で作られる映画に登場する怪獣の多くはその始祖である「キング・コング」を例外として名前に無頓着であることが多いのです。一応種別がナニという説明はあっても劇中では終始「クリーチャー」「ビースト」と呼ばれることが多く、名前も設定のみというパターンも少なからずあります。前に書いたことがありますが、日本の怪獣映画の一つ「フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ」は海外では「THE WAR OF THE GARGANTUAS」というタイトルで公開され、劇中でのサンダ・ガイラの呼称は「ブラウン」「グリーン」という色だけの区別呼称に変更されてしまいました。それくらい海外では怪獣の名前に無頓着なのです。ものによっては日本のマニアが勝手に海外怪獣に名前を付けたケースさえあるのです。なのに「アトランティス 7つの海底都市」ではいかにも怪獣らしい名前が付けられ、ちゃんと劇中でその名で呼ばれている、これだけで画期的なのです。なるほど、特撮怪獣ファン垂涎!!を語るだけのことはあります。ただ、残念ながらこうしたイカスネーミングセンスを持つのはあの世界ではアトランティスの住人だけらしく、序盤に登場する潜水艇の底を破って首を突っ込んでくる巨大生物は、搭乗員が一目みて「板皮類のアンティアーク・ボトリオレピス」と見切ったので(もちろんそんな名前の古代生物など存在しませんが)そう呼ばれてしまいます。ただ、それではつまらないのでパッケージや文献では勝手に「タートルスネーク」と名付けられていますが。
もちろんただ名前がついているだけが「アトランティス」怪獣の魅力ではありません。パッケージでは大きく描かれているモグダンの方は、特にお姉さんと時空を超えると唐突にその時代の有名人に話しかけられるなどの特殊能力があるわけでもない海に隠れているだけのただの人食い怪獣で、演出も若干面白みに欠けます。一方、もう一種類のザルグの方は二個体が登場。人を食うために都市に襲い掛かってくるのですが、都市側もそれを防ぐために高い城壁を作って防衛ラインを敷いています。ザルグが近づいてくると都市側は着火装置もない外から火種をつけるしかない大砲で迎撃、それをザルグが凌いで壁をよじ登ってくる(!)と、衛兵は上から石や木を落として対抗・・・。まるでしばらく前に映画化された某マンガ序盤を見ているかのごとき原始的な戦法による攻防は見ていて心が躍ります。アトランティスの支配者は火星人を自称し、むしろ現代地上人よりも優れたか学力を持っているように描かれているのになんでこんな中世みたいな古い戦い方を? と最初は思ったのですが、ここで防衛に当たっている衛兵は無理やり連れてこられた地上人なので、反乱を起こされないように原始的な装備しか使わせてもらえないのでしょう。

と、噂通り怪獣に関しては一見の価値ありでした。が、モグダンにしてもザルグにしても、またタートルスネークやクラーケンにしても作中では倒されることはありませんでした。主人公一行は怪獣が暴れている隙をついて逃げ出すばかりです。まぁ実際怪獣が出現したらまずなんとかして逃げることを考えるのは当然ですが、映画としてはもう一つ盛り上がりに掛けちゃうんですよねぇ、そこが残念。やはり日本人の琴線を震わせる怪獣映画を国外が作れるようになるには40年は早かったということでしょうか。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1579

Trending Articles