とりあえず、昨年わたしは頑張った、と思うのです。だからと言って今年が楽になるとはとても思えませんが、それでも昨年はなんとかしのぎましたし、今年も踏ん張るつもりです。
しかし、大きく生活における思考が変わってしまったために、すっかり物欲が薄れてしまっています。買うのは通販のDVDソフトばかり、まぁそれはそれでいいのですが、買うDVDの3/4は激安のものなのであまりお金使わない・・・。激安DVDソフトの何がいいかっていいましたら、外れでも笑ってすませられるところにあります。昨年末にアゴンと同時に買った「地獄のシオマネキ 巨大蟹のしたたり」のひどかったこと(笑) 内容がひどいとか、満を持して登場した巨大シオマネキを迫力を出そうとして実物大のハリボテで作ったのが裏目に出て全然動いてないとかは当然許容範囲どころか心にど真ん中に訴えてくるものすらあるのですが、画質が悪すぎ。チューナーのコンポジット出力でキャプチャーしてDivXにエンコードしていた時代を思い出したくらい画面はつぶれてるしあちこちブロックノイズが浮きまくり。パッケージの写真は多分映画のシーンを直接使っているだろうに、ソフトの方よりずっと解像感が高くて画質に期待できるものになっているのに。ある意味新しいパッケージ詐欺だ。
地獄のシオマネキ 巨大蟹のしたたり[DVD]ロバート・ランシング,バリー・ネルソン,スティーヴ・ハンクス,ニタ・タルボット,ジョー・マクドネル有限会社フォワード
とまぁこれはこれで満足したのですが、何か大物が欲しい。しかし、テレビも今は別に欲しくない、レコーダーなんてもってのほか、スマートフォンはいい6インチモデルがなかなか出ないし~ちなみに"いい"の指すものは手触り、持った感触、持ちやすさと言ったガワのことで、性能は二の次だったりします~・・・。となると、やはりパソコンか、それもアレか、アレなら魅力あるなぁ、でも、中身が一世代前なんだよなぁ・・・。と一日悩んだ年末のある日。
えーい! 買っちゃえ!!!
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買ってしまいました~~~!!! ビビッてブレブレですが、しばらく前に書いたLenovoのAMD製APU採用12.5インチノートパソコン、ThinkPad A275です!!
と書くと、「これ、旧アーキテクチャのBristol Ridgeモデルじゃん。もう少し待てば新アーキテクチャのRaven Ridgeが出るのに」と思う方も多いでしょう。しかし、です。確かにRaven Ridgeはもう発表されています。モバイルを優先しているようですし、間もなく発売されるかも、知れません、ただし海外では、の話です。もうこの数年の状況を見る限り、どのメーカーも日本でのAMD採用PCの発売は辛いです。いくら新アーキテクチャと言ってもいきなりメーカーのAMDに対する態度が変わるとは思えません。AMDを無視してもメーカーはパソコンのラインナップを整えることが出来る、という事実はやはり大きいのです。と、言ってもHPとLenovoはいつかは出すと思います。が、その"いつか"がいつになるか、全くわかりません。春頃どころか今年の年末になっても出ないかも知れないのです。また、出たとしても大型筐体のモデルしか出ないかも知れません。TirnityやRichland、Kaveriの時はそうでした。わたしが欲しいのは、小型で比較的持ち運びしやすいRADEONを搭載したノートパソコンなのです。A275を逃したら当分出ないかも知れません。IntelのRADEON統合CPUはかなりサイズが大きいため、おそらくハイクラスの大型機にしか使われないでしょうし。もし、仮にA275を買ったことを後悔するくらい早くRaven Ridge採用小型ノートパソコンをメーカーが発売したら、その時は「参った」と言ってそのメーカーを尊敬することにしましょう。
