税金の高さに落ち込んでおりましたが、考え方を変えればようやく終わったということ。これからは大きな税金を一度にとられることもしばらくないでしょうから、地道に生きていきましょう。・・・あ、住民税の高さは一年続くんだっけ。きゅう・・・。
現実を忘れるには好きなことも没頭するのが一番、ということでまた映画のBDなんかも買ってみたのですが、思っていたよりバカ映画でなかったのでそっちを書くのは後回しにして(笑)ここ何日かでひたすら調べまくっていた新Ryzen搭載PCの実力を、そろそろ明らかにしていきましょう。もう一度今回のPCを振り返っておきますが
CPU : AMD Ryzen 5 3600 Matisse [3.6GHz-4.2GHz/6Core12thread/TDP65W]
CPUグリス: CPUクーラー付属グリス
CPU-FAN : AMD純正 Wraith CPUクーラー
MOTHER : ASUS TUF GAMING X570-PLUS
MEMORY : 16GB[8GB*2枚] DDR4-3200
HDD/SSD : Intel SSD 660p Series
VGA : RADEON RX560 2GB ASRock製Phantom Gaming Radeon RX560 2GB
CASE : 【黒】Fractal Design CORE 2550S Black [サイコムオリジナル仕様]
POWER : SilverStone SST-ET550-B [550W/80PLUS Bronze]
OS : Microsoft(R) Windows10 Home (64bit) DSP版
です。AMDPCですが、Intel入ってます、SSDですけどね。今回いろいろ調べたのですが、BTOPCではM.2.SSDは上位にサムソン、下位にIntelというパターンが多くのショップで採用されていました。多分ベンチマーク図るとサムソン製SSDの方が速いんでしょうが、わたしはSSDに関してはOSの起動時間さえ十分早ければそれでいい程度にしか今のところ考えていないので下位で十分です。なにせSATAとNVMeの体感速度の違いも感じ取れないんですから。
CPUは今回発売されたZen2採用の中ではもっとも性能の劣るものになっています。ただ、AMDのラインナップとしてはさらに下位に4コアでGPUを内蔵したAPUがあるため、クラスとしてはミドルローの扱いになるでしょう。それでも6コア/12スレッドと数年前から見れば一般個人向けにあるのが信じられない多コアです。今回のZen2はシングルコアやクロック当たりの性能、所謂IPCが強化されたとされており、手元のIntel機、Core i7 8700(こちらも6コア/12スレッド)と比較するには最適と思われます。8700は今なお現役で売られていますしね。また、同じく使用中である二世代前のZenコアを使用したRyzen 7 1700も比較対象とします。
Intel機
CPU :Core i7 8700 [3.2GHzー4.6GHz/6Core12thread/TDP65W]
CPU-FAN :Intel純正
MOTHER :Z370 PRO4
MEMORY :16GB[8GB*2枚] DDR4-2666
SSD :SATA 128GB
VGA :CPU内蔵
OS :Windows10 PRO 64bit
Ryzen 7機
CPU :Ryzen 7 1700 [3GHz-3.7GHz/8Core12thread/TDP65W]
CPU-FAN :AMD純正
MOTHER :PRIME B350-PLUS
MEMORY :16GB[8GB*2枚] DDR4-2666
SSD :SATA 256GB
VGA :RADEON R7 250XE 1GB
OS :Windows HOME 64bit
以下は3600/8700/1700と呼称します。Windows10は、Ryzenへの最適化が進んでいるとされる1903へバージョンアップしています。
比較は当然動画エンコードのみ。あとはやりません。比較はベンチマークソフトのスコア以外は認めない、という人は他がすでにさんざんやっているので探してください。比較用のソフトは、おなじみPEGASYSのTMPGENc Video Mastering Works。その最新版の7を使いました。そろそろ我々の利用範囲から外れつつあるPEGASYSのソフトですが、AVX2などの拡張命令を無効にできる機能がこういう検証では非常に有効なので手放せません。
まずは特に拡張命令を無効としたりしないケース。毎回ベンチマーク代わりに使っている49分、1440x1080のMPEG2-TSを使い、x264を使ったH.264/AVCへのエンコードをリサイズなし、速度標準、CBR4Mbpsの条件で行います。なお、これ以降の検証も全部速度標準+CBR4Mbpsは同じです。
3600:22分51秒
8700:24分49秒
1700:26分33秒
なにィ!?
