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Channel: 録画人間の末路 -
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今年のベスト買い DVD編

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今年も無闇矢鱈と映像ソフトを買いあさった年だった気がします。しかもその中身の充実していることしていること。来年もまだまだこの傾向は続くようなので、いまから楽しみ。
とはいえ、悪口はあまり言いたくのでタイトルは出さないけど、某比較的新作映画。映画館で見て面白かったので、たまにはBDで買ってみようかとかったところ、映像が薄っぺらのペラペラでガッカリ。中身が薄っぺらいのではなくて、映像のCG処理が全く立体感を感じない、絵にしか見えないものだったわけですよ。劇場で見たときはもっとリアルに見えたのに。パソコンのモニターとか液晶テレビとかで比較的近くで見るのでアラが見えたためでありましょうが、やっぱり近年作はその興奮を忘れてしまうまで安易にソフト版に手を出すものじゃないとつくづく思わされました。買うソフトは伝説の彼方、はるかな思い出の逸品に限ります。最近ようやくBDソフトも充実の道を歩み出しましたが、市場に存在するのはいつでも買えそうな有名作ばかり。やはり今買わなきゃもう二度と見られないかも知れない、というある種の恐怖心こそソフト購入の動機だと思うのですよ。そういうソフトがリリースされるのはDVDだけ、と、いうわけで今年も購入の主力はDVDでした。中でも今年「これは良かった」のソフトをいくつか書かせて頂きます。なお、これはあくまでわたし個人の感想であり、ビデオソフト界全体の動向とは全く関係有りません。なによりわたしの購入するソフトは大変偏っており、一般のマニアとも大きな隔たりがあることをご容赦願います。


今年のベストDVDは、誰がなんと言おうと

世紀の怪物 タランチュラの襲撃

これしかない。以前から死ぬまでに一度見たかった作品の一つに数えていた一本だが、予想以上に面白く、素晴らしかった。
特撮は基本合成と編集のみ。にも関わらず、それが巧みで迫真制が随所に感じられる。手前の建物の背後にただ合成して巨大感出しました、というのとはひと味違う、"道"との合成に特徴を見た。あるところではおそらくカメラを傾けて撮影したフィルムを使って坂道を歩かせ、また別の場所では手前に伸びてくる道路に合成して近づいてくる様を表現。こういった立体的な表現で、巨大クモを見事に表現している。よく見るとやや荒っぽい処理の部分も見えるが、モノクロ映像であることにも助けられ、あまり目立たない。
タランチュラの動きが遅いのもまたいい。最近のCGモンスターは大きくとも素早く動くものが主流だが、これはCGだと簡単に同じモンスターの数を増やすことが出来るため、ついたくさんモンスターを出したくなってしまう製作側の心理がそうさせるのだろう。ワラワラ感を出すにはモンスターの動きが速いほうがいいため、結果歩兵が戦う戦争アクションのようなモンスター映画しか撮れなくなり、結果小型化し、怪獣はただのモンスター種族と化す。一匹の巨大な怪獣がノッシノッシと闊歩する様を描いてこそ、怪獣の魅力をじっくり映してこそ怪獣映画である。一説によるとタランチュラをゆっくりと動かすため、薬を使って動きを鈍らせた、とあるのだが本当かどうか。
このゆっくりとした動きが一番効果的に出ているのが、このタランチュラ巨大化の原因となった研究所破壊のシーンである。捕食を目的としたタランチュラはその巨大さと凶暴さゆえ、研究所を少しずつ破壊しながら博士をおいつめていく。この"少しずつ建物が崩れていく"という様子は、他の怪獣映画にはなかなか見られない、独特の魅力を持っている。日本の怪獣ならば圧倒的な破壊力で一瞬で壊してしまうし、他の西洋型怪獣ならただ巨大で凶暴なだけなので建物一つ破壊できない。タランチュラはそのちょうど中間的な力を持っているため、ジワジワじっくりと追い詰められる巨大生物の怖さを存分に味わえる。なお、パッケージにも用いられている特徴的な顔は造形物で、この破壊時の窓越しに見えるシーンのみ、数カットしか本編には使われていない。本物のタランチュラを使ったほとんどのシーンは真っ黒で実際にはどんな顔なのか全く分からない、ある意味期待を裏切る映像となっている。が、特典映像として収録されている宣伝ポスターにも盛んに使われたその顔の一度みたら忘れられないインパクトは大変強く、公開当時の人気も高かったと思われる。それは、日本のテレビ番組「ウルトラQ」の第9話「クモ男爵」に登場するやはりタランチュラの顔がそっくりに作られていることからも伺える。
タランチュラは最後は空軍の戦闘機の攻撃によって焼き払われる。特に武器など持っていないため反撃の手段がなく一方的にやられるだけのは残念ではあるが、戦闘機のミサイルが地上の巨大怪獣に打ち込まれるという映像を見るだけでどうしても胸が躍ってしまうのは怪獣ファンの性としかいいようがないか。
さすがに名作「大アマゾンの半魚人」のジャック・アーノルド監督作品だけあって、見所満載。有名な古典であることや有名俳優の無名時代の揶揄で見る見方もあるが、純粋に怪獣ものとしての見方だけでも及第点以上、今年一番楽しめたDVD。


