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イタダキモノAPU-PC検証・再生の章

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いよいよ佳境です、この章こそ本番です。ブラウザによるWEB閲覧だったりテキストの入力やデータファイルの管理に使ったりするパソコンですが、そこにあえて人はプラスアルファを求めるもの。その付加価値に何を求めるかは人によってさまざまだったりしますが、わたしはもちろん動画です。動画再生と言えばRADEON、RADEONといえば動画再生。それが昔からのわたしのイメージです。そしてAPUにはそのRADEONが組み込まれていますから、当然動画の再生能力も大いに期待されるわけです。

ただ、すでに先代のAPU・Llanoの段階で動画再生機能はある程度完成されており、残りどれだけ改善の余地があるか・・・というレベルでもあるのです。個人的に期待しているのは、SD映像の拡大のときのインターレース解除がややブレる点の改善を望んでいるのですが。
なので、Llanoで再生したときにそのブレが目立ちやすかった動画を、一度Llano側で何度も再生してブレのクセを覚え直した上で、此度のTrinity機で再生してみました。するとどうしたことでしょう。

全く同じ場所でインターレース解除による全く同じブレが発生したではありませんか。

これは何度やっても、場所を変えても一緒でした。断言します、Trinityの動画再生エンジンはLlanoと何も変わっていません。もちろん事前に同じUVD3であることは聞いていましたが、多少のマイナーチェンジ・改善点はあると思っていたのですよ。SD映像くらいGPUのエンジンでなくてもソフト再生でも十分なんですが、それはそれ、これはこれなんで。
実際、こういう改良点ではない、新機能なら存在します。一つは手ぶれ補正機能「AMD Steady Video」、日本AMDでは「ぴったりビデオ」とも読んでいるようですが、ビデオカメラでおなじみの機能です。高度な手ぶれ補正を持たない携帯電話などで撮影されたビデオには有効と思われます。これは最新のCataryst(今日の時点で12.8)を入れてもLlanoでは有効になりません。ただ、Trinityでも有効にしておくと、当然ながら普通の映像は逆にブレブレになるため、普段は切っておくものですし、わたしらにはあまり有益な機能ではありません。
もう一つ、「ストリーミング視聴のビデオダウンロードを最適化」とうたうAMD Quick Streamがあります。他のシステムを使うよりストリーミング視聴がスムーズに途切れなく再生出来るという話ですが、どうやっているのかは分かりません。さらにこの機能、切ることが出来ないために実際どれだけ働いているのかさっぱり分からないという欠点があります。「不要という人はいないでしょう」とAMDも言っていましたが、こういうレビューを書くときだけは困ります。他の機種と比べようにもタイミングや回線の調子などでストリーミングの再生は大きく異なりますから、効果の体験のしようがないですから。もちろん、普通に利用している人から見れば働いていることなど気にせず、ただ快適に使えていればそれでいいという縁の下の力持ち的機能であることに間違いはないんですが。

もちろんRADEONの再生能力は、特にHD動画に関しては一世代前でも十分に高く、ヘタに弄ってバランスを狂わす方がまずいという判断でエンジンをそのままにしておいたのかも知れません。では、Trinityの動画再生能力は、手ぶれ補正のような技術の導入に止まり、根本的なところではLlanoと変わらないのでしょうか? もう動画は袋小路に収まってしまったのでしょうか? そんなことはありません。進化の流れは決して止まらないのです。

