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Kaveri対Richland HSA以外のAPU強化いかほどに

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ちょっとしたチャンスをものにしてコードネームKaveriのAPU上位機種、4コアCPUと8コアGPUを持つとされるA10-7850Kを入手し、環境を構築してしばらく経ちました。そういえばAPU13でKaveriが発表時にA10-7850Kのコアは「4/8」と表記されたのでIntelのHT相当の機能があるのでは? という噂がたちましたが、今考えてみるとうしろの8はGPUコアの8つを指していたのですね。さてそのKaveri、現状では新機能を全部使うことができるドライバが出ていないこともあってTrinityやRichlandといった従来のAPUと同じことしかできないのですが、その段階でも調査の価値はある、と考え、例によって動画のエンコードでCPUとGPUの性能を測ってみました。やることはワンパターンですが、まぁワンパターンだからこそ意味はあるとお考えくださいな。

環境:
A10-7850K 定格(3.7GHz、TURBO最大4.0GHz) 内蔵GPU(Radeon R7 720MHz)
DDR3-2400 4GBx2(2133動作) デュアル動作
GA-F2A88XM-HD3
Windows8.1pro 64bit
Catalyst14.1

確かKaveriはDDR3-2400まで正式サポート、のはずだったのでPatriotの2400メモリを買ってみたのですが、残念ながら2400動作ですとOSが起動しませんでした。なんとなくUEFIが未成熟なせいかな? という印象なのですが現状では2133に落として使うしかなさそうです。まぁ使っているうちになじんで2400動作してくれるかも知れませんが。

比較用としては
A10-6800K 定格(4.1GHz TURBO最大4.4GHz) 内蔵GPU(Radeon HD 8670D 844MHz)
DDR-2133 4GBx2 デュアル動作
F2A85-M PRO
Windows8.1pro 64bit
Catalyst14.1

の先代Richland環境を使用します。これが最適でしょう。エンコードの元として使った動画はいつも調査に使っている48分の1440x1080、MPEG2-TSを今回も使用します。まずは最近すっかりベンチマーク代わりになってしまったTMPGEnc Video Mastering Works 5で、x264を使ってのH.264変換。設定はデフォルト、リサイズを行わない標準速度モード1passです。なお、それぞれ3回エンコードを行って一番早い結果を掲載しました。

A10-7850K
 1時間48分54秒

A10-6800K
 1時間55分43秒

エンコードはほとんど4コアをフル活用しますのでTURBO COREによる最大クロックはあまり出ません。7850Kはたいてい3.8GHz、6800Kは4.2〜4.3GHzで推移しています。クロック差は4〜500MHz。一割以上に相当します。そもそもKaveriは7850Kでも二世代前のTrinity、A10-5800Kよりクロックが低いのです。アーキテクチャが大幅に変わったわけでもない(HSA化という面では変化は大きいですが)CPUが先代はおろか先先代よりクロックが低いというのはPCの歴史上きわめて異例のことです。にも関わらずエンコードの速度は5%ほどですが上がっていますから、同じクロックなら10%以上の性能アップがあったということになります。このことから7850KはCPU部分の性能はRichlandの6800Kを超えればいい程度の状態に手加減されているということになります。

次はわたしがよく使うエンコ無料のエンコーダーソフト、MediaCoderを使います。TMW5より高速にエンコードが終了するからです。バージョンは現状で最新の0.8.28.5588のx64版です。エンコードエンジンはx264、ほぼデフォルトですが速度のみFastからMediumに落としてあります。

A10-7850K
0.81x 1時間01分08秒

A10-6800K
0.76x 1時間04分33秒

こちらも7850Kの方が速いものの、正直大きな差とは言えません。7850KのCPU部分に採用されているのは6800KのPiledriverコアの改良版であるSteamrollerコアですが、明らかに良くはなっているものの別物と呼ぶほどの差はないようです。

MediaCoderのx264ではOPEN CLを有効化することが可能です。ただx264の場合もとからCPUのみでエンコードするよう設計されているのでOPEN CLは半分テストにすぎず、かえって遅くなるケースがほとんどです。もちろんまだHSAに対応した設計にはなっていないでしょう。だからこそ従来のOPEN CL環境でどれだけKaveriとRichlandに差があるのかを調べてみるのも意味があるでしょう。

