■山田祥平のRe:config.sys■
TVの特質としてのリアルタイムコンテンツ共有
この手の記事を見ると、毎度ガックリ来る。相も変わらずの都会視点。自分ら関東圏に住んでいる人間だけが社会の構成員だ、とでもいいたいのだろうか、それとも地方では関東圏と比べると見られる地上波の番組がぐっと少なくなることを知らずに書いているのだろうか。放送局も少なければ平気で編成を変えられる地方のテレビ編成を見てから「テレビをリアルタイムで見てSNSで盛り上がろう」云々と言って欲しいものである。想定している地上波の映画放送はもちろん、スポーツ中継も「日本対どこどこ」のような国際試合でもなければ簡単に切られることしばしば。ひどいときなどその代わりに地元の食べ物屋紹介番組を放送したりしているのだから、たまに怒り心頭になる。特に関東圏に住んでいると地方のテレビ事情など全く気にしないのか、自分らが見られれば全国区だろうと、こっちではやってもいなくてかつ見たいのに見せてもらえない番組の特集本とか出版されるとこれまた怒りを覚える。えー、もちろん「ウ●ト●ゾ●ン」のことですよ、わたしですから。

と、言ってもわたしのところはまだマシな方なんですが。地方局もある方だし、量販店なども近いので放送を見るには不自由でもテレビを見るにはさほど不自由しませんから。そういうわけで、ちょっと足を伸ばして噂の三菱の新型液晶テレビ、赤色にレーザーを採用したREAL LASERVUEことLCD-55LSR3を見てきました。
比較用に作られた専用の映像を使ってデモを行っている店もありましたが、そうでなくて他のテレビと同じ映像ソフトを使っている店の方が実力がよく分かります。これはすごい!と一目で分かるレベル。液晶でありがちなマッハバンド的な色処理がほとんど感じられません。デモ映像では赤色の発色ぶりをアピールしていましたが、赤の処理に余裕が出来たことで可能になった色の階調の細やかさこそ同機の最大の魅力と言っていいでしょう。ただし、色のなめらかさを重視して画が作られたせいか、若干の残像的なボケが見られます。ゆえにあくまで二次元的な美しさを求めるのならば極めて満足度が高いテレビですが、映像に立体的迫力を求めるわたしには少し物足りなさを感じます。なお、LCD-55LSR3は3D対応で、メガネを使った立体視は可能です。カタログとかよーく見ないと書いてあることが分からないため、三菱側としては3D対応は「このクラスとしてはあって当たり前の最低限必要機能」であってもウリになるとは思っていないようです。
お値段も相応に高く、30万円以上します。うーん、同程度以下の値段で、パナソニックの55型プラズマテレビ、TH-P55VT5が買えてしまうとなると、いろいろ考えたくなってしまいます。プラズマ派を転がすには至らないですねぇ(さらに高画質を追求したZT5シリーズに55型はない)。
山本浩司の「アレを見るなら是非コレで!」:レーザーを使う液晶テレビ、三菱「REAL LASERVUE」が描き出した「地獄門」の“総天然色”
こちらのレビューでも、普段はパイオニアにプラズマテレビを愛用しているレビューワーがLCD-55LSR3の色表現を絶賛していますが、よく読むと一カ所も自前のプラズマテレビと比較した箇所がありません。ここでもプラズマ派をグラリとさせることは出来なかったようです。これは趣味というか、好みの問題ですから仕方ありません。
しかし、気がつかないうちにテレビの値段もだいぶあがりましたね。去年の年末は6万円台だった42型テレビが10万円程度まであがっています。オリンピックだからといって中高価格クラスのテレビを増産しなかったのは、昨年各メーカーが痛い目を見ているからでしょう。まぁ性能が上がったわけではないので、年末になればまた落ちるはずですが。
ただ、42型程度の普通大型クラスのお買い得度が低くなったのに対し、50型以上、海外需要と合わせたクラスは、高額ではあっても十分購入満足度の高い性能を備えたテレビが各メーカーから発売されつつあります。この辺がバカ売れして55型クラスが主流になるということは考えられませんが、わたしらがニヤニヤしながら購入を検討するには良い時代になりつつある、と言えますね、テレビに関しては。
