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Channel: 録画人間の末路 -
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打開策があるというのは羨ましいこと

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小寺信良の週刊 Electric Zooma!
TV体験を加速する3ソリューション。nasne連携PC TV with nasne/TV SideView。8ch一気表示のガラポンTV


某所でも書きましたけど本文であるnasneやガラポンTVのことはどうでもよくて序文に価値のある記事と思います。以前はデジタル放送のやり方に関して歯に衣着せぬ発言を連発していたのに最近ぬるい製品のレビューばかりだった小寺氏にしては久々に言いたい放題になってます。だからこそテレビ関係の記事の依頼が来ないんでしょうけどね。


ここ最近、AV系で最大の話題と言っていいのが大ヒットした映画「アナと雪の女王」のMovieNEXが予約だけで100万枚、初週の売り上げ枚数が200万枚を突破したことです。

「アナ雪」MovieNEX 発売初週で200万枚突破、人気衰えず
MovieNEXはBDとDVDとクラウド視聴権をセットにしたものですが、視聴権の利用の申し込みこの時点で12万件にとどまっているところからほとんどの人はディスクだけを目当てに買ったと言っていいでしょう。最初にこれを読んだときに「え〜!? 今の日本にBDが再生できる家庭が200万件も存在するの?」とたいへん驚きましたが「アナと雪の女王」ってまだDVDの単品販売してないんですよね。値段が非常に高いというわけでもないのでBDではなくDVDしか視聴に使っていない家も少なくないでしょう。

ただ、こんな現象が可能なのもいつまでなんでしょうか・・・。LD時代には日本ではマニアしかいなかった「映像ソフト購入」という市場が、コピーガードが(当時としては)強くて嫌われ普及に時間はかかったものの最終的には一般人にまで映像ソフト購入を広げることに成功したDVD。これがLDと大きく違ったのは再生専用機が全く売れなかったことでした。ゲーム機のPS2、パソコン、そして再生だけでなく録画した番組をダビング編集できるというそれまでマニアしか知らなかった楽しみ方を普通の人にまで広げてくれたDVDレコーダーこそ最終的にDVDソフト再生の主役となったと言っていいでしょう。しかし、そんな楽しみが続いたのはアナログ時代だけ。デジタルになってレコーダーには世界に類を見ない厳しい制限が日本にだけつくことになり、楽しい録画ライフは失われました。わたしより早くレコーダーを購入して面白さを知り、アナログ時代にはほとんど毎年一台から二台のレコーダーを購入し、DVDを経由したダビング編集を楽しんでいたわたしの弟Bも、デジタル放送でそれが出来なくなってからは「楽しくないからもう要らない」と今やテレビに外付けUSB HDDを付けてタイムシフト視聴するだけになっている始末。DVDやBDの再生環境もなくなりましたが、それももうどうでもいいそうです。
専用プレイヤーよりも便利で楽しいレコーダーが存在したため、DVD再生専用プレイヤーはポータブル中心の二軍的市場になってしまいました。BDのポータブルは高額なうえ小型画面では画質の差より起動の早さなどの使い勝手の悪さの悪影響の方が大きいのかあまり売れている様子はないですね。DVDのときはまだ残っていた高性能再生専用機もほとんど見かけません。かと言ってレコーダーはもはや衰退の一途。再生派から見れば不要どころか悪影響を及ぼしかねない録画機能も満載した高性能レコーダーかDVD/BD再生はできる、程度の低性能タイプのどちらかしかないのが現状です。一般人は離れ、マニアは買い換えするものがなく、市場が伸びるとは思えません。

正直BDやDVDの再生環境を支えているのはゲーム機のPS3とノートPCだと言っていいんじゃないでしょうか。
ただ、そのどちらもこの先は細くなるしかないかと。PS3の後継のPS4は中身がWindowsPCと大差なしということもあって諸外国のゲームメーカーにはソフトが作りやすく、PS3と比べても出だしは上々な模様です。一方我が国日本ではそもそも発売が遅く、その理由を「ソフトがそろってから」とSCEIでは言っていましたが実際にはそろっているとはお世辞にも言えない出だしだったために現状でも売れ行きは芳しくない模様。日本では描画性能低めのIntelGPUしか入っていないノーパソばかりでPCゲームが育つ土壌がなかったため、日本のゲームメーカーはごく一部を除いてPCを軽視もしくは完全無視してゲーム専用機ばかり使っていたため、PS4なんか出されても開発はしやすいどころかむしろしにくい現場だったからだと思われます。今はまだPS3でゲームを作ればいい段階ですが、いずれPS3の販売数が減り、「PS3は過去のもの」とユーザーが思い始めるときが必ず来ます、SCEIも、日本を軽視してでもPS4の展開をしないわけにはいきませんから。そうなって「もう使わないか」とPS3がテレビから外されるようになったとき、BDは日本における市場を失います。PS4がその穴を埋めてくれるほど売れるとは思えません。AV機能を充実させてそれで売るのはPS3で懲りている感がありますのでPS4は日本向けでないゲーム中心、今までのX BOX系の路線を進むことになるかと。おそらくBDソフト側が期待できるほど日本での売れ行きの伸びを予想するのは危険でしょう。一方のノートPCですが、なぜか「もうPCは要らない、タブレットがとってかわる」と宣伝しまくったためにXPの乗り換えという絶交の機会を低価格機の売れ行きをのばすだけにとどめてしまい、BD搭載機(まぁもともと少ないですが)を普及させることができませんでした。今からやってももう遅いでしょう。どこをどう見てもディスク市場が「アナ雪」の再来の可能性を残すほどの市場規模を保つのは不可能です。

もちろんまだ挽回は可能です。レコーダーの楽しさを復活させ、その良さをもう一度みんなが認めればまだレコーダーが売れ行きを伸ばし、ディスク市場が延命できる可能性は残っています。もう「録画を規制して不自由にしてしまえば市販ソフトの売れ行きが伸びる」なんて幻想を信じている人なんていないでしょう。4Kが進められている以上もう現行デジタル放送なんてそれほど高画質でもありません。「高画質のデジタル放送のダビングが自由にできると良質のタレントや映画ドラマを製作者側がテレビに提供してくれなくなるため、録画は規制された方が視聴者のため」なんていう言葉も10年くらい前の雑誌やネット記事にはよく書かれていましたが、今のテレビ番組がアナログ時代と比べて「劣っているわけではない」と主張する人はいるかも知れませんが「録画が規制されたおかげでずっといい番組が放送されるようになった」と心から言える人が今日本に一人だって存在しないでしょう。録画の楽しさと映像ソフトの売り上げつぶしあうものではなく、むしろ相乗効果を期待できるものなんです。百害あって一利なしの現状のデジタル放送の規制。なのになんで撤廃しないんでしょうね? 確実に市場を刺激する効果がある切り札を持っているというのは、斜陽産業にかじりついて生きている人間から見れば羨ましいの一言ですよ。もっとも、もう時すでに遅し、の段階と考えて「どうせならとことん堕ちてやろう、録画や映像ソフト趣味人間を道連れに」との判断ならわたしも何も言うことはありませんが。

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