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Channel: 録画人間の末路 -
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ギスギスした世の中

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報道では新型コロナウィルス関連の報道が減り、話といえば新総理のことばかりでちょっと前のことは忘れ去られ、明るい方向に行っているかのように感じられる昨今ですが、どうしてどうして、ウィルス騒ぎと対応の後手後手、さらに消費税増税の傷跡はすさまじく、ウチの商売なんか今年度はどうあっても赤字から逃れられそうにないし、店をたたむ同業者も近年以上で、今までは価格面の優位もあって個人でも十分やっていけた中古業界(チェーン店と違って本部へ納める金が不要、店員が少ないので人件費かからない、自営なら家賃も不要などなど)ですが、近々大手チェーンでないと生き残れない時代への道を突っ走っていくのかも知れません。
もう一つ最近中古業界特有で最近猛威を振るい、次々と店をつぶしていっている恐怖が存在します。ニセモノです。中古関係でニセモノといえば、おそらく大半の人が高級ブランドの腕時計やバッグなどを連想するでしょう。一時はニセブランドのレベルは上がる一方で我々にとっての脅威ではありましたが、最近はその上昇が鳴りを潜めている感はありまして、質量ともに落ちている印象です。現在それに代わって増えているのがネックレス。金(GOLD)の"ふり"をした重いだけのニセ金ネックレスです。主な仕掛けは留め金の部分だけ本物を使って正規な刻印を付け、本体は精巧な金色に塗っただけの比較的重い他金属を使ったものです。これと比べればニセブランド品なんて、わたしらから見れば子供銀行券の札束で遊んでいる微笑ましさが少し感じられるような存在ですよ。ニセ金ネックレスはわたしら業者をハメる100%悪意しかない存在ですから、存在にも持ってくる人間にも激しい怒りを感じます。実は当店の赤字はこれらニセモノをつかまされた分がそっくり出ていまして、それがないか例年並みならこのご時世でもギリギリプラマイゼロくらいで抑えられていたんですが。ニセ金ネックレスが大量に出回るようになったのは、もちろん地金の高騰があります。ウィルスの影響もあって世界的な投資が一番安全な資産である金に集中し、異常な高騰を続けているのがニセ金ネックレスを作る理由の一つでしょう。もう一つの理由ウィルスのおかげでお客さんが減り、一番頼りになる金の重いネックレスが持ち込まれたとなると嬉しくなって最低限のチェックだけで飛びついてしまう中古業者、という、本当に困った人にはつけ込みやすいといういかにもサギ師らしい作戦なんでしょうね。ニせ金ネックレスの持ち込みが圧倒的に多いのは隣県在住者、それも山脈を越えた方の隣県です。海沿いの隣県と違って陸続き感が薄く、自動車を使えばほとほど近いけどほどほど遠いので、どうせ二度と行かないしこのニセモノの被害でその店がどうなろうと噂に聞くこともなく、忘れてしまいやすいというのがその理由と思われます。隣県+ネックレス=インチキ、この公式に気が付いたのは同じパターンが二度続いてからでした。普通わざわざほどほど遠い隣県から換金のためだけに来るわけないからです。ちなみに同業他者の話ですが、やはり同じように他県からのニセモノ持ち込みに悩まされて他県身分証明書持ちの貴金属持ち込みを全面的に断っていたところ、なんと身分証明書を偽造しての持ち込みがあったとか。ここまで来ると背後にはかなりの組織の存在を感じます。が、そんな組織を養っていけるほど我々中古業界の資金は潤沢でないんですが・・・。次に多いのが東京・大阪といった大都市圏からの持ち込み。多分組織の本部がそこにあったり、単純に人口が多いというのもあるでしょうし、なにより地元業者間では昔から都会者の高級品の持ち込みは気をつけろ、と言われていました。ただ、最近はちょっと警戒心が緩んでいましたね。というのも、明らかに新型コロナウィルスから逃げてきた東京人が数人来店していたからなんです。一時報道が恐怖をあおっていたころは「県をまたいだ移動や、一時避難は控えてほしい」と各県知事などは訴えていましたが、どうせしばらくテレワークだし、ということでみんな他県に逃げていたんです。おかげで東京近郊への警戒心がゆるんだ、というのはあります。はい、被害を出しました。最近はコロナウィルス報道が減り、警戒心が薄くなったこともあってか、県によっては「テレワーク前提の大都市圏からの移住歓迎」と移住者に補助金を出すことを言い出していますが、どう考えてもサギが横行しそうだよなぁ、持続化給付金の時もサギが大量発生したし。わたしらの税金まで餌食になりませんように。
最後に一番大きな被害を出したパターン。それは顔見知りの同業他社の持ち込みです。十年以上の付き合いのある人で、主に遺品整理などを安く買いたたき、それをウチに持ち込んで換金していたんです。ウチはいくつも販売ルートを持っているのでさまざまな品種を換金することができますが、そうでないところは取り値の高いウチに持ち込んだ方が手っ取り早く換金できて回転がいい、と考えている店や個人事業者はいくつかあります。わたしとしては「お互い持ちつ持たれつ」な良好な関係と考え、一般の人より少しサービスするくらいの対応を行っていたつもりです。完全に油断でした。しかも、その人ニセ金を持ち込んでから連絡がつかなくなっています。どうもこのご時世で商売を畳むことにし、その際にわたしにババを引かせてとんずらこいたようです。最悪です。
どれもこれも、理由の一部は新型コロナウィルスによる社会への悪影響が担っているように思います。そういう意味ではウチはかなり大きな被害を被っている存在なんです。こうしたあからさまなサギとまではいかないにせよ、あの手この手で「金よこせ、金よこせ」と圧力をかけてくる人が、お客さんの総数は減っているのに割合で言えば増えていて後を絶ちません。なんか世間がギスギスしているように感じます。今のわたしの心境は常に心配事でいっぱいで小学生時代に戻ったかのようです。「明日が来なければいいのに」

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