
今回も買いました
珍しく店の休日と初日が重なるということもあり、ついに公開された「GODZILA 怪獣惑星」見てきました。ただ、怪獣ゴジラものとはいえ、特撮ではなくアニメ作品ですのでなんか違う、という感はあるんですが。正直言えば一番見たいのは「ブレイブストーム」の方なんですが、あれ、"全国ロードショー"とは口ばかりの東京近郊集中上映で、地方は数県に一つあるかないか、それも地区によっては来年になってやっと上映、なんてとこもあるようです。それでもやるだけマシな方で、もちろんわが地元ではやりません(怒)。電車で他県まで出向いてまで見る時間取れないっつーのに。まぁ低予算でそういう配給しかできなかったんでしょうが、不満は収まりません。なので現状の期待作第一位はやはり「GODZILLA」なのです。なお、わたしはあくまで特撮オタであってアニメの方は専門外ですので、表現方法とかそういうのはあまり触れないでおきます。なお、アニメとは言っても3D処理が行われ、なおかつ2D風の線が描かれる日本ならではのものが使われています。
開始早々登場する怪獣がなんとカマキラスにドゴラ! いきなりのマニアックな選択に胸踊ります。特にドゴラは登場作品の「宇宙怪獣ドゴラ」以来で、しかも映画本編とはデザインの違うポスターに描かれた方のドゴラです。さぁ、こいつがどんな活躍をするのかと思えば・・・。出番それだけ。登場!とは書きましたが多少エフェクト効かせた静止画がそれぞれ一枚使われるだけ、だったのです。とにかく世界中に怪獣が一斉にやってきた、ということを昔の記録を通して語りたいらしく、すべてなにかしらボカして古いモニター越しのようにはっきりしない画で怪獣が出た、ということが語られるだけの展開になっています。それでも、セリフの中にアンギラスやラドンが撃退されたらしいことが語られたりするので、ドゴラやカマキラスほど元ネタに近くない怪獣の画はそいつらなのでしょう。なんとなくゴジラはゴジラでも2014年のハリウッド版「GODZILLA」、あるいは「パシフィック・リム」の冒頭を連想させる展開になっています。ただし、そのバックストーリーはほとんど「ゴジラファイナルウォーズ」そのものでした。ただし、あちらと違ってゴジラの怒りは収まらず、怪獣だろうが人類だろうが手あたり次第に攻撃を繰り返して打つ手がなくなり、とうとう人類は地球から脱げだしてしまう。それが今回の「GODZILLA 怪獣惑星」の前提となっています。どうやら今回の作り手はそれほど「ゴジラ」を深く理解しない、所謂特撮オタではない人たちなのでしょう。もちろんそれが悪いわけではありません。
宇宙へ飛び出した人類、という点から読むと広大なスケールで描くスペースオペラを連想しますが、本作の舞台はむしろ狭い宇宙船の中と、降り立ったはいいがごく限られた場所にしかいない未来の地球の二か所だけ。そこでの脱出を図るための展開といい、ゴジラ以外の巨大生物の襲い掛かり方やタイミングといい、連想したのは今までのゴジラより「キングコング 髑髏島の巨神」の方でした。宇宙や荒廃未来という典型的SF要素を盛り込んではいますが、その根本は"孤島もの"です。登場人物の無国籍も踏まえ、その演出はまるで洋画の怪獣ものでした。ひょっとして「シン・ゴジラ」が海外ウケが悪かったのを踏まえて輸出でウケやすい展開を狙ったのでしょうか? もっとも「シン・ゴジラ」の海外の評判を聞いてから作ったら間に合いませんが。
ゴジラに対して用意された弱点のための設定や用語など、細かい部分に関しては大変なこだわりを感じます。が、その割に全体的な構成はどことなく大雑把、というか「なんで?」だらけ。地球から逃げて、宇宙人の力を借りて宇宙へ飛び出した一行は彼らの時間で20年かけて亜空間航行をしつつ11光年ほど地球から離れますが、その間に移住できそうな惑星を発見することができず、これから見つける可能性もかぎりなく低い。そして食糧も常に不足していて・・・ってそれは当たり前でしょう。11光年なんて宇宙どころか銀河系だけを見てもごくわずかな距離。直線的に11光年飛んできたわけではなく恒星を目印にジグザグに移動していたとしても、調査の対象になりえた恒星など数個がせいぜいです。それぞれの恒星が惑星を10個持っていたとしても、そのうち居住できる可能性がありそうなので2~3個です。たったそれだけなら移住先など見つからなくてもなんの不思議もありません。結局なんやかんやで地球に戻ることになるのですが、これは一気にできるそうです。なら、もっと離れた星まで調査に行っていてもおかしくない気がしますが。さらにおかしいのは地球についてから。いまだゴジラやその子孫が地球に住み着いているのなら撃退、それができないのなら「月に降りて地球から資源だけを回収する」という案を登場人物の一人が提案するのですが・・・。だったら何光年も離れなくていいじゃん、月とか地球の衛星軌道上に居てゴジラを観察研究して弱点を探り、隙を伺う。宇宙を彷徨うよりどう考えてもそっちの方が効率のいい話です。その宇宙の技術を提供しているだろう宇宙人が同行しているのも妙な話で、まぁ序盤の説明からゴジラと戦って負けたようですが、だからと言って地球人をどうこうするより逃げた方が都合がいいのではないでしょうか。まぁ月の問題はともかく宇宙人同行の件は間違いなく完結編への伏線でしょうから今わかる必要はないのですが、続編の公開は半年後なので整理しておかないと忘れてしまいそうなので。
