長らくSky Lake由来のコアをそのまま使い続け、次々と改良されるAMDのZenを横目にどうにもパッしなかったIntelですが、ようやくデスクトップ向けの新CPUが発表されることになりました。
Intel、デスクトップ向け第11世代Core「Rocket Lake-S」の詳細を発表
モバイル向けとして利用されているIce LakeのCPUコア、Sunny Coveと同じ系統のCypress Coveを採用しており、ワンランク進んだ性能が期待できます。ただし、現状の発表ではCPUコアは8コア止まり。記事内では「CPUが8コアでもトータルの性能では10コアの第10世代を上回ることが可能という判断だろう」などと書いていますが、個人的には疑問。と、いうのも、現状のIntelのモバイル向けを振り返った場合、必ずしもIce Lake一本というわけではなく、従来コアを採用したComet Lake(デスクトップ向け第10世代はCometLake-Sで同等)もラインナップされているからです。しかもIce Lakeは4コアどまりなのに対しComet Lakeは6コアが用意されています。これは、Ice Lakeは多コア化に弱点を持っている、という気がしてなりません。その延長上となるといくら枯れた14nm製造プロセスとは言え、大丈夫かなぁRocket Lake、という不安があります。ただ、その一方で今回は無理をしないだけ、という可能性もあります。現行デスクトップ向けCPU、Core i9の10コアは誰がどう見ても少し無理した製品です。簡易水冷でないと扱いきれない発熱量、という評価は伊達じゃありません。しかも、AMDのRyzenにないコア数ですから結局12コアや16コアのRyzen 9と比較されてしまい、評判は散々。i9の無理した作りがComet Lake-S全体の評判を落としている気がしてなりません。まぁフラグシップモデルというのは全体の評判を決めるものですから仕方ありませんが。その一方で8コアまでにとどめておけば、Ryzen 9の12/16コアと比較されずに済みます。対象は8コアのRyzen 7まで、となるでしょう。基本性能はおそらくアップしているでしょうから、例えZen3が相手でもそこそこ行ける、という考えでしょうね。逆を言えば、Intelは一度一般向けハイクラス競争から一歩引く宣言でもあります。
それでも、今回のRocket Lakeは使ってみたいな、と思うものがあります。それはGPU性能の大幅な向上です。それもゲームのスコアが向上、などという類の強化ではありません(ないわけではないでしょうが)。エンコーダーや出力性能の向上、なにより計算能力の強化です。そしてIntelはついにこの新GPU、Iris Xe Max(以下Xe)を単独で発売するに至るとのことです。
Intel、22年ぶりのディスクリートGPU「Iris Xe MAX」を正式発表
22年前の単体GPU、i740は異様な前評判とそれが「やらかし」による水増しだったと発覚してからの失望感が大きく、大失敗と呼んでいい結果に終わってしまいました。今回のXeは多分違うでしょう。今回のIntelGPUはNvidiaのGPUのハイクラスとゲーム性能で争う必要はありません。そこがIntelの強みでもあります。ゲームのスコアではなく演算とメディアへの対応をメインにすればいいのです。CPU内蔵側のGPUもXeであった場合、両者を連動して用いてQSVの処理が向上すると記事にはまります。外部GPUの場合4.0とはいえPCI-Expressを通して遠い距離をやり取りすることになりますのでそう都合よくはいかないでしょうが、基本的にGPUは内蔵に限ると考えているわたしでも、一度Xeでそろえて試してみたい、と思わせる攻勢になっています。