さすがに叫びたくなる結果が出てしまいました。仮にも下位の3600が2年前には上位を張っていた8700や1700を完全に凌駕しています。一応複数回計測し、結果があまりに不自然なものは切り捨てて残りの遅い方を掲載しています。
気を取り直して、続いてフォーマットをH.264/AVCからx265を用いたH.265/HEVCに切り替え、残りは同じ条件で再計測。
3600:48分12秒
8700:48分05秒
1700:1時間07分45秒
これはさすがに8700が首位をもぎ取りました・・・とは言え、差は本当にわずか。ほとんど横並びと言っていいかと思います。ご存知の通りx265はAVX2が重要なエンコードエンジン。1700の結果を見てわかるように旧ZenはAVX2を苦手としていました。それが大幅に改善されたという話は確かなようです。ためしに264/265ともAVX2を無効化した状態で計測します。
264/AVX2無効
3600:24分25秒
8700:26分25秒
1700:25分40秒
265/AVX2無効
3600:58分15秒
8700:59分27秒
1700:1時間07分23秒
旧RyzenはAVX2を無効にした方がH.264/AVC・H.265/HEVCともに若干ですが速くなります。それと比べるとAVX2無効にした場合、効果の薄いH.264/AVCでも遅くなる当たり、Zen2のAVX2効率はIntelに近づいた、と言っていいでしょう。なお、面白いことにH.265/HEVCでAVX2無効対決では、有効時と違い3600の方が速くなっています。このことから、プロセッサ能力そのものは3600の方が高いものの、AVX2の能力に限って言えば8700・Intel系の方がまだ上でその分H.265/HEVCでは並ぶのが精いっぱいだった、と言っていいと思います。
AMDのプロセッサはTMPGENcでの縮小リサイズが苦手、これを言っているのはなぜかわたしだけなんですが、事実です。FXの時はIntel比でそれがはっきりしていたせいか商業サイトや雑誌・PCショップの検証記事において動画エンコード比較の絶対条件として欠かさないものでした。縮小リザイスを行わなくなったのはAVX2を使うx265エンジンが使われるようになってからです。実はその傾向はZenになってからも変わっていません。前に試したときはまだ縮小リサイズは苦手でした。それがZen2になって変化はあったのでしょうか。ここからはより縮小リサイズの幅を増やすため、元ファイルを1920x1080の30分のMPEG2-TSに変更し、1280x720へ縮小しながらのエンコードを行います。1920x1080のまま、リサイズなしの結果と比較してみましょう。
H.264/AVC:1920x1080:30分
3600:12分23秒
8700:13分29秒
1700:14分18秒
H.264/AVC:1280x720:30分
3600:08分24秒
8700:09分13秒
1700:10分20秒
8700はともかく以前の検証では縮小リサイズの苦手がはっきりしていた1700でも割合で言えば他に若干劣る程度の時間短縮になっています。ひょっとしたらTMPGENcは縮小リサイズのフィルターを変更したのかも知れません。Ryzenのシェアが拡大している昨今、AVX2のような拡張命令ならともかくただのリサイズのような基本的な部分で苦手のまま放っておくわけにはいかなかったのかも知れません。だとすると、以前からの弱点の改善を見るという点で言えば7は不向きとなってしまいます。普通改良というのはいいことなんですけどね。なので、旧バージョンの6も使って検証します。6はすでにサポートが終了し、バージョンアップも行われていません。が、7ではどちらかというとYouTubeへの投稿動画の作成のような機能が強化され、画質と容量を重視したエンコードという従来の長所はあまり考慮されていない印象があるため、6を使い続けている人も多いと思いますので、ちょうどいいかも知れません。では、まずH.264/AVCの1920ままと1280リサイズ動画の両方を比べてみましょう。
H.264/AVC:1920x1080:30分(TMPGENc Video Mastering Works 6)
3600:12分25秒
8700:13分30秒
1700:14分55秒
H.264/AVC:1280x1080:30分(TMPGENc Video Mastering Works 6)
3600:08分57秒
8700:09分29秒
1700:11分46秒
速度が速くなりすぎてわかりにくくなっていますが、7と比べると1700だけ縮小リサイズの時間短縮の割合が悪いのはわかります。そこを考えると、Zen2ではそこは大きく改善したと同時に、TMPGENc Video Mastering Works 7ではZen向けの最適化が行われている可能性が高くなりました。