ゴジラそのものは他の映像と違い、2D風の枠線を使わず全面3D処理。どことなくシルエット面では2014のハリウッドゴジラを連想させるゴツイ体つきですが、序盤は引きすぎて体が半分建物の影に入ってよく見えず、後半登場するのは接近しすぎて全身がよくわかりません。特撮怪獣オタとしてはある程度引いた画面で全身を映してほしいのですが、そこはまぁここぞ、というところでは見せているのでヨシよしましょう。ネタバレになりますが後半登場するゴジラは、序盤ゴジラほど圧倒的な力は持っていません。人が乗る"ホバー"という名の飛行バイクに熱線が当たっても一撃で消滅するでもなく、あくまで一部を壊して撃ち落とす程度なのです。この時点で若干先の展開が読めてしまいました。それにしても、いくら碌な武器がないとは言え、人間がむき出しになる乗り物でゴジラに接近戦とかしかけるとかやめてほしかったんですが。多分作り手もわたし以外の視聴者も「進撃の巨人」をイメージした最近の作りだ、と思うのでしょうが、わたしだと昔ちょっとだけ書いた韓米合作(というには米側が手抜き過ぎ)の怪獣映画、「怪獣大決戦ヤンガリー」しかイメージできませんし。
見た目や一部の見せ方はいいんですが、本作のゴジラはなんとなく「違うんだよなぁ」が常に付きまといました。たとえファイナルウォーズと言えどもゴジラは原則自分に敵意を見せたり、縄張りに割り込んでくるものには容赦しないのですが、自ら相手の陣地に入り込んで敵意を全くみせずにただ逃げるだけの相手を攻撃することはしませんでした。そうしたかつてのゴジラには見られない行動を平気で行う本作のゴジラが個人的にはやはり受け入れられませんでした。
と、アニメでやっているせいで厳しくなっているのか、前後編扱いで本作のみで完結しないのが気に入らないのか、どうしても不満の多い感想になってしまう本作ですが、サウンドに関しては別! ゴジラの足や尻尾の地響き、それに熱線の衝撃が重低音で腹に響いてくるものすごいものです。地元のシネコンはIMAXだの4Dだののような設備はないはずですが、それでもこれだけ効いてくるのですから、そういう映画館で見ればもっとすごいんだろうなぁ・・・と思うと残念ですが、大した設備のない映画館でもあれだけ迫力が出せるのですから映画館で見る価値のある映画です。ちなみに劇中音楽は「ゴジラVSスペースゴジラ」「ゴジラ2000ミレニアム」の服部孝之氏。あくまで下支えの音楽が好印象です。服部氏がそれまで担当したゴジラにせよ「シン・ゴジラ」にせよ一部で伊福部昭氏の音楽を流用しているのですが、どうしても他の音楽と大きく異なるのでオタ魂は満足する反面音楽が勝ちすぎてパロディっぽく見えてしまう欠点がありますからね。かつてテレビアニメ「きまぐれオレンジ☆ロード」の特撮パロディ回でそういうのありましたし(ちなみに本来の音楽は奇しくも「シン・ゴジラ」と同じ鷺巣詩郎氏によるもの)。
今回の「GODZILLA 怪獣惑星」はあくまで前編で、後編は来年5月を予定しているとのことです。ますます孤島ものっぽいあらたな登場人物と、どことなくVSシリーズのポスターを連想させる静止画による予告が最後に待っていました。後半の展開は、作中でセリフだけ出てきた対ゴジラ兵器のアレが出てくるのか? あの扱いも作中ではかなり疑問のあるものでしたが、書くのはやめておきましょう。今度こそスッキリと疑問が解決して怪獣がたっぷり楽しめる作りになっていますように。
KUBO/クボ 二本の弦の秘密、全編ストップモーションアニメで作られたということで個人的には大注目の映画。Youtubeに上がっている予告編を見る限り、あえてブレを入れずに人形アニメ特融のカクカク感を出してあたかも人形が直接動いているようなファンタジーさを押し出したのが好印象で見るのが楽しみ・・・だったんだけど、今回映画館で見た予告編、スクリーンの処理が残像だらけのせいでそれがブレの役割を果たしちゃって動きがスムーズになってしまって3DCGアニメにしか見えなくなってる(泣) これじゃ見る価値半減だなぁ、なんとかしてほしい。