A10-7850K
 0.81x 1時間01分17秒

A10-6800K
  0.73x 1時間07分58秒

7850Kはほとんど速度が変わっていないのに対し、6800Kはだいぶ低下しています。現状のOPEN CLでもGPUの性能差でこれだけ速度が違うのですから、仮にHSAに対応すればそれだけで7850KはおそらくCPUのみのエンコードより速度は速くなる可能性は高いと言えるでしょう。
ちなみにMantleに対応したことで話題ドライバ、Catalyst14.1から、一つ前の13.30に戻してもう一度測定してみました。7850Kの場合これより前のバージョンを入れて動作させることはできないようです。もちろんOPEN CL有効にして試します。

A10-7850K
 0.79x 01:02:27

A10-6800K
 0.71x 01:09:40

両者とも多少ですが14.1より低下しました。OPEN CL動作を考慮にいれたのかGPUの性能を引き出そうとしてなったのか、14.1の方がOPEN CL動作が速いのはちょっと興味深いデータです。

もう一つのエンコードモード、VCEを使ってみましょう。動作は確実に、ということでrigayaの日記兼メモ帳さんで公開されているAviUtl用VCE出力プラグインのVCEEnc_0.02v2をAviUtl1.00に入れて使います。MPEG2はまるも製作所さんのMPEG-2 VIDEO VFAPI Plug-Inといういつものやり方です。なお、Catalystが14.1ではどうやってもVCEがまともに動作してくれず、デスクトップ画面の描画まで止めてしまうため、13.30に戻して利用しました。動作プロファイルはデフォルト、数字は動画のエンコードのみです。

A10-7850K
 86.59fps 16分56.6秒

A10-6800K
 85.40fps 17分11.3秒

差がある、といってもこれは立派な誤差の範囲でしょう。GPUのクロックもKaveriは控えめなのでその分健闘したと言えますが。メモリが2400で動けば違ったのかも知れませんが。

7850Kは6800KのVCEより進化したVCE2が搭載されているとされています。これによってHighProfileやBフレーム、インターレース保持映像のサポート、映像のアスペクト比の指定ができるようになると期待されますが・・・。もともとこれらの機能が使えなかった旧VCEがひどいんですけどね。VCEEncではまだこれらを利用することはできませんが、もう一つVCEエンコードを機能として搭載しているA's Video Converterではすでにこれらを利用できるようにする項目が搭載されているのです。ただ、あくまで「指定できるようになっていたから追加した」にとのことでKaveriの実機を使って調整したわけではないようですが。これらがすでに使えるようになっているかどうか、試してみましょう。ただ、MPEG2-TSのままではどうやっても途中でエラーを吐いてしまうため、音声を切り離してm2vにした映像だけのファイルを使用しました。Bフレームを2に、プロファイルをHighにし、DXVAプリプロセッサからデインターレースなども利用してみます。
するとどうでしょう、1440x1080の動画自動のままでもしっかり内部でアスペクト比が指定されて16:9に、映像もちゃんとHighプロファイルになりました。ただ、インターレース自動解除をCatalystの段階で外してしまうとかなり画像が乱れます。インターレース保持がダメな点は変わってないようです。そして実はこれらの機能、Richlandでも使えてしまいます。Highプロファイルの設定はキチンとできていました。アスペクト比は自動では16:9になってくれませんでしたが、手動で指定してやればちゃんと1440x1080を16:9にすることができます。VCEがドライバだけでVCE2になるかどうかはわかりませんが、改良の余地は残っていたようです。


ここまでの結果から、Kaveriは確実に高速化はしていますおそらく同クロックならかなり上がっているでしょう。が、省電力などを重視した結果単純にCPU性能だけ見ればRichlandとの差はわずかなレベルにとどまっています。まぁAMDの主張するCore i5の対抗・・・とするにはCPUだけでは案の定ちょっと力不足かなと。Llanoやそれ以前のAthlonIIx4などからならKaveriへの移行は高い満足感を得られますが、Trinity/Richlandの所有者なら、HSA対応ソフトが出るまでは、まだKaveriに移行をあせる必要はないでしょう。動画派としては早くUVD4対応ドライバを出してほしいですね。

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