それ以外、無料で使えるソフトの傾向も試してみます。AMDのデモでも使われたHnadBrake、いつも使ってるMedia Coder、利用者も多いと思われるAviUtl+rigaya氏のプラグインという組み合わせ。条件は同じで1920x1080の30分MPEG2-TSを放り込み、速度MediumのCBR4Mbpsです。Aviutlはd2vファイルを作成してそれを利用しました。AviUtlに限り、インターレース解除は掛けていません。設定が異なるため、ソフトごとの速度差より同じソフト内での各プロセッサの速度に注目してください。
HnadBrake
H.264/AVC 1920x1080
3600:13分55秒
8700:14分47秒
1700:17分06秒
H.264/AVC 1280x720
3600:10分25秒
8700:10分24秒
1700:12分08秒
H.265/HEVC 1920x1080
3600:22分38秒
8700:22分31秒
1700:31分05秒
H.265/HEVC 1280x720
3600:20分22秒
7800:19分35秒
1700:26分18秒
MediaCoder
H.264/AVC 1920x1080
3600:10分05.6秒
8700:11分03.0秒
1700:11分35.3秒
H.264/AVC 1280x720
3600:05分46.9秒
8700:06分40.4秒
1700:06分59.2秒
H.265/HEVC 1920x1080
3600:29分50.4秒
8700:29分25.0秒
1700:37分06.9秒
H.265/HEVC 1280x720
3600:21分11.8秒
8700:19分00.8秒
1700:29分50.8秒
AviUtl
H.264/AVC 1920x1080
3600:22分26.7秒
8700:24分42.7秒
1700:26分12.8秒
H.264/AVC 1280x720
3600:17分37.0秒
8700:19分41.7秒
1700 20分47.1秒
H.265/HEVC 1920x1080
3600:30分02.6秒
8700:29分54.7秒
1700:41分43.8秒
H.265/HEVC 1280x720
3600:23分41.5秒
8700:23分26.2秒
1700:32分21.9秒
概ねどのソフトも同傾向にあるのが分かります。まぁエンジンは全部x264とx265で同じですからね。違いはデコードとフィルターの処理でしょう。
ここまで言えることは
1.Ryzen5 3600は立派なZen2コアを採用したCPU、先々代で8コア/16スレッドの1700はもちろん、まだ現役で1万円ほど高く、同じ6コア/12スレッドのCore i7 8700もプロセッサ部分の性能で言えば凌ぐ。
2.弱点であったAVX2や縮小リサイズの問題は大きく改善されている。ただし、その部分に限って言えば一歩Intelに及ばないため、H.265/HEVCへのエンコードで言えば横に並ぶのがやっと。わずかだが後れを取る。
ただし、Core i7 8700には内蔵GPUがあり、グラボを増設しなくてもPCを組むことができるため、用途は大きく広がります。残念ながら3600より下位モデルであるAPU機はZen+コアのため、性能では及びません。このGPU内蔵に一万円の価値を見出すかどうか、でCore i7の価値は決まると思います。ただ、Intel機の利用者はi7の内蔵GPUを使わず、グラボを別途装着するケースが多いようです。今そういう使い方でPCを組むないし買うのなら、Intel機よりAMD機を買ったほうが差額を他のパーツに回せるため、快適な環境を手に入れることができるでしょう。かつてはAMDのマザーと言えば基本的な構成のものばかりでIntelに比べると選択肢で劣っていましたが、今は差がなくなりつつあります。CPUは下位ですらこの性能ですからね。
正直記事を書いていて、途中から1700を比較対象にするのが気の毒になってきてました。なにせコア数で劣る3600に全敗ですからね。それくらいZen2コアがすごいということなんです。新Ryzenに興味のある方、上位の7や9が売り切れていて変えないのなら、5の3600はいかがでしょう。IntelAMD機を問わず、一世代前の一般向けハイクラスに勝るとも劣らぬ性能を持っていますよ。どうせ9月になれば12コアとかは中古でたくさん出てきますって。それまで遊ぶには3600は最適です。わたしもそのうちこのPCのCPUを3600からもっと多コアに交換するつもりですが、その時は3600は今の1700搭載PCに移植しようと思ってます。思った以上に長く使えそうなミドルロークラスのCPUでした。コストパフォーマンス抜群、ぜひお手元に。