はい、買った言い訳をすませたところで使ってみましょう。当然あまり高額にはしたくないので、エントリーをベースにしたモデルです。APUはA10-9700B、SSD128GBはそのままですが、ディスプレイは標準の1366x768のTNパネルから1920X1080のIPSに変更、メモリは8GBに増設しました。それとACアダプタを一つ追加したので、だいたい8万円くらいです。まぁこんなものでしょう。ちょっと失敗だったのはバッテリー。なぜか標準だと、6セルの外付けの太いやつになってるんですよ。で、オプションで「交換不可の内蔵バッテリー」や「外付けで交換可能な3セルバッテリー」も選べるんですね。内蔵バッテリーと外付けバッテリーは併用できるため、内蔵+外付け6セルが最大容量になります。外付けは後でどうにか追加することは可能ですが、内蔵は後からはどうしようもないんですね。移動の際の軽さを考慮に入れるのなら、内蔵優先でとりあえずそれだけ、でもよかったかも知れません。なお、標準の6セルバッテリーは結構太いため
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このように出っ張ります。A275を机に置くとかなり傾きます。デスクトップPCのキーボードに角度を付けて使っているならむしろこの方がいいでしょうが、個人的にはなんとなく頼りなくなるような。A275を買うのならバッテリーに一番気を配りましょう。
A275買ってちょっと感激したのは、やはりThinkPad名物トラックポイント。このクリックボタンがスライドパッドから独立しているのが素晴らしい!のです。と言ってもスライドパッドと一体化したクリックボタンになっているThinkPadはWindows8が出た当初のごく限られた時期にしか存在しませんが。Windows8のModernUIの操作を手元で快適にできるようにスライドパッドの大きさを可能な限り大きくするため、ボタンを一体化してサイズをとったのがその理由ですが、結局Modernuiを常用する人は少なく、トラックポイントが快適だからThinkPadを使っている人にペコペコと反応が悪くて重いスライドパッド一体型クリックボタンは不評。ということですぐ元に戻ったのですが、一体型スライドパッドを独立型に交換するのは不可能、ということでわたしもつい飛びついてしまった一体型E455を使い続けていたのですが、今回新しく買ったことでやっと本来のトラックポイントをノートパソコンでも使うことが出来るようになりました。断然こっちが快適です。ただし、やはりスライドパッドはWindows8以降、それ以前と比べると大きくなっている懸念はあります。そのため、このA275はかなりキーボードの位置とディスプレイの位置が近くなってしまっています。するとどうなるかというと、ファンクションキーに手が伸びる際、ディスプレイにぶつかりやすくなってしまっているのですよ。わたしみたいに古くからパソコンを使っていて、「カナへの変換は未だファンクションキーを使う」という人には少々扱いにくいキーボードの配置になってしまっています。スライドパッドを大きくするための弊害だとしたら、ぜひやめてほしかったなぁ。正直ThinkPadはトラックポイントがあるからいいのであって、スライドパッドなんかなくてもいい、という人は少なくないと思うのですよ。ただ、トラックポイントを持たないidePadなども作っているLenovoですから、部品を共通化するために仕方ないところもあるのでしょう。
そのぶつかりやすいディスプレイですが、画質はかなり良好。E455は褒められたものではなく、かなり色味を弄ってやっとそこそこに持って行けたのですが、A275のIPSはなかなか解像感も高く、色味もよく、大して調整せずにそのまま使えるレベルになっています。本体の値段からすればこれはかなりお得なレベルです。文字サイズは標準で125%。12.5インチということを考えると少々小さめですが、わたしの目には十分です。
SSDはエントリーの128GBそのままです。上位モデルならもっと容量の大きいSSDやHDDも選べますが、デスクトップ機は別に持っていますしあくまでサブノートとしての扱いなので、わたしにはほとんど十分です。中身のSSDは一般的な2.5インチのようですし、一応自分で交換することも可能なようですが、E455のような大型と比べると少々やりにくいようです。ただ、A275には4in1カードリーダーが標準で内蔵されています。SDメモリーカードの大容量のものをさしっぱなしにしてHDDの代わりにするというモバイルPCおなじみのやり方で容量を増やすこともできますので、そっちの方が手軽でしょう。
