まだ発売されて3か月しか経っていないにも関わらず、なんとなく影が薄くなってしまっているIntelの最新CPU、Kabylake。もっとも、最新と言ってもCPUコアは先代のSkylakeと同じでクロックが少々上がっただけ。そのため、発売当初のイベントでもSkylakeからの買い替えよりそれ以前のSandybridgeなどからの買い替えや、4K配信動画に対応した内蔵GPU、改良されたチップセットと新型マザーボード言った周辺機器のアピールが主でした。ただ、どうしても新鮮味がないのは隠しきれません。CPUの新コアモデルはまだ先になりますが、その前にKabylakeのGPU強化モデルとしてKabylake-Gが投入されるらしい、とのことですが、そのGPUに噂されたAMD製GPU搭載が、どうやら決まりらしいのです。
IntelがHBM2とAMD GPUダイを統合した「Kaby Lake-G」を年内に投入
逆転でキャンセルの可能性ももちろんゼロではないですが、ここまで書いた以上、おそらくこのままAMD製GPU付きで発売されるのでしょう。位置づけとしては、我々の感覚として内蔵GPUにIris PROを使い、eDRAMを内蔵してGPUを高速化したBroadwell-Hの後継という印象です。ただ、いくつか気になることもあります。
1.Intelの内蔵GPUコアも「持ってはいる」と書いてある
2.KabylakeダイとAMD GPUダイはPCI-Expressで結ばれる
3.終始「AMD GPU」としか表記されておらず、「RADEON」と書かれていない
1の点から考えるに、CPU部分はKabylakeそのまま、おそらくi7 7700Kとかi5 7600Kあたりが全くそのまま乗るのではないか、と言う気がします。ひょっとしたらどちらのGPUも切り替えて使える仕様になるかもしれませんが、かなり無駄な使い方という気がします。2はちょっと置いておくとしまして、3のポイントは、何かしらIntelの指示によるもの、という気がします。逆を言えばIntelの意図的なリークによって書かせた可能性が高いということで、リンク先記事の信ぴょう性は高いと言っていいでしょう。書いてはいませんが、使われるGPUコアが全くの新設計や特殊業務用のGPUを使ってくるとは考えにくいので、おそらくRADEONのGPUコアそのものが使われるでしょう。ただ、Intelはそこを明文化する気はないと思われます。
リンク先記事によりますと、IntelがAMD GPUを採用したのはHBM2を使うため、とのことです。AMDは初代HBMの時点でRADEONに採用しており、HBM2も当然ながらRADEONとの親和性は高いと思われますので、そこは必然でしょう、また、Intelが外部からGPUを提供してもらえるもう一つの候補であるNvidiaですが、こちらはあまりこうした別パッケージに採用されるようなカスタマイズ提供に熱心ではないメーカーという印象が強く、Intelとしても採用できなかったものと。一方AMDはゲーム機に採用されているようにオーダーに合わせたカスタマイズ提供やライセンス提供もビジネスの一環としており、CPUでは競合でもGPUに関してはIntel+RADEONという利用者もいることから抵抗は少なかった(ない、ということはないでしょうが)と思われます。
しかし、HBM2を使う、と言っても、2で示したようにCPUとGPUが内部PCI-Express接続なら、HBM2がEMIBというIntelの新技術で接続されるとしてもそれはGPUのみの接続であり(そう書いてはありますが)、おそらくIntelも最終的には狙っているだろHBM2のCPUへの直結には繋がりません。EMIBはHBM2のためのIntelが開発したメモリとの接続方式であり、現状のHBM2と比べて低コストでHBM2の利用を可能にする、とあります。リンク先ではそのEMIBの導入を早めるため、と考えればIntelのAMD GPU採用も「納得がいく」としていますが、わたしにはむしろ納得がいきません。そこまでしてIntelが内蔵GPUを強化したとしても、どれだけ利用されるか、というのが最大の疑問点として浮かび上がってくるからです。正直Broadwell-Hも、eDRAMの搭載やIris PROという名前が先行して話題にはなりましたが、いざ発売されると大して話題にならず、利用者も少なく現状に至る・・・という印象しかありません。Broadwellと言ってもHaswellとCPU部分はほとんど同じであり、すぐに新CPUコアを搭載したSkylakeが発売されることが分かっていたので、そっちに目が行ったためです。正直IntelCPUの内蔵GPUが強化された、と言ってもハイクラスユーザーは別途グラボを使いますし、Intel内蔵GPUで十分と考えるユーザーはeDRAM分の料金アップが敬遠材料となります。あとはメーカー製の小型PCやベアボーン向け用途で、これならそれなりに需要もありそうですが、旧世代を見てもHaswell世代の4770Rを搭載したGIGABYTEのBRIX Proというベアボーンが印象に残ったくらいで、Broadwell-Hの5775Cはほとんど覚えがありません。