AMD Ryzen 5 3600 with Wraith Stealth cooler 3.6GHz 6コア / 12スレッド 35MB 65W【国内正規代理店品】 100-100000031BOXAMDAMD
現実を忘れるには好きなことも没頭するのが一番、ということでまた映画のBDなんかも買ってみたのですが、思っていたよりバカ映画でなかったのでそっちを書くのは後回しにして(笑)ここ何日かでひたすら調べまくっていた新Ryzen搭載PCの実力を、そろそろ明らかにしていきましょう。もう一度今回のPCを振り返っておきますが
CPU : AMD Ryzen 5 3600 Matisse [3.6GHz-4.2GHz/6Core12thread/TDP65W]
CPUグリス: CPUクーラー付属グリス
CPU-FAN : AMD純正 Wraith CPUクーラー
MOTHER : ASUS TUF GAMING X570-PLUS
MEMORY : 16GB[8GB*2枚] DDR4-3200
HDD/SSD : Intel SSD 660p Series
VGA : RADEON RX560 2GB ASRock製Phantom Gaming Radeon RX560 2GB
CASE : 【黒】Fractal Design CORE 2550S Black [サイコムオリジナル仕様]
POWER : SilverStone SST-ET550-B [550W/80PLUS Bronze]
OS : Microsoft(R) Windows10 Home (64bit) DSP版
です。AMDPCですが、Intel入ってます、SSDですけどね。今回いろいろ調べたのですが、BTOPCではM.2.SSDは上位にサムソン、下位にIntelというパターンが多くのショップで採用されていました。多分ベンチマーク図るとサムソン製SSDの方が速いんでしょうが、わたしはSSDに関してはOSの起動時間さえ十分早ければそれでいい程度にしか今のところ考えていないので下位で十分です。なにせSATAとNVMeの体感速度の違いも感じ取れないんですから。
CPUは今回発売されたZen2採用の中ではもっとも性能の劣るものになっています。ただ、AMDのラインナップとしてはさらに下位に4コアでGPUを内蔵したAPUがあるため、クラスとしてはミドルローの扱いになるでしょう。それでも6コア/12スレッドと数年前から見れば一般個人向けにあるのが信じられない多コアです。今回のZen2はシングルコアやクロック当たりの性能、所謂IPCが強化されたとされており、手元のIntel機、Core i7 8700(こちらも6コア/12スレッド)と比較するには最適と思われます。8700は今なお現役で売られていますしね。また、同じく使用中である二世代前のZenコアを使用したRyzen 7 1700も比較対象とします。
Intel機
CPU :Core i7 8700 [3.2GHzー4.6GHz/6Core12thread/TDP65W]
CPU-FAN :Intel純正
MOTHER :Z370 PRO4
MEMORY :16GB[8GB*2枚] DDR4-2666
SSD :SATA 128GB
VGA :CPU内蔵
OS :Windows10 PRO 64bit
Ryzen 7機
CPU :Ryzen 7 1700 [3GHz-3.7GHz/8Core12thread/TDP65W]
CPU-FAN :AMD純正
MOTHER :PRIME B350-PLUS
MEMORY :16GB[8GB*2枚] DDR4-2666
SSD :SATA 256GB
VGA :RADEON R7 250XE 1GB
OS :Windows HOME 64bit
以下は3600/8700/1700と呼称します。Windows10は、Ryzenへの最適化が進んでいるとされる1903へバージョンアップしています。
比較は当然動画エンコードのみ。あとはやりません。比較はベンチマークソフトのスコア以外は認めない、という人は他がすでにさんざんやっているので探してください。比較用のソフトは、おなじみPEGASYSのTMPGENc Video Mastering Works。その最新版の7を使いました。そろそろ我々の利用範囲から外れつつあるPEGASYSのソフトですが、AVX2などの拡張命令を無効にできる機能がこういう検証では非常に有効なので手放せません。
まずは特に拡張命令を無効としたりしないケース。毎回ベンチマーク代わりに使っている49分、1440x1080のMPEG2-TSを使い、x264を使ったH.264/AVCへのエンコードをリサイズなし、速度標準、CBR4Mbpsの条件で行います。なお、これ以降の検証も全部速度標準+CBR4Mbpsは同じです。
3600:22分51秒
8700:24分49秒
1700:26分33秒
なにィ!?