しかし、こうしたGPU活用は本来AMDが計画し、APUで進めていた分野です。評判も実用例も思ったほど増えず、結局従来のCPUはCPU、GPUはゲーム向けという従来の方針に戻って設計されたZenの評判がよく、AMDは単体CPUを推し進めていてAPUは半分ほったらかし、GPUもGCNより演算能力を低下してでもゲームに特化したRDNAに移行しているのが現状です。もっとも、AMDのアーキテクチャはかなり早い段階からSIEやMSの計画していた次のゲーム機に採用されることが決定しており、よりゲームに最適化された仕様が求められていました。実際間もなく発売されるPS5やXBOX Seriesに採用されているわけですが、これは現状PC用に使われているRDNAではなくRDNA2であるようです。そこが一応希望ではあるわけですが。というのも、前モデルのPS4やONEでは設計時点でAMDがZenを用意できず、Kabiniというモバイル向け省電力低クロックモデルをベースにCPUコア数とGPUを強化することによって強化したAPUだったからです。どう頑張ってもCPU性能はそれほど大したことはないため、ゲーム機では積極的にGPUの演算能力・GPGPUが利用されていたといわれています。PC用として開発しながらいまだそこまで日の目を見たとは言えないAPUの概念がゲーム機で生かされた、というのはちょっと皮肉ですが、そのPS4用のゲームの多くがそのままPS5で動く、という発表がなされています。これはPS5でもGPGPU演算を行っている可能性が高い、ということではないでしょうか。RDNA2はほぼゲーム全振りといってよかったRDNAよりは演算能力が高まったかも知れません。ついでにFluid Motion Videoも何とかしてほしいですが(まぁこれが言いたい)。
おそらくGeForceとは競合しないIntelのXe。一方、AMDのRADEONは前門ではゲーム用としてGeForceと、後門ではCPU連動の演算用としてXeと競合する可能性があります。現状は前者対抗のみに見えますが、果たして後者にも対抗することはあるのでしょうか。もちろん、GPUの演算なんて誰も使わず、結局性能評価はゲームベンチマークのスコアとフレームレートだけ、Xeも一部業務以外は大して使われなかった、なんてことになる可能性は大いにありますが。噂ではAMDの次のAPUはZen3+Vega(GCN)で、その次がZen3+RDNA2になるとのこと。個人的には前者をパスして後者を出すのではないか、と予想していますがどうなるか。単体CPUのZen3は初期品は飛ばして8コアでTDP65WのものかAPUが出るまでZen2でいいや、と考えています。IntelのRocket Lakeも気になりますので、どっちも早く出してほしいものです。
Intel、デスクトップ向け第11世代Core「Rocket Lake-S」の詳細を発表
モバイル向けとして利用されているIce LakeのCPUコア、Sunny Coveと同じ系統のCypress Coveを採用しており、ワンランク進んだ性能が期待できます。ただし、現状の発表ではCPUコアは8コア止まり。記事内では「CPUが8コアでもトータルの性能では10コアの第10世代を上回ることが可能という判断だろう」などと書いていますが、個人的には疑問。と、いうのも、現状のIntelのモバイル向けを振り返った場合、必ずしもIce Lake一本というわけではなく、従来コアを採用したComet Lake(デスクトップ向け第10世代はCometLake-Sで同等)もラインナップされているからです。しかもIce Lakeは4コアどまりなのに対しComet Lakeは6コアが用意されています。これは、Ice Lakeは多コア化に弱点を持っている、という気がしてなりません。その延長上となるといくら枯れた14nm製造プロセスとは言え、大丈夫かなぁRocket Lake、という不安があります。ただ、その一方で今回は無理をしないだけ、という可能性もあります。現行デスクトップ向けCPU、Core i9の10コアは誰がどう見ても少し無理した製品です。簡易水冷でないと扱いきれない発熱量、という評価は伊達じゃありません。しかも、AMDのRyzenにないコア数ですから結局12コアや16コアのRyzen 9と比較されてしまい、評判は散々。i9の無理した作りがComet Lake-S全体の評判を落としている気がしてなりません。まぁフラグシップモデルというのは全体の評判を決めるものですから仕方ありませんが。その一方で8コアまでにとどめておけば、Ryzen 9の12/16コアと比較されずに済みます。対象は8コアのRyzen 7まで、となるでしょう。基本性能はおそらくアップしているでしょうから、例えZen3が相手でもそこそこ行ける、という考えでしょうね。逆を言えば、Intelは一度一般向けハイクラス競争から一歩引く宣言でもあります。