と、言っても正確に言えば動画のだけに追加された機能ではないのですが、Trinityは単体グラボ無しにデジタルのマルチディスプレイに対応しました。具体的にはDVI-Dに加え、HDMIとDisplay-Portを搭載し、それらの同時利用・トリプルディスプレイが可能になったのです。これ以外にD-SUBも一応付いていますが、古いディスプレイとつなぐとき以外使うことはないでしょう。これはLlanoでは、少なくともウチのシステムであるA8-3850とF1A75-Mでは無理でした。前に試し、今回もう一度試したのですが、DVI-DとHDMIを両方つなぐと、HDMIからのみ映像が出力されてDVI-Dは切られてしまうのです。所謂排他利用というやつで、どうしても2つつなげたければDVI-Dの代わりにD-SUBを使う必要がありました。そりゃオンボードの性能の常識では当たり前と言えば当たり前ですが、ちょっとくやしい思いもありました。Trinityはその常識を覆し、D-SUBなしでトリプルまで持って行き、今使っているマザーではDVIをデュアルリンクで使った時およびDisplayーPort利用時ではそれぞれ2560x1600までの解像度で表示が可能です。並の安い単体グラボではここまで出来なくても不思議ではありません、すごい! はい拍手(パチパチ)。なお、AMD勉強会では「4Kも出来る」って言ってましたが、さすがに周波数が30MHzまで落ちるのは避けられないと思います。また、それだけ表示させるにはメインメモリの領域を多めにGPUに割り当ててやる必要がありますが、それだけの価値はあると言っていいでしょう。

ただ、Display-Portは少し個人環境としては先を行っちゃってますので、持っている人はまだ少ないと思います、わたしも持ってません(^^;) ですが、DVI-DとHDMIの同時出力なら試すことが出来ます。と、言ってもPCのある部屋においてあるテレビはHDと言ってもブラウン管なのでHDMI出力をコンポーネント→D端子と変換してアナログ化する必要があるのですが。それでも、Llanoでは出来なかった両方出力が出来た時はさすがに感激でしたよ。もちろん狙いは、これを利用してPC画面で普通の作業をしつつHDMIの出力先で動画の再生を行う、一台二役の利用です。

残念ながらサウンドを通常PC出力とHDMI出力をソフトによって分ける、などということは出来ないのでPCでの作業は音声無しで、音声出力はHDMIのみってことになりますが(もちろんHDMI出力を切って音声を戻すことは可能です)、あとはなんとかなりそうです。メインデスクトップはDVI-D側で1920x1080、サブはHDMIで1920x1080(ただし1080i)とし、再生ソフトには愛用のWindowsMediaCenterを利用、サブ側をフルスクリーンにします。ただ、フルスクリーン状態だとソフト実行のフォーカスがMediaCentorにあるとマウスカーソルがMediaCenterから出られなくなってしまいます。使うたびにAlt+ESCでフォーカスを移していては煩わしいですので、ここではリモコンを使うことにします。

I-O DATA Windows Media Center専用リモコン GV-MC7/RCKITアイ・オー・データアイ・オー・データ

MediaCenter専用のリモコンです。これを使っても全ての操作がフォーカスを他のソフトに移した状態で行えるわけではありませんが、再生と停止・一時停止、それに早送りと巻き戻しくらいなら出来ます(一部の動画、特にAVC系のTSファイル除く。あれだけ早送りと巻き戻しが普通でも効きませんので、フォーカスが無いと使えないスキップボタンを使う必要があります)。あとはAMDのControl Centerから動画のインターレース解除を切って1080i向けにしてやれば、バッチリ再生が出来ました。ビデオ再生側はデスクトップをメインにした方がいい、なんて話もありますが、特に問題ないです。案外GPUに負担をかけるブラウザも普通に使えましたし、エンコードを行いながら1920x1080の動画を再生してなお動画再生に影響は見られないほどです。エンコードはバッチリストを作っておけばしばらく放っておいてもいいので、フォーカスをMediaCenterに移して全部の操作をリモコンやマウスでできるようにしてもいいでしょう。おしむらくはAPU最上位のA10-5800Kをもってしてもエンコードはそれほど速くないことですが。

思った以上にスムーズに出来たこの作業。まぁわたしはすでに動画再生専用としてE-350を搭載したミニPCを使っているのでそっちに動画は任せた方が快適なんですが。もしそういう専用PCを持たずに、一台でテレビ出力まで含む複数の作業を同時にやらせるのなら、と仮定してみてやったのですが、APUシステムはその期待に十分応えてくれます。是非次世代APUでは、4Kでの動画の快適かつ高画質な再生機能を搭載してもらいたいものです。

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