タレコミで情報を頂きましたので資料を読んでみました。
著作権分科会 著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会
なぜか第一回の資料に関してだけわたしのPCからはうまくアクセスが出来ないので第二回以降しか読んでいませんが、クラウド型サービスはクリエーターに対する対価の対象となるか否か、ということを検討する委員会のようです。主催は本来舵を取るべき総務省ではなく著作者の団体さんベッタリでおなじみ文化庁ですから中身は当然結果ありき。「クラウドサービスは当然対価の代償となるべきだからその足場固め」を前提とした会議となっている模様です。資料ではサラリとしか触れられていませんが、必ず触れている点からもその対価の理由を「私的録音録画補償金」の範囲に入れてしまうことでなしとげようとしているのは明白です。あらたなルールや法律を作るのではなく、すでに存在する権利を実行者側だけの解釈で金銭収集の対象としようという委員会なわけです。
私的録音録画補償金の行方が面白いことになっているようです
特に発展的な意見が出るわけでもなく、議論は進んでいない様子です。ようするに「ちゃんと議論して結果を出しましたよ」という形作りに過ぎないものでしょう。例によって「録画補償金の収入がゼロになった」という嘘っぱちな資料(DVD・BDといった録画用として販売されているメディアに補償金はちゃんと含まれているため)を掲載し、参考としている点からも、この委員会を文化庁はまともな議論の場とする気がないことは明らかで、著作権会の大御所への収入確保のための理由作りに邁進しているだけなのです。連中からしてみれば、たしかに最大年間40億円!と言ったあぶく銭を失ったのは痛手であり、「夢よもう一度」と思うのも当然でしょう。ですが録画に規制をかけさせられ、不便なものしか用意できないメーカー・購入者から見ればそこに「金を補償しろ」という要求に応えたくないのは当然です。ましてこの話が出るたびに「我々は録画規制には直接関わっていない」「メーカーが補償金を払わないのならユーザーが個々人ごとに補償金を納めに来る必要がある」といいわけを必ず加えていいとこ取りばかりしたがるのですから支持を失うのは当然です。直接関わってはいない、補償金はあってしかるべきと言うのなら、録画規制の撤廃を同時にメーカーに要求すればいいのです。それなら一定の支持は間違いなく得られますから。それをやらないところがインチキだと言うのです。
また、我々利用者からすればクラウド型サービスのどこが「私的録音録画補償金」の対象内に当たるというのでしょうか。クラウド型はいくら利用者が権利を買ったとしてもサービス提供側がその気になればいつでも返金なしでコンテンツそのものを消滅させることが出来るものであり、ユーザーから見れば自分で保存する場合と比べてはるかに不安定なものであり、補償金の面で同列に語れるものではありません。また、そうした有料サービスは権利者・クリエーターの側と当然契約してから行うものであり、対価の支払いはその両者の側で行われるはずです。と、いうことはここに補償金を要求するということは実際の制作者ではなく、中間団体もおこぼれに預かる権利をくれということです。動画配信サイトなどに無断で載っている動画に関しての対価という話もあるようですが、それなら著作権法違反を理由に削除する体制を強化することを強く求めるべきであり、お金という話が出てくるほうがおかしい。なんなら最近「非申告制同意で決まり」とされているTPPによる著作権法改定を強く支持すればいいわけです。個人的にはなんでTPPに著作権が絡むのかよく分からないのですが、話があるのなら乗るのが楽なわけでしょう。それもやらずに補償金の話ばかりなのは従来の「実態型補償金」から「名目型補償金」へと体制を変え、利用状況と関係なくお金を得られる権利を寄越せと言っているだけの話にしか見えません。その先頭にたって旗を振っているのが文化庁というわけです。
この手の話は「範囲をひろげれば収入が増える」という希望的観測のもとで団体は導入を歓迎しますが、いざ実行してみるとまず利用者がサービスを利用しなくなり、やがてサービス側が提供しなくなり、有名無実の砂漠と化すのが流れの定番です。だからこそ利用状況と関係のない補償金を導入し、永久的に無関係な場所からも中間窃取を目論んでいるのでしょうが、結局SARVHなども主張している"文化"は消滅してしまいます。「まず文化ありき」は誰の言葉だったか、そこから考え直す必要があるでしょう。
別件ですが、総務省にこういう記事が載っていました。
徳島
県の有線テレビジョン放送事業者の提起による総務大臣裁定に対する異議申立てに関する決定
徳島のケーブルテレビが行った異議申し立てを却下した、というものですが、その異議申し立てというのが
区域外再放送裁定で徳島県ケーブル会社の異議申し立てを受け総務省が電監審に付議
この件のようです。つまり、徳島県内「ひのき」が経営するケーブルテレビサービスを受けている地域のうち上板町だけがよみうり放送の再送信が出来ないとする総務大臣裁定に対する異議を審議会が却下した、ということなのでしょう。ここら辺同じ県という区域内では同一の放送が受信出来るという権利を阻害しているようにも見えますが、その一方でしょせん県外の放送の再送信でしかないため放送法における権利侵害には当たらないという気もします。しかし、こうして再送信が一部でも却下される前例が出来たとなるともともと県外放送受信を"遺憾"とする民放連が勢いづくのは必至です。ケーブルテレビ県外放送の廃止が今後各地一斉に始まるかも知れません。覚悟しておいた方が良さそうです。