さて、外部はこのくらいにしてパフォーマンスの方を見てみましょう。今回買ったA275のAPUはA10-9700B。一応ビジネス向けのAPUとなっていますが別に特別な機能がついているわけでもなく、通常のAPUです。型番のせいでデスクトップ向けと紛らわしく、あまり情報がネットでも出てこないA10-9700Bですが。
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CPU-Zによるとこのようになっています。28nmmプロセスで、TDPは15W。プロセッサ情報ではクロックは2.5GHzとなっています。パフォーマンス比較用としては、当然Kaveriを搭載のThinkPadE455。こちらのAPUはFX-7500。TDPは19Wでクロックは2.1GHz。TDPは下がってクロックは上がっているということになります。ただし、キャッシュメモリはFX-L1/448KB+L2/4MBに対し、A10-L1/512KB+L2/2MB。L2キャッシュの容量がだいぶ少なくなっているのが気がかりです。これは一応FXを名乗るハイクラスと、Bristol世代でもミドルでしかないA10-9700Bの差もありますから、仕方ありません。
CPU性能は、当然ただのベンチマークソフトなんてヤボでしかありません。いつも通り144x1080、約48分のMPEG2-TSの動画ファイルを、MediaCoder32bit版を使い、x264を使ってH.264/AVCへ変換する速度を持ってCPUパフォーマンスと見なしましょう。x264やインターレース解除の設定は基本デフォルト通り、ミドルですが、ビットレートのみCBR/4Mbpsにしてあります。なお、電源プランはどちらも「バランス」のデフォルト。クロックの様子を見るため、MediaCoder以外にタスクマネージャーを立ち上げています。
A10-9700B
8290.2sec(2時間18分10.2秒) 10.7fps
FX-7500
9258.9sec(2時間34分18.9秒) 9.6fps
FXのクロックは、なるべく最大負担の最大クロックを目指そうという動きでした。序盤は100%に近い状態が長く続き、クロックも約2.1GHZ出ていますが、ある程度時間がたつと使用率75%程度に落ちる時間が大半になり、少し余裕があったら再びクロックを挙げて2.1GHzになる時間を少しでもとろうとする、そんな動きでした。一方、A10-9700Bは出だしこそ90%超えで2.5GHz出ていたものの、すぐに使用率80%を切る程度、約2.0GHzに下げてしまい、その後はソフトが終了するまで少しクロックが下がることはあっても2GHzを超えることはなくエンコードを終えました。そうした動きの違いのせいか、思ったほど差はつかなかったという結果が出てしまいました。Kaveriと比べて最大50%増し、という発表もあっただけに、少し肩透かしを食った気がします。ただし、TDPが示すように排熱口の熱さはA10-9700Bの方がFX-7500よりもだいぶ低くなっています。余裕はありそうなので、電源プランのいじり方によってはもっとパフォーマンスを出すことができそうです。
GPUの性能も測っておきましょう。こっちは手抜きしてドラクエベンチ、1280x720の標準をフルスクリーンで計測したのみです。ドライバはどちらもAdrenalinEdition、17.12.1です。なお、E455はFX-7500内蔵のGPU以外にRadeon R7 M265が搭載されています。これをどう切り替えて使うのか、実は未だはっきりと知らないのですが、E455だとRADEON設定の中に"グラフィックの切り替え"項目があり、設定できるソフトではそれごとに"省電力"と"ハイパフォーマンス"を選べるようになっています。これはA275では出てこない項目なので、おそらく"ハイパフォーマンス"がR265、"省電力"は内蔵だろうと推測してやっています。
A275 5078
E455
ハイパフォーマンス 6252
省電力 4997
ハイパフォーマンスに負けるのは仕方ないとしても、省電力と大差ないというのはどうなんでしょうか。この結果は一番最初のものであり、その後何度も計測しなおしたのですが、まぁだいたいこのくらい。誤差の範囲で上下の」ある、ほぼ同等くらいです。Bristol RidgeはGPUの性能も上がっていると聞きましたが・・・。もちろんその謎はすぐに解けましたが。
A275
メモリ サイズ - 512 MB
メモリ タイプ - DDR4