さすがに叫びたくなる結果が出てしまいました。仮にも下位の3600が2年前には上位を張っていた8700や1700を完全に凌駕しています。一応複数回計測し、結果があまりに不自然なものは切り捨てて残りの遅い方を掲載しています。
気を取り直して、続いてフォーマットをH.264/AVCからx265を用いたH.265/HEVCに切り替え、残りは同じ条件で再計測。
3600:48分12秒
8700:48分05秒
1700:1時間07分45秒
これはさすがに8700が首位をもぎ取りました・・・とは言え、差は本当にわずか。ほとんど横並びと言っていいかと思います。ご存知の通りx265はAVX2が重要なエンコードエンジン。1700の結果を見てわかるように旧ZenはAVX2を苦手としていました。それが大幅に改善されたという話は確かなようです。ためしに264/265ともAVX2を無効化した状態で計測します。
264/AVX2無効
3600:24分25秒
8700:26分25秒
1700:25分40秒
265/AVX2無効
3600:58分15秒
8700:59分27秒
1700:1時間07分23秒
旧RyzenはAVX2を無効にした方がH.264/AVC・H.265/HEVCともに若干ですが速くなります。それと比べるとAVX2無効にした場合、効果の薄いH.264/AVCでも遅くなる当たり、Zen2のAVX2効率はIntelに近づいた、と言っていいでしょう。なお、面白いことにH.265/HEVCでAVX2無効対決では、有効時と違い3600の方が速くなっています。このことから、プロセッサ能力そのものは3600の方が高いものの、AVX2の能力に限って言えば8700・Intel系の方がまだ上でその分H.265/HEVCでは並ぶのが精いっぱいだった、と言っていいと思います。
AMDのプロセッサはTMPGENcでの縮小リサイズが苦手、これを言っているのはなぜかわたしだけなんですが、事実です。FXの時はIntel比でそれがはっきりしていたせいか商業サイトや雑誌・PCショップの検証記事において動画エンコード比較の絶対条件として欠かさないものでした。縮小リザイスを行わなくなったのはAVX2を使うx265エンジンが使われるようになってからです。実はその傾向はZenになってからも変わっていません。前に試したときはまだ縮小リサイズは苦手でした。それがZen2になって変化はあったのでしょうか。ここからはより縮小リサイズの幅を増やすため、元ファイルを1920x1080の30分のMPEG2-TSに変更し、1280x720へ縮小しながらのエンコードを行います。1920x1080のまま、リサイズなしの結果と比較してみましょう。
H.264/AVC:1920x1080:30分
3600:12分23秒
8700:13分29秒
1700:14分18秒
H.264/AVC:1280x720:30分
3600:08分24秒
8700:09分13秒
1700:10分20秒
8700はともかく以前の検証では縮小リサイズの苦手がはっきりしていた1700でも割合で言えば他に若干劣る程度の時間短縮になっています。ひょっとしたらTMPGENcは縮小リサイズのフィルターを変更したのかも知れません。Ryzenのシェアが拡大している昨今、AVX2のような拡張命令ならともかくただのリサイズのような基本的な部分で苦手のまま放っておくわけにはいかなかったのかも知れません。だとすると、以前からの弱点の改善を見るという点で言えば7は不向きとなってしまいます。普通改良というのはいいことなんですけどね。なので、旧バージョンの6も使って検証します。6はすでにサポートが終了し、バージョンアップも行われていません。が、7ではどちらかというとYouTubeへの投稿動画の作成のような機能が強化され、画質と容量を重視したエンコードという従来の長所はあまり考慮されていない印象があるため、6を使い続けている人も多いと思いますので、ちょうどいいかも知れません。では、まずH.264/AVCの1920ままと1280リサイズ動画の両方を比べてみましょう。
H.264/AVC:1920x1080:30分(TMPGENc Video Mastering Works 6)
3600:12分25秒
8700:13分30秒
1700:14分55秒
H.264/AVC:1280x1080:30分(TMPGENc Video Mastering Works 6)
3600:08分57秒
8700:09分29秒
1700:11分46秒
速度が速くなりすぎてわかりにくくなっていますが、7と比べると1700だけ縮小リサイズの時間短縮の割合が悪いのはわかります。そこを考えると、Zen2ではそこは大きく改善したと同時に、TMPGENc Video Mastering Works 7ではZen向けの最適化が行われている可能性が高くなりました。
