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Channel: 録画人間の末路 -
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景気のよくない話

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父が亡くなってその跡目を継いでしばらく、同業者や近所の人からの呼ばれ方がそれ以前の"あだ名呼び"から"名字+さん付け呼び"に変わりました。寂しさを感じつつも仕方ないと思っていたのですが、最近すっかり以前のあだ名呼びに戻っています。かしこまった呼び方をしていたのを忘れたのか、気楽な関係に戻ろうとしてのことか、あるいは「やっぱりこいつじゃ頼りなくて家の代表として認められないわ、あだ名呼びで十分」と判断されたのか。最後なら悲しいのですが、そっちとしか思えない今日この頃。

その一人、同業者の人にちょっとグチられました。わたしはあまりやらないのですが、その人はブランドもののバッグを主力商品として取り扱う店の人なので、話は自然とそっち関係に。その人が言うには
「最近の若い人はルイ・ヴィトンとかシャネルとか買わなくなった」
らしいのです。中古品取り扱いの商売人にとってブランドバッグと言えばルイ・ヴィトン、シャネル、エルメス。全体の人気、価格付けの安心度、見方のノウハウも豊富で、ブランドバッグの御三家と呼んでいいメーカーです。エルメスは一部の製品が異常に高額になった話が独り立ちしていて購入に踏み入るハードルが高く、若い人がなかなか買わないのもわかりますが、ルイ・ヴィトンやシャネルは背伸びをすれば買えるものもある鉄板ブランド。品質もいいし、常に改良を繰り返しているし、そうそう古びないと思っていたのですが、どうやら若い人からは「年配の人が使っているバッグのブランド」とみなされているらしいのです。老舗の定番を憧れと思うのではなく、古臭いと考えてしまうのですね。かつてシャネルが「シャネラー」などと呼ばれた高校生さえも持つバッグになったとき、逆に「高校生くらいでも持つバッグなんて安物持ちに見られる」とお金を持っている大人から敬遠されたことがありましたが、そのまた逆の現象が起こっているらしいのですね。もちろんだからと言ってそれなりにいいバッグを買わないというわけではなく、代わりに新進気鋭の、わたしら業者からみたらまだブランドとは言い難いメーカーのものを買っているんですね、老舗ブランドから見れば安いってのもあるでしょうし。じゃぁそれがルイ・ヴィトンやシャネルに変わる定番品になるか、と言うと、今のところそのハードルを越えたメーカーは存在しません。そのメーカー自体が世間の流行もので、数年もすればまた新しいメーカーにまるごと興味が移ってしまう、そんな現象が繰り返されつつあるとか。ああなるほど、あまりブランドバッグをやらないウチでも最近持ち込みが目立ってきたメーカーありますわ。ルイ・ヴィトンとかと比べると製造年からの時間の経過の割にくたびれていて、正直「売っても高くならないんだよなぁ」と腹で思ってあまりいい値段付けないのですが、そうするとたいてい「ヤフオクでいくらまでついたのを見たことがある」とか「同じのがメルカリでこれくらいで売っていた」とか言い出すわけですよ。おそらく全盛期のときはそういう値段がついたこともあった、あるいは誰も買わないけど売主が付けた価格はそのくらい、とかなんでしょうね。もう絶対無理だから、ウチみたいな店主が知っているのか知らないのかあやしいような店に持ってきて、あることないことしゃべって少しでも昔の値段に近い値段にさせようってことなんでしょう。こっちの商売からすれば新ブランドが一時の流行を繰り返すより少しくらい高くても鉄板ブランドものが売れる世の中になってほしいんですよね。その方が新品購入者も我々に対して売りやすいし、決して悪いことではないと思うのですが、ひねったところへ行きたがるのがまだ流れのを見ると、景気はまだ当分良くならないのを感じますね。


そういえば、前に書いた工事が止まっていた近所のアパート、ようやく工事再開しました。複数人のうわさ話を照らし合わせたところ、どうやら不動産管理会社が倒産したらしいです。先代の経営者は信用のおける人で、その時の印象でアパートオーナーも契約したようですが、現在の経営者になってから落ちぶれる一方で、しかもアパート工事も前金で全額もらっていながら倒産したため、資金の面で再開が遅れたのだとか。中途半端で放置されているのが一番よくない状態なので再開は喜ぶべきことですが、なんか資金が苦しくて予定よりも内装のランクを落としたアパートになるかも知れないですねぇ。減る一方だった近所の人数が少しは増えるかも、と期待していたのですが、印象もよくなくなったしなぁ。

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