メモリ クロック - 933 MHz
コアのクロック - 758 MHz
メモリ全体の帯域幅 - 14 GByte/s
メモリー ビット レート - 1.87 Gbps
E455
メモリ サイズ - 1024 MB
メモリ タイプ - DDR3
メモリ クロック - 800 MHz
コアのクロック - 554 MHz
メモリ全体の帯域幅 - 25 GByte/s
メモリー ビット レート - 1.60 Gbps
両者とも内蔵はRADEON R7であり、クロックはA10-9700Bの方が上です。しかし、メモリの帯域だけ負けてます。ようするに、E455がメモリがデュアルで動いているのに対し、A275はシングルなんです。この差が、クロックの性能差を一気に縮めたものと思われます。また、GPUへのメモリ割り当ての容量も差があります。LenovoはUEFIの設定項目が碌になく、しかもUIはUEFIというより昔懐かしいキーボード操作のBIOS画面になっていますし。どうもメモリの割り当ての変更はできないかも知れません。
このようにパフォーマンスではCPU・GPUとも「思ったほど上がっていない」機となっていましたが、その一方でFluid Motionは改良されていました。Bluesky Framerate Converterを使って調べたところ、Kaveriでは対応していなかったモード2での動作が確認できました。元のフレームを生かすモード1に対してモード2は半分のフレームを中間フレームに入れ替えてしまうため、動きのスムーズさは上がっても画質への影響は少し大きくなってしまいますので必ずしもモード1より全てにおいて上、というわけではありませんが、好みで選べるようになっているのは嬉しいところ。報告は全然上がっていませんが、おそらくデスクトップ版のBristol Ridgeもモード2に対応しているのではないでしょうか。
ここ数日、使った感想を駆け足で書いてみました。パフォーマンスこそ期待ほどではありませんでしたが、デスクトップとは別に使う分には十分、ディスプレイの画質と動画再生能力の向上は歓迎、という満足のいくものでした。これでキーボードの配置がもう少し手前だったらなぁ・・・。まぁモバイル向けノートパソコンのキーボードにそれほど期待しちゃいけないのでしょうが。
Raven Ridgeを待つのもいいですが、気軽に持ち歩ける動画再生PCとしては現状もっとも優れた機種だと思います。もちろんHDMIもついてますのでテレビにつなぐことも可能ですので、サブPCに如何でしょうか。
しかし、大きく生活における思考が変わってしまったために、すっかり物欲が薄れてしまっています。買うのは通販のDVDソフトばかり、まぁそれはそれでいいのですが、買うDVDの3/4は激安のものなのであまりお金使わない・・・。激安DVDソフトの何がいいかっていいましたら、外れでも笑ってすませられるところにあります。昨年末にアゴンと同時に買った「地獄のシオマネキ 巨大蟹のしたたり」のひどかったこと(笑) 内容がひどいとか、満を持して登場した巨大シオマネキを迫力を出そうとして実物大のハリボテで作ったのが裏目に出て全然動いてないとかは当然許容範囲どころか心にど真ん中に訴えてくるものすらあるのですが、画質が悪すぎ。チューナーのコンポジット出力でキャプチャーしてDivXにエンコードしていた時代を思い出したくらい画面はつぶれてるしあちこちブロックノイズが浮きまくり。パッケージの写真は多分映画のシーンを直接使っているだろうに、ソフトの方よりずっと解像感が高くて画質に期待できるものになっているのに。ある意味新しいパッケージ詐欺だ。

とまぁこれはこれで満足したのですが、何か大物が欲しい。しかし、テレビも今は別に欲しくない、レコーダーなんてもってのほか、スマートフォンはいい6インチモデルがなかなか出ないし~ちなみに"いい"の指すものは手触り、持った感触、持ちやすさと言ったガワのことで、性能は二の次だったりします~・・・。となると、やはりパソコンか、それもアレか、アレなら魅力あるなぁ、でも、中身が一世代前なんだよなぁ・・・。と一日悩んだ年末のある日。
えーい! 買っちゃえ!!!

買ってしまいました~~~!!! ビビッてブレブレですが、しばらく前に書いたLenovoのAMD製APU採用12.5インチノートパソコン、ThinkPad A275です!!
