ちょっと前から送料無料を条件付きにしたことが話題になったAmazon。今回とりあげるソフトを含め、DVDソフトを3枚取り寄せたんですが、10枚以上は入るでかいダンボール箱に、一応ダンボール板にビニールまいてプレスはしてあるものの、中でバラバラ状態でした。破損するほどではないにしてもなんか無料のときより大雑把になってしまった印象・・・大丈夫か? Amazon
今回購入したDVDソフトはこちらになります。
プラン9・フロム・アウター・スペース × グレンとグレンダ【エド・ウッド監督作品 ダブル・コレクション】 [DVD]ベラ・ルゴシ,エドワード・D・ウッド・Jr,ドロレス・フラー,グレゴリー・ウォルコット,トー・ジョンソン有限会社フォワード
エドワード・D・ウッド・Jr、通称エド・ウッド監督作品二本のカップリングで、そのうちプラン9・フロム・アウター・スペースは以前に同じ販売元から発売済みであり、わたしはすでに所有しているので今回の購入目的はもう一本の「グレンとグレンダ」ということになります。こちらが単体発売されればそれで良かったんですが、生憎とカップリングのみ、しかも今回が同社としては初のDVD化販売となるためにこれを買う以外に選択肢はありませんでした、この時は! なんとこれを注文したあとに
エド・ウッド コレクション DVD-BOXエド・ウッドブロードウェイ
別のメーカーがこんなんだしやがったorz 値段はどんとあがりますが「怪物の花嫁」も収録されているうえ、ボックス仕様・・・。こいつに飛びついた時には今回来たDVD注文したこと、すっかり忘れてたんですよ。キャンセルすりゃ良かった・・・。もうしょうがありません。今回取り上げることで少しでも元を取りましょう。
基本的にB級映画を好んでみる性質とはいえ、興味をそそられるのはホラーもしくはSF風味作品のみであるわたしにとって「グレンとグレンダ」は畑違いの作品であります。にも関わらず購入したのはそのSF風味B級映画の中では特にできの悪さで知られる「プラン9・フロム・アウター・スペース」の監督作品であり、そして同作同様に映画「エド・ウッド」に登場する作品でもあるからです。
過去に紹介したこともある映画「エド・ウッド」はティム・バートン監督によって作られた作品で、「グレンとグレンダ」「怪物の花嫁」「プラン9・フロム・アウター・スペース」の三本の映画を撮ったころのエドと、客寄せのために出演した往年の映画スター、ベラ・ルゴシの二人を中心に書いた作品です。三本の作品はかなり忠実な劇中再現がありますが内容に関しては「最悪の作品」「これは本当に映画なのか?」とプロデューサーや売り込み先にけなされるだけで実際の中身は分かりませんでした。理解するには実際の作品を見るしかありません。そういう意味で楽しみにしていたのが本作「グレンとグレンダ」なのです。ちなみにカップリングと言っても同梱されているDVDは一枚だけ、しかも片面一層という小容量に総計150分の2作品が収録されているのですから、当然ビットレートは低く画質も大したことはありません。ですが2作品とも画質を楽しみ作品ではありませんし、VHSソフトをダビングしただけということもなくフィルムからスキャンしてありましたので最低限はクリアしていると言っていいでしょう。
冒頭、ベラ・ルゴシが登場してなにやらおぞましいセリフとともに化学の実験を行い、「あれ? ホラー映画かSF映画?」と視聴者を煙に巻くシーンから始まりますが本編はそれとは全く関係なく、女装癖のある男がそれを理由に警察から四回も逮捕され、それを苦に自殺というとんでもないシーンから始まります。担当の刑事はホトケの心境を知るためにその道の権威という医者を訪ね、二つの事例を聞かされます。その一つが"グレンとグレンダ"なのですが、本作のほとんどはその医者によるナレーションで展開し、映像や登場する人物のセリフはその説明を補足するだけのもので、演技や演出でストーリーが進むことがほとんどありません。