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Channel: 録画人間の末路 -
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Richland、仮まとめ

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書いてまいりましたAMD、新APU・RichlandことA10-6800Kですが、体調面もあってここで一度まとめに入ろうかと思います。もちろんこれからも使い続けますし、新しい動きかあったときの「指標」としてはA10-6800Kを利用していこうと思っています。なによりまだ書かなければならないことが残っているのですが、先日AMDから新CPUが発表されたこと(細部に関しては一人歩きしている憶測情報が揶揄の対象となるという最近のAMDに対する仕打ちらしいものになっていますが)もあって、これ以上モタモタもしていられなくなったからです。

Richlandとはなんぞや、Trinityと何が違うのかが最大の疑問だったのが今回の検証ですが、実はその答えを見出すことはできませんでした。ただ、省電力性能に関しては明らかに高性能化しています。正確な記録をしたわけではないのでわたしの見た限りですが、「APU+メモリ+マザー+SSD+キーボード・マウス」という最小限の構成でVCEによるエンコード中、TrinityA10-5800Kがほぼ130W台後半で推移し、その上でMAXfpsが72fps台・最終fpsが68fps台という速度だったのに対し、ほぼ同じ構成のRichlandA10-6800Kがおおむね120W台後半の推移のうえ、時折80W台まで一休みするかのごとく電力が落ちることもありながら74fps台をキープ(ASUSマザーではキープできないことも多かったのですが、これはケースに入れていなかったために温度センサーが誤解したためかも)するという、明らかに前世代と異なる動作を見せ付けました。一覧表などで瞬間最大ワット数だけを比較するのならTirinityとそう変わりませんが、体感的な消費電力は明らかに落ちており、AMDが別名をつけて売り出したかったのも当然といえます。もうひとつの大きな変更点であるDDR3-2133のサポートに関しては、残念ながらわたしの検証ではDDR3-2133との大きな差を見つけることはできませんでした。内蔵GPUをゲーム用途に期待して利用するのならともかく、わたしら動画用途組に2133を買う価値は薄い、といわざるを得ません。ただ、1600や1333との性能差は明らかですので、販売価格が変わらないのなら2133がいいですが、流用できる1866があるのならそちらで十分でしょう。

今回はほとんどVCEしかやらないに等しい中身でした。それはLlano→Trinityと違って動画性能の核となるGPUが同じであることが分かっていた(言うまでも無いことですが、旧世代でもすでに十分高い動画再生能力を保持しています)こともありますが、もうひとつの理由としてAMDがRichlandで提供するソフトのいくつかがVCEを利用したものとなっていたためです。Tirinity世代のRADEONから装備されていたにもかかわらず、ほとんど活用されていなかったVCEがようやく日の目を見ることができるのですから、数少ない利用者であるわたしとしてはそっちに焦点を絞るしかないでしょう。

VCE活用として提唱しているものには、Wireless DisplayとPersonal Cloud ENTERTAINMENTがあるようです。



Wireless Displayはアダプタを介して映像そのものをテレビなどに映すもので、すぐに活用できるものではありませんが、もうひとつのPersonal Cloud ENTERTAINMENTはSplashtopというソフトですでに体感することができます。これはWindowsもしくはMacOSの映像を他のコンピュータに表示し、そっちからの命令をホストコンピュータに返すというもの、簡単に言えばクローン画面を別のPCに映すソフトに遠隔操作を持たせたものです。PCと書きましたが、受け側ソフトはWindowsやMacOSだけでなく、iOSやAndroid、変わったところではWindowsRTやWindowsPhone対応ソフトも存在します。LAN内だけで使うのなら無料で使えますので、手元のAndroidタブレットなどであたかもWindowsが動いているようにすることができます。画面だけでなく、音も出ますので、さすがに動画再生は無理(するくらいなら動画ファイルをタブレット側で直接たたいた方が現実的)にしても、あまりリアルタイム性が強くないゲームなら割と快適に遊ぶことも可能です。勉強会では「ラグナロクオンラインくらいなら現状でも十分遊べる」と語っていました。AMDはこのSplashtopに技術提供を行い、APUでの最適化を進めています。まだ搭載されていないのか、Core i7 2600Kと比べてそれほど体感速度が違うという感じはしませんが、。将来的にはAPUの3Dゲームを外部のタブレットでも遊べるようにしたようですが、AMDとしては資料にあるようにTemashを搭載したタブレットでもっともパフォーマンスが出ることが目標のようですね。逆を言えば早くTemashを搭載したタブレットPCを出したいのでしょう。我々としても望むところではあるのですが、Splashtopの精度が上がるのなら、安いAndroidとかイロ気を追求してWindowsRT機で動いた方が面白い、とつい思ってしまう今日この頃であります。

Richlandは改良点もありますが、どちらかと言うと「もう一度注目してほしい」という営業上の願いが出たAPUです。Trinityの完成度は大変高く、「PCを組むときTrinityを選ばないのなら、その理由が必要」とわたしは評しましたし、その思いは変わっていません。が、注目度という点では確かに物足りないものではあります。Richlandは一度仕切りなおすことで注目するキッカケにしてほしかったAPUなのでしょう。もちろんHaswellのGPUが万が一高性能であったら・・・という危惧への対抗もあったでしょう。残念ながらGT2にとどまっているために商業サイトが掲載するベンチマークの数字ならそこそこでも機能面では足元にも及ばないものでしかありませんでしたが。個人的にはHaswellはBGA直付けでもいいのでGT3搭載のMicroATXモデルが出てから購入を検討しようと思っています。

正直今回はちょっと苦しかったです。そもそも動画一筋のわたしが、当初クロックアップくらいしか性能向上が無いだろうと思われたRichlandをどう評価したらいいのだ? という悩みはあったわけなんです。ベンチとって比較数字を載せるのが一番楽ではあったのですが、そんなのわたしがやる意味ありませんから。そういうわけで、結局先への期待を今のうちに準備しておこう、というテーマで通しました。ただ、あくまでTrinityからRichlandへ買い換える、という前提だからそうなっただけで、普通に買う分にはRichlandは十分いいAPUです。通常作業ではCore i3をはるかに上回り(AMDが言うところのCore i5の下の方に匹敵、となると少し苦しいかも知れませんが)、GPUも速度では高価な単体には及ばずとも必要な機能は十分に持っています。動画もソフトエンコードを毎日何本もガシガシやるという用途以外なら一通りこなすため、ほとんどの人の通常PC用として満足のいく性能を持っているのは確実です。ただ、メモリやマザーとの相性を含め、A10-6800Kに限って言えば少々使いこなすのが難しいかも知れません。それゆえに、PCの設定に自信のある人は、ぜひA10-6800Kに挑戦してみて欲しいです。ガシガシ詰めた設定で動くPCは、きっと満足度の高い相棒となることでしょう。

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