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Channel: 録画人間の末路 -
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日本レコード協会、はしゃぐ

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著作権法改定案が全く審議なしにあっさり可決してから一夜。日本レコード協会がが声明を発表しています。

日本レコード協会、違法ダウンロード刑罰化成立に「歓迎」コメント

まぁはしゃぐことはしゃぐこと。この間のJASRAC会長のやや慎重なコメントと比べると、その浮かれぶりが良くわかります。

そりゃそうでしょう、音楽業界はクーデターを成功させたんですから。

インターネットが一般的になって以来、ほとんどの法律は法案となる前に公表され、専門家はもちろん一般の素人からもパブリックコメントという形で意見を受けます。違法ダウンロードの罰則化が一度見送られたのはそのためです。その問題点を修正することなく、音楽業界は修正案という名目を利用して自民・公明両党の議員をうまくあやつり、与党側の法案と互いに賛成させるという形を取らせて法律として潜り込ませました。どんな卑怯な手段をとろうとも、成立してしまえばそれは法律、しかも罰則付きですから、逆らえば刑事罰を受けます。しかも、著作権は申告制ですから、警察は勝手に調べるのではなく、著作権侵害の申告によって捜査を行うことになるわけで、結果音楽業界は警察を動かす権利を得たことになるのです。さらに今回の法律の問題点の一つとして刑事罰になる著作物が「有償著作物」を前提としているため(等は付いてますが)、その権利は販売側に限られます。
つまり、本来一般消費者に対して対等もしくはそれ以下の存在であった音楽や映像の販売側が、その逆に一般消費者を犯罪者とするため警察を動かす権利・権力を、きわめてインチキな手段を持って得たことになるのです。武力こそ用いていませんが、こういう現象を呼ぶのにクーデターほどふさわしい言葉はないでしょう。


もちろん、わたしとて違法ダウンロードを自由にしろ、と言っているわけではありません。罰則の対象がきわめて厳格に決められ、厳しい条件を満たす必要があるものならば決して反対はしません。ところが、今回の法律によるその対象はかなり曖昧なのです。

・有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。)

これが今回の改定案による違法ダウンロードの対象です。一見録画録音ものをそのターゲットと限っているように見えますが、どうも"実演等"の部分が怪しいのです。普通実演と言えば音楽を演奏したり芝居を演じたりすることをいいます。ゆえに、違法ダウンロードの対象とするならば実演は録音録画よりも前に置いて「実演を含む録音又は録画された著作物」とすべきです。ところが、それを後ろにおくことで"著作物"と並記されているようにも独立しているようにもとれるようになっています。前者と判断すれば、著作物そのものでないコピーものがアウト、後者と判断すればストリーミングによる音楽・映像配信がアウト。ひょっとしたらわざと曖昧にすることで適応を広範囲に取ろうとしたのでは、という印象さえ感じるのです。"等"がついてますから、著作物・実演以外にも適応させることも可能です。

この権力を自由に使えるとしたら、まさに支配者。日本レコード協会が喜びを隠せないのも無理はありませんね。きっとすさまじい裸の王様ぶりを発揮することでしょう。

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