と書くと、「これ、旧アーキテクチャのBristol Ridgeモデルじゃん。もう少し待てば新アーキテクチャのRaven Ridgeが出るのに」と思う方も多いでしょう。しかし、です。確かにRaven Ridgeはもう発表されています。モバイルを優先しているようですし、間もなく発売されるかも、知れません、ただし海外では、の話です。もうこの数年の状況を見る限り、どのメーカーも日本でのAMD採用PCの発売は辛いです。いくら新アーキテクチャと言ってもいきなりメーカーのAMDに対する態度が変わるとは思えません。AMDを無視してもメーカーはパソコンのラインナップを整えることが出来る、という事実はやはり大きいのです。と、言ってもHPとLenovoはいつかは出すと思います。が、その"いつか"がいつになるか、全くわかりません。春頃どころか今年の年末になっても出ないかも知れないのです。また、出たとしても大型筐体のモデルしか出ないかも知れません。TirnityやRichland、Kaveriの時はそうでした。わたしが欲しいのは、小型で比較的持ち運びしやすいRADEONを搭載したノートパソコンなのです。A275を逃したら当分出ないかも知れません。IntelのRADEON統合CPUはかなりサイズが大きいため、おそらくハイクラスの大型機にしか使われないでしょうし。もし、仮にA275を買ったことを後悔するくらい早くRaven Ridge採用小型ノートパソコンをメーカーが発売したら、その時は「参った」と言ってそのメーカーを尊敬することにしましょう。
はい、買った言い訳をすませたところで使ってみましょう。当然あまり高額にはしたくないので、エントリーをベースにしたモデルです。APUはA10-9700B、SSD128GBはそのままですが、ディスプレイは標準の1366x768のTNパネルから1920X1080のIPSに変更、メモリは8GBに増設しました。それとACアダプタを一つ追加したので、だいたい8万円くらいです。まぁこんなものでしょう。ちょっと失敗だったのはバッテリー。なぜか標準だと、6セルの外付けの太いやつになってるんですよ。で、オプションで「交換不可の内蔵バッテリー」や「外付けで交換可能な3セルバッテリー」も選べるんですね。内蔵バッテリーと外付けバッテリーは併用できるため、内蔵+外付け6セルが最大容量になります。外付けは後でどうにか追加することは可能ですが、内蔵は後からはどうしようもないんですね。移動の際の軽さを考慮に入れるのなら、内蔵優先でとりあえずそれだけ、でもよかったかも知れません。なお、標準の6セルバッテリーは結構太いため

このように出っ張ります。A275を机に置くとかなり傾きます。デスクトップPCのキーボードに角度を付けて使っているならむしろこの方がいいでしょうが、個人的にはなんとなく頼りなくなるような。A275を買うのならバッテリーに一番気を配りましょう。
A275買ってちょっと感激したのは、やはりThinkPad名物トラックポイント。このクリックボタンがスライドパッドから独立しているのが素晴らしい!のです。と言ってもスライドパッドと一体化したクリックボタンになっているThinkPadはWindows8が出た当初のごく限られた時期にしか存在しませんが。Windows8のModernUIの操作を手元で快適にできるようにスライドパッドの大きさを可能な限り大きくするため、ボタンを一体化してサイズをとったのがその理由ですが、結局Modernuiを常用する人は少なく、トラックポイントが快適だからThinkPadを使っている人にペコペコと反応が悪くて重いスライドパッド一体型クリックボタンは不評。ということですぐ元に戻ったのですが、一体型スライドパッドを独立型に交換するのは不可能、ということでわたしもつい飛びついてしまった一体型E455を使い続けていたのですが、今回新しく買ったことでやっと本来のトラックポイントをノートパソコンでも使うことが出来るようになりました。断然こっちが快適です。ただし、やはりスライドパッドはWindows8以降、それ以前と比べると大きくなっている懸念はあります。そのため、このA275はかなりキーボードの位置とディスプレイの位置が近くなってしまっています。するとどうなるかというと、ファンクションキーに手が伸びる際、ディスプレイにぶつかりやすくなってしまっているのですよ。わたしみたいに古くからパソコンを使っていて、「カナへの変換は未だファンクションキーを使う」という人には少々扱いにくいキーボードの配置になってしまっています。スライドパッドを大きくするための弊害だとしたら、ぜひやめてほしかったなぁ。正直ThinkPadはトラックポイントがあるからいいのであって、スライドパッドなんかなくてもいい、という人は少なくないと思うのですよ。ただ、トラックポイントを持たないidePadなども作っているLenovoですから、部品を共通化するために仕方ないところもあるのでしょう。