ときおりベラ・ルゴシが出てきてはいろいろ言いますが本編の補足にはなっておらず、全く意味が分からないのです。"グレン"とはその一つ目の事例の人物で女装がやめられず、婚約した女性と結婚していいものかどうか悩んでいるという人で、パッケージの裏には「ダニエル・デイヴィス」とありますがこれはスタッフロールに出てくる役者名にすぎず、グレンを演じるのは監督兼脚本家のエド・ウッドその人本人です。この作品によって当時の姿が完全に残ってしまっているのはエド本人にとって良かったのか悪かったのか分かりませんが、映画「エド・ウッド」を撮るときに最高の資料になったのは間違いないでしょう。グレンは女装しているときの自分を別人格のように思い込んでいるという説明があり、その時の名が"グレンダ"なのですが、それが重要な意味を持つシーンは映画内には全くなく、単にタイトルのゴロのよさ(現題は"GLEN OR GLENDA")をとったとしか思えません。内容がすすむと一時説明はなくなり、それまで登場しなかった人物のなにやらエロティックなシーンがそれっぽい音楽とともにセリフもなく展開し、なにやらグレンが自分の癖に悩んでいるっぽいとは思うのですが、やたら画面が飛ぶのでわけがわかりません。いくらグレンの苦悩を映像だけで表現しようとしても、どうみても技術もそれまでの展開を踏まえた演出も、理想についていってないのです。なによりちょろちょろ登場する髪の毛が触覚のようにとがっている謎の人物(怖い)のインパクトが強すぎて映像を理解する気になりません。最後には女装壁は婚約者に受け入れられ、幸せな結婚生活とカウンセリングの効果でグレンダは消え、グレンは幸福に暮らしたらしい、となるのですが・・・。
一方、もう一つの事例として挙げられた男性は、現在でいう性同一性障害、しかも不完全ながら両性具有者であったということであり、これを性転換手術で克服するというものでした。ちゃんと女性と恋をし、男性として生活できるただの女装壁持ちとは全く次元の異なる話で、両者を似た事例として並列する意味が全く分からないのです。後者の話だけならある意味現代にも通ずる先人的テーマであるのですがこちらは大半を記録フィルムを使ったオマケ扱いの部分で、話のほとんどは前者に偏っています。
とにかく終始全く分からない内容で、わたしでは説明のしようがありません。わたしに説明できるのはベラ・ルゴシパートで語られる"子犬のしっぽ"や"太ったカタツムリ"というのがマザーグースの一本にあげられる「男の子はなんでできている?」の歌詞にあるものだ、ということくらいです。多分なにかの象徴なんでしょうが、わたしはそこまで詳しくないです。この「グレンとグレンダ」をある程度理解してみるに必要なのが「エド・ウッド」でしょう。本作では「グレン~」は性転換映画をベースにしてもともと女装壁のあったエド・ウッドがその癖を恋人に打ち明けるために設定を勝手に変え、女装壁の方を前面に出して作った映画とされています。正直どこまで本当か分かりません。「エド・ウッド」はある程度事実に沿っているとはいえ、当然面白くするために盛った部分・勝手に作った部分は多々あるでしょうからそれらが事実に沿ったものかまでは分からないのです。が、そうとでも思ってみなければ理解することさえ拒否したくなるような映画が「グレンとグレンダ」なのです。つまり「グレンとグレンダ」を見るためには「エド・ウッド」が欠かせず、「エド・ウッド」をより面白く見るために「グレンとグレンダ」は一度は見ておきたいという、両者が相互補完を行う関係となっているのです。映画を見るための映画、と考えればいくらわけわからなくてもまぁ構わないでしょう。一方、「プラン9・フロム・アウター・スペース」ももちろんいろいろ理解に苦しむ内容ですが、説明ナレーションでしかストーリーが進まない「グレンとグレンダ」よりはマシな作りになっている感じです。細かい部分の突っ込みはもちろん「エド・ウッド」を見ておくとより楽しめます。