著作権分科会 著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会
なぜか第一回の資料に関してだけわたしのPCからはうまくアクセスが出来ないので第二回以降しか読んでいませんが、クラウド型サービスはクリエーターに対する対価の対象となるか否か、ということを検討する委員会のようです。主催は本来舵を取るべき総務省ではなく著作者の団体さんベッタリでおなじみ文化庁ですから中身は当然結果ありき。「クラウドサービスは当然対価の代償となるべきだからその足場固め」を前提とした会議となっている模様です。資料ではサラリとしか触れられていませんが、必ず触れている点からもその対価の理由を「私的録音録画補償金」の範囲に入れてしまうことでなしとげようとしているのは明白です。あらたなルールや法律を作るのではなく、すでに存在する権利を実行者側だけの解釈で金銭収集の対象としようという委員会なわけです。
私的録音録画補償金の行方が面白いことになっているようです
特に発展的な意見が出るわけでもなく、議論は進んでいない様子です。ようするに「ちゃんと議論して結果を出しましたよ」という形作りに過ぎないものでしょう。例によって「録画補償金の収入がゼロになった」という嘘っぱちな資料(DVD・BDといった録画用として販売されているメディアに補償金はちゃんと含まれているため)を掲載し、参考としている点からも、この委員会を文化庁はまともな議論の場とする気がないことは明らかで、著作権会の大御所への収入確保のための理由作りに邁進しているだけなのです。連中からしてみれば、たしかに最大年間40億円!と言ったあぶく銭を失ったのは痛手であり、「夢よもう一度」と思うのも当然でしょう。ですが録画に規制をかけさせられ、不便なものしか用意できないメーカー・購入者から見ればそこに「金を補償しろ」という要求に応えたくないのは当然です。ましてこの話が出るたびに「我々は録画規制には直接関わっていない」「メーカーが補償金を払わないのならユーザーが個々人ごとに補償金を納めに来る必要がある」といいわけを必ず加えていいとこ取りばかりしたがるのですから支持を失うのは当然です。直接関わってはいない、補償金はあってしかるべきと言うのなら、録画規制の撤廃を同時にメーカーに要求すればいいのです。それなら一定の支持は間違いなく得られますから。それをやらないところがインチキだと言うのです。
また、我々利用者からすればクラウド型サービスのどこが「私的録音録画補償金」の対象内に当たるというのでしょうか。クラウド型はいくら利用者が権利を買ったとしてもサービス提供側がその気になればいつでも返金なしでコンテンツそのものを消滅させることが出来るものであり、ユーザーから見れば自分で保存する場合と比べてはるかに不安定なものであり、補償金の面で同列に語れるものではありません。また、そうした有料サービスは権利者・クリエーターの側と当然契約してから行うものであり、対価の支払いはその両者の側で行われるはずです。と、いうことはここに補償金を要求するということは実際の制作者ではなく、中間団体もおこぼれに預かる権利をくれということです。動画配信サイトなどに無断で載っている動画に関しての対価という話もあるようですが、それなら著作権法違反を理由に削除する体制を強化することを強く求めるべきであり、お金という話が出てくるほうがおかしい。なんなら最近「非申告制同意で決まり」とされているTPPによる著作権法改定を強く支持すればいいわけです。個人的にはなんでTPPに著作権が絡むのかよく分からないのですが、話があるのなら乗るのが楽なわけでしょう。それもやらずに補償金の話ばかりなのは従来の「実態型補償金」から「名目型補償金」へと体制を変え、利用状況と関係なくお金を得られる権利を寄越せと言っているだけの話にしか見えません。その先頭にたって旗を振っているのが文化庁というわけです。
この手の話は「範囲をひろげれば収入が増える」という希望的観測のもとで団体は導入を歓迎しますが、いざ実行してみるとまず利用者がサービスを利用しなくなり、やがてサービス側が提供しなくなり、有名無実の砂漠と化すのが流れの定番です。だからこそ利用状況と関係のない補償金を導入し、永久的に無関係な場所からも中間窃取を目論んでいるのでしょうが、結局SARVHなども主張している"文化"は消滅してしまいます。「まず文化ありき」は誰の言葉だったか、そこから考え直す必要があるでしょう。
別件ですが、総務省にこういう記事が載っていました。
徳島
県の有線テレビジョン放送事業者の提起による総務大臣裁定に対する異議申立てに関する決定
徳島のケーブルテレビが行った異議申し立てを却下した、というものですが、その異議申し立てというのが
区域外再放送裁定で徳島県ケーブル会社の異議申し立てを受け総務省が電監審に付議
この件のようです。つまり、徳島県内「ひのき」が経営するケーブルテレビサービスを受けている地域のうち上板町だけがよみうり放送の再送信が出来ないとする総務大臣裁定に対する異議を審議会が却下した、ということなのでしょう。ここら辺同じ県という区域内では同一の放送が受信出来るという権利を阻害しているようにも見えますが、その一方でしょせん県外の放送の再送信でしかないため放送法における権利侵害には当たらないという気もします。しかし、こうして再送信が一部でも却下される前例が出来たとなるともともと県外放送受信を"遺憾"とする民放連が勢いづくのは必至です。ケーブルテレビ県外放送の廃止が今後各地一斉に始まるかも知れません。覚悟しておいた方が良さそうです。