多分メーカーの積極的な採用例はなかったのではないかと。もちろん、ベンチマークはよくても必ずしも利用に直結しなずやや妥協の産物として扱うIntelのGPUと、ゲーム向けとしても正常進化をしつつFluidMotionVideoなど優れた動画再生支援能力(あるかどうか分かりませんが)を持つち積極的に利用する人も少なくないAMD GPUではだいぶ違いますが、デスクトップ単体利用としても小型利用としてもなんとなく中途半端な気がします。HBM2を搭載せず、Intel GPUの代わりにAMD GPUが統合されたi3やPentiumなら豊富なIntel向けマザーとの組み合わせで小型PC用として魅力的なのですが・・・。もっともやろうとしてもこれはAMDも許可できないでしょうが。将来を見越せば、今は誰もいない市場向けの製品に手間とお金を掛ける価値はある、とIntelは判断しているのでしょうか? どうもピリっとしません。
一方、AMDから見ればIntelがHBM2の統合のための技術開発を行うメリットは計り知れません。現状でもAMDの統合CPU・APUはメモリのアクセスをCPUとGPUで共有しており、どちらからも優先関係なしでアクセスできます。仮にHBM2搭載のAPUが登場した場合、HBM2をGPUと直結すれば必然的にCPUからも直結されることになり、何MB搭載されるか分かりませんが(記事によるとHBM2をフルに活用するには2GB単位の容量が必要とのことですが、CPUパッケージに収まらないのでもっと少なくかつ速度の出る改良をしてくるでしょう)CPUのキャッシュとしても使うことは可能で、メインメモリへのアクセスを大幅に減らすことができます。多分APUはCPUとの差別化のために3次キャッシュを省いてくると思われますが、HBM2がその穴を十二分に埋めてくれるでしょう。その分価格は上がるでしょうが、Intelより性能上昇の幅は大きいと思われるので、お金を出す価値のある製品にすることは可能です。これはIntelがEMIBの仕様をクローズドにしなければ、の話ですが、JEDEC規格のHBMに自社専用のクローズド規格をねじ込めるとは思えません。多分準拠製品を作ることは可能と思われますし、その技術のライセンスに関して有利な条件を飲ませた、と考えればAMDがGPUをIntelに提供したことも納得できます。ただの妄想ではありますが、HBM2搭載のAPUが登場すればRyzen以上にミドル~ロークラスをひっかきまわすことになりそうです。
果たしてIntelのAMD GPUとHBM2採用は吉と出るか凶と出るか、すぐに判断できる話でないだけに長い目で見る必要はありますが、まずは衝撃的となるだろうKabylake-Gの登場を楽しみに待ちましょう。多分わたしは買わない(笑)とは思いますけど、その先なら分かりませんから。
IntelがHBM2とAMD GPUダイを統合した「Kaby Lake-G」を年内に投入
逆転でキャンセルの可能性ももちろんゼロではないですが、ここまで書いた以上、おそらくこのままAMD製GPU付きで発売されるのでしょう。位置づけとしては、我々の感覚として内蔵GPUにIris PROを使い、eDRAMを内蔵してGPUを高速化したBroadwell-Hの後継という印象です。ただ、いくつか気になることもあります。
1.Intelの内蔵GPUコアも「持ってはいる」と書いてある
2.KabylakeダイとAMD GPUダイはPCI-Expressで結ばれる
3.終始「AMD GPU」としか表記されておらず、「RADEON」と書かれていない
1の点から考えるに、CPU部分はKabylakeそのまま、おそらくi7 7700Kとかi5 7600Kあたりが全くそのまま乗るのではないか、と言う気がします。ひょっとしたらどちらのGPUも切り替えて使える仕様になるかもしれませんが、かなり無駄な使い方という気がします。2はちょっと置いておくとしまして、3のポイントは、何かしらIntelの指示によるもの、という気がします。逆を言えばIntelの意図的なリークによって書かせた可能性が高いということで、リンク先記事の信ぴょう性は高いと言っていいでしょう。書いてはいませんが、使われるGPUコアが全くの新設計や特殊業務用のGPUを使ってくるとは考えにくいので、おそらくRADEONのGPUコアそのものが使われるでしょう。ただ、Intelはそこを明文化する気はないと思われます。
リンク先記事によりますと、IntelがAMD GPUを採用したのはHBM2を使うため、とのことです。AMDは初代HBMの時点でRADEONに採用しており、HBM2も当然ながらRADEONとの親和性は高いと思われますので、そこは必然でしょう、また、Intelが外部からGPUを提供してもらえるもう一つの候補であるNvidiaですが、こちらはあまりこうした別パッケージに採用されるようなカスタマイズ提供に熱心ではないメーカーという印象が強く、Intelとしても採用できなかったものと。一方AMDはゲーム機に採用されているようにオーダーに合わせたカスタマイズ提供やライセンス提供もビジネスの一環としており、CPUでは競合でもGPUに関してはIntel+RADEONという利用者もいることから抵抗は少なかった(ない、ということはないでしょうが)と思われます。