そのぶつかりやすいディスプレイですが、画質はかなり良好。E455は褒められたものではなく、かなり色味を弄ってやっとそこそこに持って行けたのですが、A275のIPSはなかなか解像感も高く、色味もよく、大して調整せずにそのまま使えるレベルになっています。本体の値段からすればこれはかなりお得なレベルです。文字サイズは標準で125%。12.5インチということを考えると少々小さめですが、わたしの目には十分です。
SSDはエントリーの128GBそのままです。上位モデルならもっと容量の大きいSSDやHDDも選べますが、デスクトップ機は別に持っていますしあくまでサブノートとしての扱いなので、わたしにはほとんど十分です。中身のSSDは一般的な2.5インチのようですし、一応自分で交換することも可能なようですが、E455のような大型と比べると少々やりにくいようです。ただ、A275には4in1カードリーダーが標準で内蔵されています。SDメモリーカードの大容量のものをさしっぱなしにしてHDDの代わりにするというモバイルPCおなじみのやり方で容量を増やすこともできますので、そっちの方が手軽でしょう。
さて、外部はこのくらいにしてパフォーマンスの方を見てみましょう。今回買ったA275のAPUはA10-9700B。一応ビジネス向けのAPUとなっていますが別に特別な機能がついているわけでもなく、通常のAPUです。型番のせいでデスクトップ向けと紛らわしく、あまり情報がネットでも出てこないA10-9700Bですが。

CPU-Zによるとこのようになっています。28nmmプロセスで、TDPは15W。プロセッサ情報ではクロックは2.5GHzとなっています。パフォーマンス比較用としては、当然Kaveriを搭載のThinkPadE455。こちらのAPUはFX-7500。TDPは19Wでクロックは2.1GHz。TDPは下がってクロックは上がっているということになります。ただし、キャッシュメモリはFX-L1/448KB+L2/4MBに対し、A10-L1/512KB+L2/2MB。L2キャッシュの容量がだいぶ少なくなっているのが気がかりです。これは一応FXを名乗るハイクラスと、Bristol世代でもミドルでしかないA10-9700Bの差もありますから、仕方ありません。
CPU性能は、当然ただのベンチマークソフトなんてヤボでしかありません。いつも通り144x1080、約48分のMPEG2-TSの動画ファイルを、MediaCoder32bit版を使い、x264を使ってH.264/AVCへ変換する速度を持ってCPUパフォーマンスと見なしましょう。x264やインターレース解除の設定は基本デフォルト通り、ミドルですが、ビットレートのみCBR/4Mbpsにしてあります。なお、電源プランはどちらも「バランス」のデフォルト。クロックの様子を見るため、MediaCoder以外にタスクマネージャーを立ち上げています。
A10-9700B
8290.2sec(2時間18分10.2秒) 10.7fps
FX-7500
9258.9sec(2時間34分18.9秒) 9.6fps
FXのクロックは、なるべく最大負担の最大クロックを目指そうという動きでした。序盤は100%に近い状態が長く続き、クロックも約2.1GHZ出ていますが、ある程度時間がたつと使用率75%程度に落ちる時間が大半になり、少し余裕があったら再びクロックを挙げて2.1GHzになる時間を少しでもとろうとする、そんな動きでした。一方、A10-9700Bは出だしこそ90%超えで2.5GHz出ていたものの、すぐに使用率80%を切る程度、約2.0GHzに下げてしまい、その後はソフトが終了するまで少しクロックが下がることはあっても2GHzを超えることはなくエンコードを終えました。そうした動きの違いのせいか、思ったほど差はつかなかったという結果が出てしまいました。Kaveriと比べて最大50%増し、という発表もあっただけに、少し肩透かしを食った気がします。ただし、TDPが示すように排熱口の熱さはA10-9700Bの方がFX-7500よりもだいぶ低くなっています。余裕はありそうなので、電源プランのいじり方によってはもっとパフォーマンスを出すことができそうです。