エド・ウッド [DVD]ティム・バートン,スコット・アレクサンダー,ラリー・カラツェウスキーブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
しかし、何度聞いても冒頭の音楽のイントロ、日本製怪獣映画「大怪獣バラン」のバラダギ様に祈りをささげる曲をパクッて使っているようにしか聞こえないなぁ。
今回購入したDVDソフトはこちらになります。

エドワード・D・ウッド・Jr、通称エド・ウッド監督作品二本のカップリングで、そのうちプラン9・フロム・アウター・スペースは以前に同じ販売元から発売済みであり、わたしはすでに所有しているので今回の購入目的はもう一本の「グレンとグレンダ」ということになります。こちらが単体発売されればそれで良かったんですが、生憎とカップリングのみ、しかも今回が同社としては初のDVD化販売となるためにこれを買う以外に選択肢はありませんでした、この時は! なんとこれを注文したあとに

別のメーカーがこんなんだしやがったorz 値段はどんとあがりますが「怪物の花嫁」も収録されているうえ、ボックス仕様・・・。こいつに飛びついた時には今回来たDVD注文したこと、すっかり忘れてたんですよ。キャンセルすりゃ良かった・・・。もうしょうがありません。今回取り上げることで少しでも元を取りましょう。
基本的にB級映画を好んでみる性質とはいえ、興味をそそられるのはホラーもしくはSF風味作品のみであるわたしにとって「グレンとグレンダ」は畑違いの作品であります。にも関わらず購入したのはそのSF風味B級映画の中では特にできの悪さで知られる「プラン9・フロム・アウター・スペース」の監督作品であり、そして同作同様に映画「エド・ウッド」に登場する作品でもあるからです。
過去に紹介したこともある映画「エド・ウッド」はティム・バートン監督によって作られた作品で、「グレンとグレンダ」「怪物の花嫁」「プラン9・フロム・アウター・スペース」の三本の映画を撮ったころのエドと、客寄せのために出演した往年の映画スター、ベラ・ルゴシの二人を中心に書いた作品です。三本の作品はかなり忠実な劇中再現がありますが内容に関しては「最悪の作品」「これは本当に映画なのか?」とプロデューサーや売り込み先にけなされるだけで実際の中身は分かりませんでした。理解するには実際の作品を見るしかありません。そういう意味で楽しみにしていたのが本作「グレンとグレンダ」なのです。ちなみにカップリングと言っても同梱されているDVDは一枚だけ、しかも片面一層という小容量に総計150分の2作品が収録されているのですから、当然ビットレートは低く画質も大したことはありません。ですが2作品とも画質を楽しみ作品ではありませんし、VHSソフトをダビングしただけということもなくフィルムからスキャンしてありましたので最低限はクリアしていると言っていいでしょう。
冒頭、ベラ・ルゴシが登場してなにやらおぞましいセリフとともに化学の実験を行い、「あれ? ホラー映画かSF映画?」と視聴者を煙に巻くシーンから始まりますが本編はそれとは全く関係なく、女装癖のある男がそれを理由に警察から四回も逮捕され、それを苦に自殺というとんでもないシーンから始まります。担当の刑事はホトケの心境を知るためにその道の権威という医者を訪ね、二つの事例を聞かされます。その一つが"グレンとグレンダ"なのですが、本作のほとんどはその医者によるナレーションで展開し、映像や登場する人物のセリフはその説明を補足するだけのもので、演技や演出でストーリーが進むことがほとんどありません。ときおりベラ・ルゴシが出てきてはいろいろ言いますが本編の補足にはなっておらず、全く意味が分からないのです。"