先日AMDより新CPUである第3世代Ryzenの正式発表があり、発売が7月とされました。その興奮冷めやらぬうちに今度はその最上位クラスとなる16コア/32スレッドの「Ryzen 9 3950X」が発表となりました。
AMD、16コアの「Ryzen 9 3950X」を9月に投入
~Vega統合型のRyzen 3400Gと3200Gも追加
前の発表の時に一番前面に押し出していたCPUが12コア/24スレッドのRyzen 9 3900Xでしたが、実はこのCPUは内部は16コアを持っており、4コアを無効にした状態だったのです。そのため、そこまで情報が入っている人にとって16コアCPUが出てくるのは予想の範囲内だったでしょう。ただ、さすがに3950Xは値段が少し高め。そのため、コストパフォーマンスを考えたら3900Xがお買い得になりそうです。8コアのRyzen 7との価格差も少ないですしね。
また、GPUであるRADEONの新アーキテクチャを採用したRDNAコアを搭載したグラボ、RX5700も登場、さらにはSCEIとMSの両者から次世代ゲーム機の情報が公開され、いずれもAMD製のCPU・Ryzen2+GPUにRDNAアーキテクチャのNaviを利用したカスタムプロセッサになるとのこと。何かAMD関連華やかです。
正直ここまで華やかになれたのも、SCEIとMSの現行ゲーム機にAMDのカスタムAPUが採用されたおかげでしょう。あの時点で採用されたAPUは現行のZenでもなければひと昔前のブルドーザー系でもなく、モバイル向けのKabiniを強化・拡張したものでした。これは新コアが開発中ですぐに使えなかったこともありますが、AMD系の用意できる生産ラインがモバイル向けのものしかなかった、という事情もあったようです。正直いくら強化したとは言え、よくあのCPUで世界のゲーマーを納得させられるゲームを遊べるゲーム機を製造できたと感心します。そこをSCEIやMSがなんとかしてくれたおかげで、おそらくは資金も用意でき、生産ラインの確保もできたのではないか、などと考えています。そしてその両メーカーが次世代機にもAMDを採用するとなれば、基本設計の段階からなるべくその要求にこたえるように作ってあるのではないでしょうか。両者ともCPU・GPUに一番に要求するのはゲーム能力であり、それ以外は二の次です。と、なると、気になってくるのはPC向けのAPUの方です。実は、だいぶ前からこのAPU路線がAMDの足かせになっているのではないか、と感じていました。
APUはCPUとGPUをワンパッケージとし、両者を可能な限り同一に扱うことで事実上GPUをCPUの一部として扱い、演算能力を高めることを究極の目的とした製品です。つまり、GPUに対しても高い演算能力を要求するのがAPUです。ですが、最近のGPUは演算能力はさほど重要視されず、ゲームのフレームレートとベンチマーク、そしてその際の消費電力のみが性能の基準とされてきました。そうなると、汎用性を重視したGCNコアのRADEONよりある程度ゲーム以外の利用を切り捨て、演算は独自命令のCUDAに任せて絞るところから始めたGeForceの方が断然有利に働きます。余計なものがないからです。APUがある以上、AMDには同じことはできません。もっともCUDAを使わない演算においてはRADEONの方が優れた面もあったため、一時のマイニングブームの時はRADEONが大量に使われました(そしてブームが去ると同時に大量の映像出力のないRADEONが余ることに)。正直現状の評価基準でRADEONがGeForceに対抗するには、ある程度ゲーム向けに絞ったアーキテクチャに変更するしかないのでは・・・? などと思っていました。そしてそれは今までのAPU路線が強化できなくなることを意味します。現行のRDNAに関してはどうなっているのかわたしなんかでは理解できませんが、メモリがHBMでなくGDDRに戻ったり、ゲームと省電力をアピールしたりとなんかそちらからは遠ざかったように思えてなりません。ゲーム以外の用途もPCI-EがGen4になったので快適、というアピールの仕方ですし。
そしてそれを現すかのように同時に発表された新APU、Ryzen 5 3400GおよびRyzen 3 3200Gは、CPUは第2世代のZen+、GPUはVegaといずれも旧世代。正直現行の2000番台をちょっといじっただけです。ひと昔前のAPUに積極的に新コアが採用された時代から比べると信じられない冷遇っぷりです。このままAPUは統合ではなく、必要十分な性能のCPUとGPUがワンパッケージになっただけの省スペース・低価格向けのプロセッサになってしまうのでしょうか。APUの目指す未来を語られたものとしては残念に思いますが、PCゲームが予想外に需要のある現在、しょうがないのかも知れないですね。