しかし、HBM2を使う、と言っても、2で示したようにCPUとGPUが内部PCI-Express接続なら、HBM2がEMIBというIntelの新技術で接続されるとしてもそれはGPUのみの接続であり(そう書いてはありますが)、おそらくIntelも最終的には狙っているだろHBM2のCPUへの直結には繋がりません。EMIBはHBM2のためのIntelが開発したメモリとの接続方式であり、現状のHBM2と比べて低コストでHBM2の利用を可能にする、とあります。リンク先ではそのEMIBの導入を早めるため、と考えればIntelのAMD GPU採用も「納得がいく」としていますが、わたしにはむしろ納得がいきません。そこまでしてIntelが内蔵GPUを強化したとしても、どれだけ利用されるか、というのが最大の疑問点として浮かび上がってくるからです。正直Broadwell-Hも、eDRAMの搭載やIris PROという名前が先行して話題にはなりましたが、いざ発売されると大して話題にならず、利用者も少なく現状に至る・・・という印象しかありません。Broadwellと言ってもHaswellとCPU部分はほとんど同じであり、すぐに新CPUコアを搭載したSkylakeが発売されることが分かっていたので、そっちに目が行ったためです。正直IntelCPUの内蔵GPUが強化された、と言ってもハイクラスユーザーは別途グラボを使いますし、Intel内蔵GPUで十分と考えるユーザーはeDRAM分の料金アップが敬遠材料となります。あとはメーカー製の小型PCやベアボーン向け用途で、これならそれなりに需要もありそうですが、旧世代を見てもHaswell世代の4770Rを搭載したGIGABYTEのBRIX Proというベアボーンが印象に残ったくらいで、Broadwell-Hの5775Cはほとんど覚えがありません。多分メーカーの積極的な採用例はなかったのではないかと。もちろん、ベンチマークはよくても必ずしも利用に直結しなずやや妥協の産物として扱うIntelのGPUと、ゲーム向けとしても正常進化をしつつFluidMotionVideoなど優れた動画再生支援能力(あるかどうか分かりませんが)を持つち積極的に利用する人も少なくないAMD GPUではだいぶ違いますが、デスクトップ単体利用としても小型利用としてもなんとなく中途半端な気がします。HBM2を搭載せず、Intel GPUの代わりにAMD GPUが統合されたi3やPentiumなら豊富なIntel向けマザーとの組み合わせで小型PC用として魅力的なのですが・・・。もっともやろうとしてもこれはAMDも許可できないでしょうが。将来を見越せば、今は誰もいない市場向けの製品に手間とお金を掛ける価値はある、とIntelは判断しているのでしょうか? どうもピリっとしません。
一方、AMDから見ればIntelがHBM2の統合のための技術開発を行うメリットは計り知れません。現状でもAMDの統合CPU・APUはメモリのアクセスをCPUとGPUで共有しており、どちらからも優先関係なしでアクセスできます。仮にHBM2搭載のAPUが登場した場合、HBM2をGPUと直結すれば必然的にCPUからも直結されることになり、何MB搭載されるか分かりませんが(記事によるとHBM2をフルに活用するには2GB単位の容量が必要とのことですが、CPUパッケージに収まらないのでもっと少なくかつ速度の出る改良をしてくるでしょう)CPUのキャッシュとしても使うことは可能で、メインメモリへのアクセスを大幅に減らすことができます。多分APUはCPUとの差別化のために3次キャッシュを省いてくると思われますが、HBM2がその穴を十二分に埋めてくれるでしょう。その分価格は上がるでしょうが、Intelより性能上昇の幅は大きいと思われるので、お金を出す価値のある製品にすることは可能です。これはIntelがEMIBの仕様をクローズドにしなければ、の話ですが、JEDEC規格のHBMに自社専用のクローズド規格をねじ込めるとは思えません。多分準拠製品を作ることは可能と思われますし、その技術のライセンスに関して有利な条件を飲ませた、と考えればAMDがGPUをIntelに提供したことも納得できます。ただの妄想ではありますが、HBM2搭載のAPUが登場すればRyzen以上にミドル~ロークラスをひっかきまわすことになりそうです。
果たしてIntelのAMD GPUとHBM2採用は吉と出るか凶と出るか、すぐに判断できる話でないだけに長い目で見る必要はありますが、まずは衝撃的となるだろうKabylake-Gの登場を楽しみに待ちましょう。多分わたしは買わない(笑)とは思いますけど、その先なら分かりませんから。