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Channel: 録画人間の末路 -
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地上波用第2スクランブル、RMPはやっぱりいらない

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昨日書いた"もっとTV"といい、デジタル放送移行の反動で急速に失われつつある地上波の存在感を少しでも戻そうと必死なキー局ですが、今日も動きはあったようです。
総務省 情報通信審議会「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会 第62回」ってのが14日に開催され、地上波RMP(TRMP)実施のための報告がなされたようです。

地デジ新保護方式の7月開始に向け準備が進む
−技術規格化は完了。TRMP“推進期”に


平たく言えば、「ソフト方式のB-CAS」なわけですが、どうやらB-CASがそのままソフト化したわけではない模様。現行の地上波に対して「B-CASとTRMP、どちらでもスクランブル解除できる」ように調整することを要請させたわけです。単純に考えてソフト化の目的はモバイル機器の開発を容易にすることでしょうし、TRMP側もそれをタテマエとするでしょうが、それだけならmini B-CASカードもありますし、わざわざ新しい法人を立ち上げてまで管理させる必要はありません。天下り先を増やすこと以外に、以下の目的もあると思われます。

・方式を別にすることにより独禁法違反回避の名目確保
・スクランブルが破られた後のバージョンアップの余地

前者は同じ方式だと談合型の独禁法に抵触する可能性を残すからです。後者はBDでおなじみAACSの地上波版ですね。もし破られてパソコンで自由に視聴された場合、スクランブル方式をバージョンアップさせてコードを変更し、規定チューナーは地上デジタル放送の配信で自動的に変更できるような仕様にするよう新たな規定を作ることが予想されます。これがB-CASと同じ方式のソフト版ですと、従来のB-CASカード採用テレビのことを考えれば暗号コードを変更することが出来なくなるからです。まったくの別方式で、いっせいに変更ならTRMPの自由に出来ますから。もちろん技術資料を読んだわけではありませんので想像ですが、やる可能性は否定できません。

ちなみにこの地上波RMP、公式サイトもあるわけですが。

一般社団法人地上放送RMP管理センター


地上波放送、じゃないんですね。地上放送です。地上波デジタルではなく地上デジタルであることを踏襲してのことでしょうか。
リンク先、開いた一瞬どこのサイトかわかりませんでした。それくらい、今までB-CASやARIB、あるいはSARVHと言ったこの手の問題団体のサイトと雰囲気が違います。また、珍しくも「コンテンツ権利保護」という言葉を前面に出しており、これまた一味違うものを感じさせます。B-CASでは「コンテンツ権利保護」は会議などでは使っても一般に対しては「著作権の保護」を一貫して使ってきています。ですが、もはや著作権の保護という言葉は乱用されすぎてすっかり腐ってしまい、胡散臭い印象を与えるものでしかありません。RMPはどうやら公式の場で使う「コンテンツ権利の保護」を使うことでそのイメージを払拭する作戦に出たようです。同じ「著作権の保護」を振りかざしてうんざりされるより、本来「お前らが番組見られるのは俺らの許可してある範囲だけで、自由には力尽くでもさせない。ありがたがってみろ」という高飛車な意味である「コンテンツ権利の保護」という言葉を、キレイなものに見せるためのイメージアップ広報をしたほうがはるかにマシ、と考えたのでしょう。なんか、今までのB-CASやSARVHの方式よりスマートな印象を受けます。かなりマシなブレーンがついたのでしょうか。

と、イメージをさわやかにしてもやっていることは同じ。テレビ業界あたりは「新方式対応」とか大きくかかげてスマートフォンやモバイルビデオプレイヤーを売り出そうとするんでしょうが、もはやモバイルはダイレクト視聴よりも録画番組を再生する方が重要。TRMPなんて方式出されても使い道がないんですが。と、われわれが無視しても勝手に採用されてテレビの値段からお金がRMPにどんどん下りていくだろう事実だけはゆるぎないと思われます。
当分B-CAS方式は続くはずですが、レコーダーからいつの間にかアナログ端子が消えつつあるように、放っておけば無料放送に関しては強制的にTRMP方式のみ、ってことになりかねません。もちろん買い替え需要を再び促すために。そうなったら誰も得しませんし、やっぱりいらないですね。

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