AMD、16コアの「Ryzen 9 3950X」を9月に投入
~Vega統合型のRyzen 3400Gと3200Gも追加
前の発表の時に一番前面に押し出していたCPUが12コア/24スレッドのRyzen 9 3900Xでしたが、実はこのCPUは内部は16コアを持っており、4コアを無効にした状態だったのです。そのため、そこまで情報が入っている人にとって16コアCPUが出てくるのは予想の範囲内だったでしょう。ただ、さすがに3950Xは値段が少し高め。そのため、コストパフォーマンスを考えたら3900Xがお買い得になりそうです。8コアのRyzen 7との価格差も少ないですしね。
また、GPUであるRADEONの新アーキテクチャを採用したRDNAコアを搭載したグラボ、RX5700も登場、さらにはSCEIとMSの両者から次世代ゲーム機の情報が公開され、いずれもAMD製のCPU・Ryzen2+GPUにRDNAアーキテクチャのNaviを利用したカスタムプロセッサになるとのこと。何かAMD関連華やかです。
正直ここまで華やかになれたのも、SCEIとMSの現行ゲーム機にAMDのカスタムAPUが採用されたおかげでしょう。あの時点で採用されたAPUは現行のZenでもなければひと昔前のブルドーザー系でもなく、モバイル向けのKabiniを強化・拡張したものでした。これは新コアが開発中ですぐに使えなかったこともありますが、AMD系の用意できる生産ラインがモバイル向けのものしかなかった、という事情もあったようです。正直いくら強化したとは言え、よくあのCPUで世界のゲーマーを納得させられるゲームを遊べるゲーム機を製造できたと感心します。そこをSCEIやMSがなんとかしてくれたおかげで、おそらくは資金も用意でき、生産ラインの確保もできたのではないか、などと考えています。そしてその両メーカーが次世代機にもAMDを採用するとなれば、基本設計の段階からなるべくその要求にこたえるように作ってあるのではないでしょうか。両者ともCPU・GPUに一番に要求するのはゲーム能力であり、それ以外は二の次です。と、なると、気になってくるのはPC向けのAPUの方です。実は、だいぶ前からこのAPU路線がAMDの足かせになっているのではないか、と感じていました。
APUはCPUとGPUをワンパッケージとし、両者を可能な限り同一に扱うことで事実上GPUをCPUの一部として扱い、演算能力を高めることを究極の目的とした製品です。つまり、GPUに対しても高い演算能力を要求するのがAPUです。ですが、最近のGPUは演算能力はさほど重要視されず、ゲームのフレームレートとベンチマーク、そしてその際の消費電力のみが性能の基準とされてきました。そうなると、汎用性を重視したGCNコアのRADEONよりある程度ゲーム以外の利用を切り捨て、演算は独自命令のCUDAに任せて絞るところから始めたGeForceの方が断然有利に働きます。余計なものがないからです。APUがある以上、AMDには同じことはできません。もっともCUDAを使わない演算においてはRADEONの方が優れた面もあったため、一時のマイニングブームの時はRADEONが大量に使われました(そしてブームが去ると同時に大量の映像出力のないRADEONが余ることに)。正直現状の評価基準でRADEONがGeForceに対抗するには、ある程度ゲーム向けに絞ったアーキテクチャに変更するしかないのでは・・・? などと思っていました。そしてそれは今までのAPU路線が強化できなくなることを意味します。現行のRDNAに関してはどうなっているのかわたしなんかでは理解できませんが、メモリがHBMでなくGDDRに戻ったり、ゲームと省電力をアピールしたりとなんかそちらからは遠ざかったように思えてなりません。ゲーム以外の用途もPCI-EがGen4になったので快適、というアピールの仕方ですし。
そしてそれを現すかのように同時に発表された新APU、Ryzen 5 3400GおよびRyzen 3 3200Gは、CPUは第2世代のZen+、GPUはVegaといずれも旧世代。正直現行の2000番台をちょっといじっただけです。ひと昔前のAPUに積極的に新コアが採用された時代から比べると信じられない冷遇っぷりです。このままAPUは統合ではなく、必要十分な性能のCPUとGPUがワンパッケージになっただけの省スペース・低価格向けのプロセッサになってしまうのでしょうか。APUの目指す未来を語られたものとしては残念に思いますが、PCゲームが予想外に需要のある現在、しょうがないのかも知れないですね。