それでも、今回のRocket Lakeは使ってみたいな、と思うものがあります。それはGPU性能の大幅な向上です。それもゲームのスコアが向上、などという類の強化ではありません(ないわけではないでしょうが)。エンコーダーや出力性能の向上、なにより計算能力の強化です。そしてIntelはついにこの新GPU、Iris Xe Max(以下Xe)を単独で発売するに至るとのことです。
Intel、22年ぶりのディスクリートGPU「Iris Xe MAX」を正式発表
22年前の単体GPU、i740は異様な前評判とそれが「やらかし」による水増しだったと発覚してからの失望感が大きく、大失敗と呼んでいい結果に終わってしまいました。今回のXeは多分違うでしょう。今回のIntelGPUはNvidiaのGPUのハイクラスとゲーム性能で争う必要はありません。そこがIntelの強みでもあります。ゲームのスコアではなく演算とメディアへの対応をメインにすればいいのです。CPU内蔵側のGPUもXeであった場合、両者を連動して用いてQSVの処理が向上すると記事にはまります。外部GPUの場合4.0とはいえPCI-Expressを通して遠い距離をやり取りすることになりますのでそう都合よくはいかないでしょうが、基本的にGPUは内蔵に限ると考えているわたしでも、一度Xeでそろえて試してみたい、と思わせる攻勢になっています。
しかし、こうしたGPU活用は本来AMDが計画し、APUで進めていた分野です。評判も実用例も思ったほど増えず、結局従来のCPUはCPU、GPUはゲーム向けという従来の方針に戻って設計されたZenの評判がよく、AMDは単体CPUを推し進めていてAPUは半分ほったらかし、GPUもGCNより演算能力を低下してでもゲームに特化したRDNAに移行しているのが現状です。もっとも、AMDのアーキテクチャはかなり早い段階からSIEやMSの計画していた次のゲーム機に採用されることが決定しており、よりゲームに最適化された仕様が求められていました。実際間もなく発売されるPS5やXBOX Seriesに採用されているわけですが、これは現状PC用に使われているRDNAではなくRDNA2であるようです。そこが一応希望ではあるわけですが。というのも、前モデルのPS4やONEでは設計時点でAMDがZenを用意できず、Kabiniというモバイル向け省電力低クロックモデルをベースにCPUコア数とGPUを強化することによって強化したAPUだったからです。どう頑張ってもCPU性能はそれほど大したことはないため、ゲーム機では積極的にGPUの演算能力・GPGPUが利用されていたといわれています。PC用として開発しながらいまだそこまで日の目を見たとは言えないAPUの概念がゲーム機で生かされた、というのはちょっと皮肉ですが、そのPS4用のゲームの多くがそのままPS5で動く、という発表がなされています。これはPS5でもGPGPU演算を行っている可能性が高い、ということではないでしょうか。RDNA2はほぼゲーム全振りといってよかったRDNAよりは演算能力が高まったかも知れません。ついでにFluid Motion Videoも何とかしてほしいですが(まぁこれが言いたい)。
おそらくGeForceとは競合しないIntelのXe。一方、AMDのRADEONは前門ではゲーム用としてGeForceと、後門ではCPU連動の演算用としてXeと競合する可能性があります。現状は前者対抗のみに見えますが、果たして後者にも対抗することはあるのでしょうか。もちろん、GPUの演算なんて誰も使わず、結局性能評価はゲームベンチマークのスコアとフレームレートだけ、Xeも一部業務以外は大して使われなかった、なんてことになる可能性は大いにありますが。噂ではAMDの次のAPUはZen3+Vega(GCN)で、その次がZen3+RDNA2になるとのこと。個人的には前者をパスして後者を出すのではないか、と予想していますがどうなるか。単体CPUのZen3は初期品は飛ばして8コアでTDP65WのものかAPUが出るまでZen2でいいや、と考えています。IntelのRocket Lakeも気になりますので、どっちも早く出してほしいものです。