ボックスものは「総天然色ウルトラQ DVD BOXI」と「電人ザボーガー DVD-BOX」の二つが甲乙付けがたい満足度を与えてくれた。前者は、デジタル技術を駆使してモノクロ特撮ドラマ「ウルトラQ」に色をつけたもの。人間の肌の質感に難がある、ほとんどモノクロにしか見えない箇所も少なくはないなど問題点もあるが、「ウルトラQ」の再視聴・再評価の機会が与えられたという点で、総天然色という究極の修正をほどこした価値は大きい。BDではなくDVDを選んだ基準は、前にも書いたがBD版は同梱のモノクロ版も修正されており、スタッフの手など、本来映ってはいけないノイズが消されているから。一方DVD版の同梱モノクロは以前から発売されている単品DVDと同じものであり、デジタルリマスターはなされていても修正は入っていない。「将来ウルトラQは総天然色版ばかりが再放送の対象になるのでは」と不安を感じている人を見かけたことがあるが、わたしは今後の市販品を含め修正前のオリジナル版の存在が抹消されることのほうを恐れる。その前にオリジナル版をまとめて買えるよう同梱されていたカップリング版になっていたのが今回のウルトラQBOXの最上の点であった。WOWOWで放送されたモノクロHDリマスター版が修正版であったことでそれをさらに強く感じた。後半もやはりDVD版が"買い"だ。

電人ザボーガーDVD-BOXは過去発売されたものの再販廉価版で目新しさはない。もちろん今年公開された新作映画「電人ザボーガー」に合わせた再販であり、わたしがこのBOXを買ったのも映画の勢いを駆ってのこと。なぜかCSでの放送でもついぞ見かけたことのない作品だけに、この機会を逃してはならないと思ったからである。
中身は、お世辞にも高画質とは言えない。ディスク一枚に30分番組(正味25分)が8本も入っているような編成でビットレートも低ければ解像感もなく、全体的にノイジーで黒っぽく、残像すら感じる。ごく一部だけだが放送時か再放送時のビデオ録画映像をあてたものすらあり、時刻表示がデジタル放送のロゴのごとく浮いている。正直見づらい。にもかかわらず、全52話、一気に視聴してしまった。中盤など視聴時間がかかるために続きは後日回しにするのが苦痛ですらあったほどだ。
低予算のチープぶりは隠しようがなかったが、特撮オタ的に豪華な俳優陣は目もくらむほど。中でも主役大門豊役「仮面ライダーV3/ライダーマン・結城丈二」の山口暁氏の圧倒的存在感はタイトルロボットのザボーガーを食ってしまいかねない強さと格好良さをこれでもか、と見せつける。敵組織のΣ団が世界征服をたくらみながらもあくまで犯罪組織である点や、対抗する大門豊が警察の一員であり「秘密刑事」という架空の立場である点も子供向け番組としてリアルでありながらなり過ぎないようにする配慮が感じられて心地よい。特徴ある敵メカや改造人間とのバトルもたっぷりと楽しめ、マニア心を十分満足させてくれた。墓地での戦い、巨大ロボをよじ登るバイク形態のザボーガーなど映画でも再現された特徴あるバトル背景の数々は何度見ても飽きないほどである。
残念なのはやはり最後のワンクールの「恐竜軍団シリーズ」。まずコスチュームが見ていて少し恥ずかしくなるような派手なものに変更された。ストーリーもザボーガー基地へ攻め込んでくる敵を迎え撃つ攻防戦がメインとなり、秘密刑事としての活躍は鳴りを潜める。新ロボ、ストロングザボーガーもデザインはずんぐりなザボーガーと比べてシャープな印象になり、初登場シーンはビジュアルショックを感じるかっこよさはあったが、如何せん強すぎて三つの武器を連続して繰り出すだけであっさり敵を倒してしまう大味なバトルになってしまっていた。どうも当時放送されていた「マジンガーZ」や「グレートマジンガー」のようなロボットアニメに影響されたようで、別物となってしまっている。このシリーズに入ってからは「あと少しだけだし、さっさと見終わろう」という惰性視聴になってしまった。


今が買い、と思った勢い・たっぷりと楽しめた視聴・どちらをとってもこの2つはわたしにとっては例年ならば今年最高と言いきれる買いだった。が、あえて優劣をつけるならやはり「ウルトラQ」こそBOXのベスト買いだ。同じくらい楽しめたのなら、最後には画質も優劣のひとつと判断するしかないからだ。


以上、わたしの今年のベスト買いでした。明日は今年のまとめをやります。

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