お正月なので久々に友人と会って飲んだりしてます。その一人で、体の静電気で光らせることができるLED電球を2分間継続して光らせることができるという特技を持つ友人Hの身の上話がなかなか面白いものだったので本人の了解をとった上で、多少細部を変更して公開します。
友人Hは個人で学習塾を経営しています。が、昨年、今まで借りていた物件の契約が切れることになってしまいました。理由は物件の大家さんの私用。なんでも結婚して家を出ていた娘さんが離婚することになり、子供〜つまり大家さんにとっては孫〜を連れて帰ってくることになったので、その親子のための家を貸している学習塾をつぶしてその土地に建てるのだとか。これに困った友人H。それなりの数の生徒を預かっている責任もありますし、なによりこのままでは職を失います。できることならあまり離れていなくて今来ている生徒も通いやすい物件はないかと不動産屋さんへ。この時季節は夏。現在の物件からは年度末まで出ていくのを保留してもらっているので、できれば夏のうちに決めておかないと困ることになります。友人Hは焦っていました。
不「えーと、まず一件あります。古い物件で平屋で要修理。広さは前の物件の二倍ですが家賃も二倍」
H「とても払えません、土地の半分だけ借りて家賃半分とかにできませんか?」
不「無理です」
H「じゃぁ他に、あまり家賃の変わらないやつをお願いします」
不「じゃぁ次のを。そこそこ新しい雑居ビルの2階、半分空いてます。広さも家賃も以前のとほぼ同じ」
H「学習塾だし、2階でもかまいません、広さも十分だし」
不「ただ、そのもう一つ入っているのも学習塾さんなんです、この辺では一番有名な大手さん」
H「・・・却下します、次」
不「あと残っているのはここですね。古いビルの3階ですが広さが最初の物件と同じくらいで、部屋がいくつか仕切られています。これはとっぱらっても構いません。家賃は2番目の半額です」
H「むちゃくちゃいい物件じゃないですか」
不「今から下見行きます?」
H「ぜひとも。今すぐ行きましょう」
(友人Hと不動産屋さん、物件3のビルへ)
不「ここが物件です」
H「な、なんなんですか?ここは」
不「何がでしょう」
H「外はあんなに暑いし、このビルだって2階までは十分暑かったのになんでこの3階だけこんなにひんやりしてるんですか? 寒いくらいですよ!」
不「日も入ってないし、人の出入りもないから寒く感じるんですよ」
H「大丈夫かな・・・この一番奥の仕切りは?」
不「あ、それ開かないんです」
H「鍵がかかってるんですか?」
不「わからないですけど開かないんです。まぁただの仕切りですし、いざとなればぶっ壊せば使えますよ」
H「開かずの間って・・・あれ?この貼り紙は」
不「前の借主が残していったものでしょうね」
H「これは大手チェーンの学習塾の貼り紙ですね、かなり古いですが。前の借主も学習塾だったんですか?」
不「そう見たいですね」
H「あの・・・この業界も狭いんで聞いたことがあるんですが、このチェーンってだいぶ前からこの地区から撤退してるんですよね。それってその経営者が首をつって自殺したからって話だったんですが・・・」
不「わたしは詳しいことは知りません」
H「しかもそれってもう何十年も前の話ですよ!」
不「それと関係があるかどうかは聞いていません。ただ、もう20年以上この物件を借りた人がいないのは確かです」
H「・・・・・・・・・」
不「格安ですよ?」
H「お断りします」
友人H、その不動産屋さんをあきらめ、別の不動産屋さんへ。
別「ちょうどいい物件があります。更地で何もたってない土地なんですが、店や事務所として貸すこと希望。借りてくれるのなら建築の時に要望に応じるそうです。家賃は多少高くなりますが、それほど違うわけでもありませんし」
場所も近く、周辺の状態も良く、条件も悪くない。友人Hはその土地の新しい学習塾を立ててもらうことになりました。
ちなみにこの土地、更地にすることになったのは最近の話だそうです。なんでも孫が結婚してもうじき同居してくれる話だったので家を少しつぶして土地を開け、孫夫婦の新居を建てるつもりにしていたところ、その前に離婚することになってしまったために土地が空いてしまい、借り手を探していたのだとか。かくして契約は成立、現在新塾はほぼ建築も終わり、引っ越し作業におおわらわだとか。
k「しかし、離婚と土地ってどこかで聞いた話だな」
H「気が付いたか。そう、新大屋の孫の離婚相手ってのが旧大屋の娘なんだよ」
k「そんな出来過ぎの話があるか!」
