今日の朝のことですが、ウチの駐車場に財布が落ちていました。
なんで駐車場に? おかしいですよね。ウチの駐車場は道から少し引っ込んだところにあり、駐車場に入ろうと思わなければ入ることのない場所です。お客さんへの開放もしていないため、家族以外が入ることは普通ありません。
とはいえ、落し物は落し物。失礼とは思いつつ中を確認させてもらうことにしました。運転免許証など、証明書やキャッシュカードなどが何枚も入っていますが、現金は小銭しか入っていません。運転免許証を見る限り、全く知らない人物。両親に聞いても見覚えも聞き覚えもないと言います。
落とし主が顔を青くして困っている姿が目に浮かぶようです。交番へ届けたほうがいいでしょう。父などは「取りに来るかも知れないから、預かっておいたほうがいい」などと言いますが、誰も知らない人物である以上、その可能性は非常に低いわけです。なにより、落とし主の名前や住所などがわかっているのに、返すための手段をとろうとせずに手元においておくなど、わたしには絶対出来ません。心配でイライラが募るばかりですから。
そういうわけで店を父に任せて近くの交番へ。事情を説明すると、書類などを作るためにしばらく交番内へとどめさせられます。その間に警官が署の方へ連絡を取ります。名前も住所もわかってはいますが、まず届出が来ているか探す、というのが落し物対処の第一段階ですから。すると、すでに届出は来ていました。名前はもちろん届けられた住所、中身もほぼ一致します。ただし、届けでは中身に相当の「現金」もあったのですが、実際には申告よりはるかに少ない小銭しか入っていません。
これで、わたしも警官も、道から外れた駐車場内に財布が落ちていたことに納得がいきました。あくまで推理ですが、おそらく最初に拾った人間が財布の中から現金だけを抜き去り、たまたま近くにあったウチの駐車場へ投げ捨てていったのでしょう。神に誓っていいますが、現金を抜き取ったのはわたしやわたしの家族じゃないですよ。人に現金を渡す商売をしていると、他人のお金を勝手に使うのは心が拒否するようになるんですよ。ひどい精神的苦痛を味わうんです。
それにしても、いつから「拾った財布は現金だけ抜き取って捨てる」ことが当たり前になったんですか? 今の日本という国は。以前、わたしも財布を落としたことがありまして警察に届けたのですが、「こういう場合金だけとって財布は捨てちゃうのが普通だから、戻ってこない可能性が高いよ」といわれたことがあるのです。実際そのときは現金も含めて財布が戻ってくることはありませんでした。こうして捨てられた財布を目の当たりにしていると、他人が苦痛を味わうことを想像して心苦しく思うことがなぜ出来ないのかと不思議でなりません。わたしなら夜も眠れなくなるでしょう。そうならないためにさっさと警察に届けたわけなんですが。
「一応、お礼をもらうことも出来ますけど、どうします?」と警官が聞いてきます。が、小銭しか残っていませんし、落とし主が金を盗られて損害を受けたことは間違いありませんから、これ以上余分なお金を使わせると生活が苦しくなりかも知れません。辞退しました。ただ、向こうさんがせめて電話でだけでお礼を言いたいかもしれないことを考え、電話番号などを落とし主に教えることは許可しました。どうせウチは客商売ですから電話番号は公開してますし、知られたって困ることはありませんから。書類は完成、後は特に用も無いようですので、帰ることにしました。なお、夕方過ぎに警察の落し物係から電話があり、無事(?)財布は落とし主の手に返されたようです。免許証・キャッシュカードをはじめ、各種カードが戻っただけでも向こうさんにとっては助かったと思いますので、一安心でした。
ここで話は変わりまして、警察から連宅が来る2時間ばかり前。最近の陽気でだいぶ雪も少なくなり、ウチの庭も地面が見えるようになってきました。そんな庭を眺めていると・・・。うーん、何か雪の下に見えます。なにやら青い紙切れのような。ちょっと雪を掘って見ますと・・・。
下から汚れてぬれてぐしょぐしょになってはいますが、紛れも無い日本銀行券、千円札が一枚出てきました。なぜウチの庭に? 我が家の庭は周囲を壁で囲まれているため、乗り越えようと努力しない限り入ることは出来ません。当然わたしらは庭にお金を落とせばわかりますから、我々が落としたものでもないでしょう。おそらく雪と風の強い日に飛ばされてたまたま庭に飛んできたお札が、雪に埋まって見つからなかったものでしょう。
しかし、これどうしましょうか? これが昔話なら、「お前は普段からまじめに生きていて感心な奴じゃ。褒美としてこのお金を与えよう」とかなんとか声が聞こえてきて、「神様仏様のお恵みじゃ、ありがたやありがたや」で終わるんでしょうが、実際似たような立場になってみるとそう簡単にはいきません。これを自分のものにしてしまいますと、取得物横領罪ってことになりませんか? 庭ということは当然我が家の敷地内なのですからそういう罪は適用されないのかも知れませんが、他人の落し物であることは間違いないわけです。だからと言って落とし主を見つけることなどいまさら不可能、警察に「自分の家の庭でお金を拾いました」なんて届けても笑われるだけでしょうし、第一さっき行ったばかりです。だからと言って、先に書きましたとおり、あきらかに他人の金を自分のものにしてしまうのは、心苦しく思うタチなんですよねぇ、わたし。
と、いうわけで、とりあえずお札をキレイにして乾燥させたあと、どこかに募金することにしようと思います。それが間を取って一番無難なやり方ではないかと思いますので。
しかし、さすがにわたしも一日に二回落し物を拾ったのは生まれて初めてです。こんな日もあるんですね、不思議な一日でした。