GPUの性能も測っておきましょう。こっちは手抜きしてドラクエベンチ、1280x720の標準をフルスクリーンで計測したのみです。ドライバはどちらもAdrenalinEdition、17.12.1です。なお、E455はFX-7500内蔵のGPU以外にRadeon R7 M265が搭載されています。これをどう切り替えて使うのか、実は未だはっきりと知らないのですが、E455だとRADEON設定の中に"グラフィックの切り替え"項目があり、設定できるソフトではそれごとに"省電力"と"ハイパフォーマンス"を選べるようになっています。これはA275では出てこない項目なので、おそらく"ハイパフォーマンス"がR265、"省電力"は内蔵だろうと推測してやっています。
A275 5078
E455
ハイパフォーマンス 6252
省電力 4997
ハイパフォーマンスに負けるのは仕方ないとしても、省電力と大差ないというのはどうなんでしょうか。この結果は一番最初のものであり、その後何度も計測しなおしたのですが、まぁだいたいこのくらい。誤差の範囲で上下の」ある、ほぼ同等くらいです。Bristol RidgeはGPUの性能も上がっていると聞きましたが・・・。もちろんその謎はすぐに解けましたが。
A275
メモリ サイズ - 512 MB
メモリ タイプ - DDR4
メモリ クロック - 933 MHz
コアのクロック - 758 MHz
メモリ全体の帯域幅 - 14 GByte/s
メモリー ビット レート - 1.87 Gbps
E455
メモリ サイズ - 1024 MB
メモリ タイプ - DDR3
メモリ クロック - 800 MHz
コアのクロック - 554 MHz
メモリ全体の帯域幅 - 25 GByte/s
メモリー ビット レート - 1.60 Gbps
両者とも内蔵はRADEON R7であり、クロックはA10-9700Bの方が上です。しかし、メモリの帯域だけ負けてます。ようするに、E455がメモリがデュアルで動いているのに対し、A275はシングルなんです。この差が、クロックの性能差を一気に縮めたものと思われます。また、GPUへのメモリ割り当ての容量も差があります。LenovoはUEFIの設定項目が碌になく、しかもUIはUEFIというより昔懐かしいキーボード操作のBIOS画面になっていますし。どうもメモリの割り当ての変更はできないかも知れません。
このようにパフォーマンスではCPU・GPUとも「思ったほど上がっていない」機となっていましたが、その一方でFluid Motionは改良されていました。Bluesky Framerate Converterを使って調べたところ、Kaveriでは対応していなかったモード2での動作が確認できました。元のフレームを生かすモード1に対してモード2は半分のフレームを中間フレームに入れ替えてしまうため、動きのスムーズさは上がっても画質への影響は少し大きくなってしまいますので必ずしもモード1より全てにおいて上、というわけではありませんが、好みで選べるようになっているのは嬉しいところ。報告は全然上がっていませんが、おそらくデスクトップ版のBristol Ridgeもモード2に対応しているのではないでしょうか。
ここ数日、使った感想を駆け足で書いてみました。パフォーマンスこそ期待ほどではありませんでしたが、デスクトップとは別に使う分には十分、ディスプレイの画質と動画再生能力の向上は歓迎、という満足のいくものでした。これでキーボードの配置がもう少し手前だったらなぁ・・・。まぁモバイル向けノートパソコンのキーボードにそれほど期待しちゃいけないのでしょうが。
Raven Ridgeを待つのもいいですが、気軽に持ち歩ける動画再生PCとしては現状もっとも優れた機種だと思います。もちろんHDMIもついてますのでテレビにつなぐことも可能ですので、サブPCに如何でしょうか。