グレン"とはその一つ目の事例の人物で女装がやめられず、婚約した女性と結婚していいものかどうか悩んでいるという人で、パッケージの裏には「ダニエル・デイヴィス」とありますがこれはスタッフロールに出てくる役者名にすぎず、グレンを演じるのは監督兼脚本家のエド・ウッドその人本人です。この作品によって当時の姿が完全に残ってしまっているのはエド本人にとって良かったのか悪かったのか分かりませんが、映画「エド・ウッド」を撮るときに最高の資料になったのは間違いないでしょう。グレンは女装しているときの自分を別人格のように思い込んでいるという説明があり、その時の名が"グレンダ"なのですが、それが重要な意味を持つシーンは映画内には全くなく、単にタイトルのゴロのよさ(現題は"GLEN OR GLENDA")をとったとしか思えません。内容がすすむと一時説明はなくなり、それまで登場しなかった人物のなにやらエロティックなシーンがそれっぽい音楽とともにセリフもなく展開し、なにやらグレンが自分の癖に悩んでいるっぽいとは思うのですが、やたら画面が飛ぶのでわけがわかりません。いくらグレンの苦悩を映像だけで表現しようとしても、どうみても技術もそれまでの展開を踏まえた演出も、理想についていってないのです。なによりちょろちょろ登場する髪の毛が触覚のようにとがっている謎の人物(怖い)のインパクトが強すぎて映像を理解する気になりません。最後には女装壁は婚約者に受け入れられ、幸せな結婚生活とカウンセリングの効果でグレンダは消え、グレンは幸福に暮らしたらしい、となるのですが・・・。
一方、もう一つの事例として挙げられた男性は、現在でいう性同一性障害、しかも不完全ながら両性具有者であったということであり、これを性転換手術で克服するというものでした。ちゃんと女性と恋をし、男性として生活できるただの女装壁持ちとは全く次元の異なる話で、両者を似た事例として並列する意味が全く分からないのです。後者の話だけならある意味現代にも通ずる先人的テーマであるのですがこちらは大半を記録フィルムを使ったオマケ扱いの部分で、話のほとんどは前者に偏っています。
とにかく終始全く分からない内容で、わたしでは説明のしようがありません。わたしに説明できるのはベラ・ルゴシパートで語られる"子犬のしっぽ"や"太ったカタツムリ"というのがマザーグースの一本にあげられる「男の子はなんでできている?」の歌詞にあるものだ、ということくらいです。多分なにかの象徴なんでしょうが、わたしはそこまで詳しくないです。この「グレンとグレンダ」をある程度理解してみるに必要なのが「エド・ウッド」でしょう。本作では「グレン~」は性転換映画をベースにしてもともと女装壁のあったエド・ウッドがその癖を恋人に打ち明けるために設定を勝手に変え、女装壁の方を前面に出して作った映画とされています。正直どこまで本当か分かりません。「エド・ウッド」はある程度事実に沿っているとはいえ、当然面白くするために盛った部分・勝手に作った部分は多々あるでしょうからそれらが事実に沿ったものかまでは分からないのです。が、そうとでも思ってみなければ理解することさえ拒否したくなるような映画が「グレンとグレンダ」なのです。つまり「グレンとグレンダ」を見るためには「エド・ウッド」が欠かせず、「エド・ウッド」をより面白く見るために「グレンとグレンダ」は一度は見ておきたいという、両者が相互補完を行う関係となっているのです。映画を見るための映画、と考えればいくらわけわからなくてもまぁ構わないでしょう。一方、「プラン9・フロム・アウター・スペース」ももちろんいろいろ理解に苦しむ内容ですが、説明ナレーションでしかストーリーが進まない「グレンとグレンダ」よりはマシな作りになっている感じです。細かい部分の突っ込みはもちろん「エド・ウッド」を見ておくとより楽しめます。

しかし、何度聞いても冒頭の音楽のイントロ、日本製怪獣映画「大怪獣バラン」のバラダギ様に祈りをささげる曲をパクッて使っているようにしか聞こえないなぁ。