なんで駐車場に? おかしいですよね。ウチの駐車場は道から少し引っ込んだところにあり、駐車場に入ろうと思わなければ入ることのない場所です。お客さんへの開放もしていないため、家族以外が入ることは普通ありません。
とはいえ、落し物は落し物。失礼とは思いつつ中を確認させてもらうことにしました。運転免許証など、証明書やキャッシュカードなどが何枚も入っていますが、現金は小銭しか入っていません。運転免許証を見る限り、全く知らない人物。両親に聞いても見覚えも聞き覚えもないと言います。
落とし主が顔を青くして困っている姿が目に浮かぶようです。交番へ届けたほうがいいでしょう。父などは「取りに来るかも知れないから、預かっておいたほうがいい」などと言いますが、誰も知らない人物である以上、その可能性は非常に低いわけです。なにより、落とし主の名前や住所などがわかっているのに、返すための手段をとろうとせずに手元においておくなど、わたしには絶対出来ません。心配でイライラが募るばかりですから。
そういうわけで店を父に任せて近くの交番へ。事情を説明すると、書類などを作るためにしばらく交番内へとどめさせられます。その間に警官が署の方へ連絡を取ります。名前も住所もわかってはいますが、まず届出が来ているか探す、というのが落し物対処の第一段階ですから。すると、すでに届出は来ていました。名前はもちろん届けられた住所、中身もほぼ一致します。ただし、届けでは中身に相当の「現金」もあったのですが、実際には申告よりはるかに少ない小銭しか入っていません。
これで、わたしも警官も、道から外れた駐車場内に財布が落ちていたことに納得がいきました。あくまで推理ですが、おそらく最初に拾った人間が財布の中から現金だけを抜き去り、たまたま近くにあったウチの駐車場へ投げ捨てていったのでしょう。神に誓っていいますが、現金を抜き取ったのはわたしやわたしの家族じゃないですよ。人に現金を渡す商売をしていると、他人のお金を勝手に使うのは心が拒否するようになるんですよ。ひどい精神的苦痛を味わうんです。
それにしても、いつから「拾った財布は現金だけ抜き取って捨てる」ことが当たり前になったんですか? 今の日本という国は。以前、わたしも財布を落としたことがありまして警察に届けたのですが、「こういう場合金だけとって財布は捨てちゃうのが普通だから、戻ってこない可能性が高いよ」といわれたことがあるのです。実際そのときは現金も含めて財布が戻ってくることはありませんでした。こうして捨てられた財布を目の当たりにしていると、他人が苦痛を味わうことを想像して心苦しく思うことがなぜ出来ないのかと不思議でなりません。わたしなら夜も眠れなくなるでしょう。そうならないためにさっさと警察に届けたわけなんですが。
「一応、お礼をもらうことも出来ますけど、どうします?」と警官が聞いてきます。が、小銭しか残っていませんし、落とし主が金を盗られて損害を受けたことは間違いありませんから、これ以上余分なお金を使わせると生活が苦しくなりかも知れません。辞退しました。ただ、向こうさんがせめて電話でだけでお礼を言いたいかもしれないことを考え、電話番号などを落とし主に教えることは許可しました。どうせウチは客商売ですから電話番号は公開してますし、知られたって困ることはありませんから。書類は完成、後は特に用も無いようですので、帰ることにしました。なお、夕方過ぎに警察の落し物係から電話があり、無事(?)財布は落とし主の手に返されたようです。免許証・キャッシュカードをはじめ、各種カードが戻っただけでも向こうさんにとっては助かったと思いますので、一安心でした。
ここで話は変わりまして、警察から連宅が来る2時間ばかり前。最近の陽気でだいぶ雪も少なくなり、ウチの庭も地面が見えるようになってきました。そんな庭を眺めていると・・・。うーん、何か雪の下に見えます。なにやら青い紙切れのような。ちょっと雪を掘って見ますと・・・。
下から汚れてぬれてぐしょぐしょになってはいますが、紛れも無い日本銀行券、千円札が一枚出てきました。なぜウチの庭に? 我が家の庭は周囲を壁で囲まれているため、乗り越えようと努力しない限り入ることは出来ません。当然わたしらは庭にお金を落とせばわかりますから、我々が落としたものでもないでしょう。おそらく雪と風の強い日に飛ばされてたまたま庭に飛んできたお札が、雪に埋まって見つからなかったものでしょう。
しかし、これどうしましょうか? これが昔話なら、「お前は普段からまじめに生きていて感心な奴じゃ。褒美としてこのお金を与えよう」とかなんとか声が聞こえてきて、「神様仏様のお恵みじゃ、ありがたやありがたや」で終わるんでしょうが、実際似たような立場になってみるとそう簡単にはいきません。これを自分のものにしてしまいますと、取得物横領罪ってことになりませんか? 庭ということは当然我が家の敷地内なのですからそういう罪は適用されないのかも知れませんが、他人の落し物であることは間違いないわけです。だからと言って落とし主を見つけることなどいまさら不可能、警察に「自分の家の庭でお金を拾いました」なんて届けても笑われるだけでしょうし、第一さっき行ったばかりです。だからと言って、先に書きましたとおり、あきらかに他人の金を自分のものにしてしまうのは、心苦しく思うタチなんですよねぇ、わたし。
と、いうわけで、とりあえずお札をキレイにして乾燥させたあと、どこかに募金することにしようと思います。それが間を取って一番無難なやり方ではないかと思いますので。
しかし、さすがにわたしも一日に二回落し物を拾ったのは生まれて初めてです。こんな日もあるんですね、不思議な一日でした。