それ以外、無料で使えるソフトの傾向も試してみます。AMDのデモでも使われたHnadBrake、いつも使ってるMedia Coder、利用者も多いと思われるAviUtl+rigaya氏のプラグインという組み合わせ。条件は同じで1920x1080の30分MPEG2-TSを放り込み、速度MediumのCBR4Mbpsです。Aviutlはd2vファイルを作成してそれを利用しました。AviUtlに限り、インターレース解除は掛けていません。設定が異なるため、ソフトごとの速度差より同じソフト内での各プロセッサの速度に注目してください。
HnadBrake
H.264/AVC 1920x1080
3600:13分55秒
8700:14分47秒
1700:17分06秒
H.264/AVC 1280x720
3600:10分25秒
8700:10分24秒
1700:12分08秒
H.265/HEVC 1920x1080
3600:22分38秒
8700:22分31秒
1700:31分05秒
H.265/HEVC 1280x720
3600:20分22秒
7800:19分35秒
1700:26分18秒
MediaCoder
H.264/AVC 1920x1080
3600:10分05.6秒
8700:11分03.0秒
1700:11分35.3秒
H.264/AVC 1280x720
3600:05分46.9秒
8700:06分40.4秒
1700:06分59.2秒
H.265/HEVC 1920x1080
3600:29分50.4秒
8700:29分25.0秒
1700:37分06.9秒
H.265/HEVC 1280x720
3600:21分11.8秒
8700:19分00.8秒
1700:29分50.8秒
AviUtl
H.264/AVC 1920x1080
3600:22分26.7秒
8700:24分42.7秒
1700:26分12.8秒
H.264/AVC 1280x720
3600:17分37.0秒
8700:19分41.7秒
1700 20分47.1秒
H.265/HEVC 1920x1080
3600:30分02.6秒
8700:29分54.7秒
1700:41分43.8秒
H.265/HEVC 1280x720
3600:23分41.5秒
8700:23分26.2秒
1700:32分21.9秒
概ねどのソフトも同傾向にあるのが分かります。まぁエンジンは全部x264とx265で同じですからね。違いはデコードとフィルターの処理でしょう。
ここまで言えることは
1.Ryzen5 3600は立派なZen2コアを採用したCPU、先々代で8コア/16スレッドの1700はもちろん、まだ現役で1万円ほど高く、同じ6コア/12スレッドのCore i7 8700もプロセッサ部分の性能で言えば凌ぐ。
2.弱点であったAVX2や縮小リサイズの問題は大きく改善されている。ただし、その部分に限って言えば一歩Intelに及ばないため、H.265/HEVCへのエンコードで言えば横に並ぶのがやっと。わずかだが後れを取る。
ただし、Core i7 8700には内蔵GPUがあり、グラボを増設しなくてもPCを組むことができるため、用途は大きく広がります。残念ながら3600より下位モデルであるAPU機はZen+コアのため、性能では及びません。このGPU内蔵に一万円の価値を見出すかどうか、でCore i7の価値は決まると思います。ただ、Intel機の利用者はi7の内蔵GPUを使わず、グラボを別途装着するケースが多いようです。今そういう使い方でPCを組むないし買うのなら、Intel機よりAMD機を買ったほうが差額を他のパーツに回せるため、快適な環境を手に入れることができるでしょう。かつてはAMDのマザーと言えば基本的な構成のものばかりでIntelに比べると選択肢で劣っていましたが、今は差がなくなりつつあります。CPUは下位ですらこの性能ですからね。
正直記事を書いていて、途中から1700を比較対象にするのが気の毒になってきてました。なにせコア数で劣る3600に全敗ですからね。それくらいZen2コアがすごいということなんです。新Ryzenに興味のある方、上位の7や9が売り切れていて変えないのなら、5の3600はいかがでしょう。IntelAMD機を問わず、一世代前の一般向けハイクラスに勝るとも劣らぬ性能を持っていますよ。どうせ9月になれば12コアとかは中古でたくさん出てきますって。それまで遊ぶには3600は最適です。わたしもそのうちこのPCのCPUを3600からもっと多コアに交換するつもりですが、その時は3600は今の1700搭載PCに移植しようと思ってます。思った以上に長く使えそうなミドルロークラスのCPUでした。コストパフォーマンス抜群、ぜひお手元に。