H「あるんだからしょうがない。実はこの世って本当に狭くて100人くらいしか人がいないんじゃないかって気がするよ。ははは」
おあとがよろしいようで
友人Hは個人で学習塾を経営しています。が、昨年、今まで借りていた物件の契約が切れることになってしまいました。理由は物件の大家さんの私用。なんでも結婚して家を出ていた娘さんが離婚することになり、子供〜つまり大家さんにとっては孫〜を連れて帰ってくることになったので、その親子のための家を貸している学習塾をつぶしてその土地に建てるのだとか。これに困った友人H。それなりの数の生徒を預かっている責任もありますし、なによりこのままでは職を失います。できることならあまり離れていなくて今来ている生徒も通いやすい物件はないかと不動産屋さんへ。この時季節は夏。現在の物件からは年度末まで出ていくのを保留してもらっているので、できれば夏のうちに決めておかないと困ることになります。友人Hは焦っていました。
不「えーと、まず一件あります。古い物件で平屋で要修理。広さは前の物件の二倍ですが家賃も二倍」
H「とても払えません、土地の半分だけ借りて家賃半分とかにできませんか?」
不「無理です」
H「じゃぁ他に、あまり家賃の変わらないやつをお願いします」
不「じゃぁ次のを。そこそこ新しい雑居ビルの2階、半分空いてます。広さも家賃も以前のとほぼ同じ」
H「学習塾だし、2階でもかまいません、広さも十分だし」
不「ただ、そのもう一つ入っているのも学習塾さんなんです、この辺では一番有名な大手さん」
H「・・・却下します、次」
不「あと残っているのはここですね。古いビルの3階ですが広さが最初の物件と同じくらいで、部屋がいくつか仕切られています。これはとっぱらっても構いません。家賃は2番目の半額です」
H「むちゃくちゃいい物件じゃないですか」
不「今から下見行きます?」
H「ぜひとも。今すぐ行きましょう」
(友人Hと不動産屋さん、物件3のビルへ)
不「ここが物件です」
H「な、なんなんですか?ここは」
不「何がでしょう」
H「外はあんなに暑いし、このビルだって2階までは十分暑かったのになんでこの3階だけこんなにひんやりしてるんですか? 寒いくらいですよ!」
不「日も入ってないし、人の出入りもないから寒く感じるんですよ」
H「大丈夫かな・・・この一番奥の仕切りは?」
不「あ、それ開かないんです」
H「鍵がかかってるんですか?」
不「わからないですけど開かないんです。まぁただの仕切りですし、いざとなればぶっ壊せば使えますよ」
H「開かずの間って・・・あれ?この貼り紙は」
不「前の借主が残していったものでしょうね」
H「これは大手チェーンの学習塾の貼り紙ですね、かなり古いですが。前の借主も学習塾だったんですか?」
不「そう見たいですね」
H「あの・・・この業界も狭いんで聞いたことがあるんですが、このチェーンってだいぶ前からこの地区から撤退してるんですよね。それってその経営者が首をつって自殺したからって話だったんですが・・・」
不「わたしは詳しいことは知りません」
H「しかもそれってもう何十年も前の話ですよ!」
不「それと関係があるかどうかは聞いていません。ただ、もう20年以上この物件を借りた人がいないのは確かです」
H「・・・・・・・・・」
不「格安ですよ?」
H「お断りします」
友人H、その不動産屋さんをあきらめ、別の不動産屋さんへ。
別「ちょうどいい物件があります。更地で何もたってない土地なんですが、店や事務所として貸すこと希望。借りてくれるのなら建築の時に要望に応じるそうです。家賃は多少高くなりますが、それほど違うわけでもありませんし」
場所も近く、周辺の状態も良く、条件も悪くない。友人Hはその土地の新しい学習塾を立ててもらうことになりました。
ちなみにこの土地、更地にすることになったのは最近の話だそうです。なんでも孫が結婚してもうじき同居してくれる話だったので家を少しつぶして土地を開け、孫夫婦の新居を建てるつもりにしていたところ、その前に離婚することになってしまったために土地が空いてしまい、借り手を探していたのだとか。かくして契約は成立、現在新塾はほぼ建築も終わり、引っ越し作業におおわらわだとか。
k「しかし、離婚と土地ってどこかで聞いた話だな」
H「気が付いたか。そう、新大屋の孫の離婚相手ってのが旧大屋の娘なんだよ」
k「そんな出来過ぎの話があるか!」
H「あるんだからしょうがない。実はこの世って本当に狭くて100人くらいしか人がいないんじゃないかって気がするよ。ははは」
おあとがよろしいようで