AMD、第2世代APUで開拓時代第2段階

売れているという声もあればそうでないという声もあるIvyBridge。どうやら広く取り扱う無難な店では好調、特定の分野に特化した店ではそれほど･･･という評価になっているみたいです。しかし、店に殻割り頼むという発想･･･、ありえん。

さて、その一方で、わたしは多少ヨイショしてますが影が薄くなっている印象がぬぐえないAMD。HPのノーパソなどで事実上の先行公開だった第2世代APU、Trinityを正式公開しました。

AMD、“Trinity”こと第2世代のAシリーズAPUを発表

ノーパソ向けを最初に発表したと言うことは、APUのメインターゲットとして注力するのはノーパソだ、ということでしょう。ノーパソは一度買ったらそうそう買い換えるものでもないので、そっちをメインにするという方針は機械もの好きとしてもデスクトップ機を愛用する身としても残念ですね。ただ、デスクトップ用APUを出さないということはないようです。多分デスクトップAPUも基本は同じと思いますから、近い将来を見据えてちょっと見てみましょう。


・CPU部分がFXで採用されているBulldozerを改良したPiledriverへと変更
クロックが、本当にモバイル向けなのかと疑問に思えるほど上がってます。Turboの最大値とはいえ、最大瞬間クロック3.2GHz。これでTDP35Wで本当に収まるのでしょうか。まぁAMD-FXのせいでBulldozer＝爆熱の印象がありますが、もともとは省電力も考慮に入れて設計しているCPUではありますので、Piledriverの改良でそこら辺もうまくいくようになったのでしょうか。クロックが高くなり、Bulldozerより細かい部分に改良が加わった分、総合力ではLlanoよりCPUだけとっても上、とのことです。一部逆に下がっている面も見受けられますが、純粋な4コアのLlanoと違ってPiledriverは整数コアx2のモジュールx2なので浮動小数点は2コア分しかなく、そこはどうしても劣るしかないわけです。仕方ないでしょう。結局またしてもSandyBridgeにはおよばないようです。
APUの省電力への期待は案外高いはずです。17WというE-350/450なみのTDPのA6-4455Mは結構うれしいですね。願わくばデスクトップ向けも最初から省電力モデルを出してくれることを望みます。

・GPU部分も一世代すすみ、RADEON HD 7000台
と、言ってもターゲットはミドル以下なので実質6000番世代のようですが。旧APUは実質5000番世代だったので一世代進んだことに違いはないのですけどね。IvyBridgeのGPUがなかなか好評で、CPUパワーまで駆使すればLlanoの下位並の性能を発揮しました。が、さすがに単体GPUメーカーでもあるAMD。そっちからの技術フィードバックで引き離しにかかったようです。と、言っても3Dゲーム向け機能が上昇してもわたしら動画派はさほどうれしくありませんし、動画再生支援機能は頭打ち状態。GPU機能上昇と言っても意味はないか？　と思っていたら、なんと

・AMD Acceclerated Video Converterを搭載、ハードエンコードが可能に
なっているとか。あきらかにIntelのQSVのパクリですが、まぁいいでしょう。AMDはAVIVO VideoConverterやATI StreamのようなRADEONを使ったエンコード機能を実現していたので、APUでもそっちで行くと思っていたのですが、ちょっと以外でした。ようするに、OPEN CLの実現にはまだ時間がかかるという判断なのでしょう。これは使って見ないと性能は分かりませんが、少なくとも旧AVIVOを超えるものになっていないと誰も納得しませんから、お手並み拝見といきましょう。TMPGとかで採用してくれるよう、働きかけて欲しいものです。


AMDのAPUはCPUよりも先行して新アーキテクチャが次の世代に移ることになりました。ブルドーザーによる整地は終わり、パイルドライバーで杭打ちを始める段階に来たと言うことでしょうか。一見Intelの猛威に防戦一方のAMDですが、彼らは彼らで逆風にさらされながらも荒れ地の開拓に一所懸命であったようです。判官贔屓もあって、AMDに肩入れしているわたしですので、やっぱり今回も目が離せません。Intelのチンタラぶりに喝を入れるためにも、もう一段階気合いを入れたデスクトップ向けAPUはCPUを、AMDには出して欲しいものです。